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「反乱軍の話しを詳しく聴かせて頂けませんか、王様。」
博士は北斗艦長を抱きながら顔を王様の方に向けました。
「なぜそんなことを聴くのだ。そなたたちの目的が今だこちらには分からぬのだぞ。」
「申し訳ありません、王様。」
博士ははやる心を詫びてから話を続けました。
「この子がスケール号の艦長、北斗と申します。まだ小さい故、御無礼はおゆるし下さい。」
「その子がこの猫の艦長とな。」
王様は抱いている猫と北斗を見比べながらつぶやきました。
「ごろごろごろ」
スケール号は喉を鳴らしています。
「ぱふぱふ うっキャー」
「機嫌がよさそうだの。」
「おむつがきれいになるといつもこうなんですよ。」
「子が可愛いのはいずこも同じだな。大事にするがよい。」
「ありがとうございます。王様。」
博士は礼を述べてから、決心したように話を核心に持って行きました。
「私たちがここに来た理由を申し上げます、王様。ただそれを理解していただくためには、長い退屈な話が必要だったのです。おゆるし下さい。」
「すべてを信じたわけではないが、考えさせられる話ではあった。」
「ありがとうございます。私達は太陽系の地球という星に棲んでおります。実はその地球に一人の子が生まれたのです。」
「・・・」
「生きているのが不思議なくらい未成熟で、あらゆる手を尽くしても原因が分からず成長が止まったままなのです。このままでは死を待つしかしかありません。それでも両親はその子に名前を付けました。のぞみという名です。どこかに見えない原因がある。ある一つの言葉を信じて私たちは、のぞみ赤ちゃんの身体の中にあるこの原子系宇宙にやってきたのです。」
「つまりこういうことなのかな・・」
話しを反芻しながら考えをつなごうとするように王様は続けました。
「我がバリオン系宇宙は、そなたたちの太陽系宇宙とつながっていると言うのだな。」
「そして、太陽系で生まれたその、赤子の身体は・・つまり我が宇宙の素粒子星が手をつなぎ合って出来ている身体だと・・・しかしそんな手は何処にもないぞ。」
「その手こそが、この空間なのです王様。宇宙語でつながっている空間です。私たちが見守っているのぞみ赤ちゃんは、あなた様が守っておられる、まさにこの宇宙なのです。」
博士も慎重に話を進めます。スケール号の隊員たちも、
王様の従者たちも緊張した面持ちで聴き入っています。
「先ほど王様は反乱軍と戦っておられるとおっしゃいました。」
「降ってわいたような話だ。得体のしれぬものが動いている。経験したことの無い戦いというしかない。」
「失礼ですが王様、その戦いの真の目的をご存知ですか。」
「このバリオンを守るためだ。そなた、この私を愚弄するつもりか。」
王様はかかえていたスケール号を放して博士に向き直りました。
スケール号は王様の足元から逃げるように博士の後ろでうずくまります。
「そうではありません王様。どうか聞いてください、王様。」
博士は矢継ぎ早に言葉をつなぎました。
「王様がその戦いに負けたら、のぞみ赤ちゃんはおそらく生きていけないのです。」
「何だと。」
「バリオンを守るということが、のぞみ赤ちゃんを生かすということなのです。そう考えてみてください。そうすれば王様が持っておられる太陽族の強大な力は、のぞみ赤ちゃんをヒトに成長させるという大いなる目的のためにあるのだと分かって頂けるでしょう。」
「・・・・」
しばらく王様は言葉を失っていました。
「王様、太陽族の使者として申し上げます。どうかこの事実に目を向けて頂きますようお伝えいたします。今申し上げたことはおひさまの言葉だと信じていただきたいのです。」
博士は再び膝を折って使者の礼を示して奏上したのです。
「我らには代々受け継がれている伝説がある。」
王様は遠い目をしました。
ここにありて、しかもはるか彼方にあるもの。
我ら、 太陽族の生まれた理由がそこにある。
何度も聴かされてきた太陽族の伝説を今、王様は全く別の方向から
覗き見ているような気がました。
「はるか彼方にあるもの」その「彼方」に対する考え方が横の意識から
縦の意識に変ったのです。思いもしなかった新しい考え方でした。
太陽族は横に拡がって存在しているだけではなかったのです。考え方を
縦の意識に変えたら、横にいる太陽族が互いに手を結び合ってより大きな
太陽族を生み出している。そんな世界を思い浮かべることが出来るのです。
小さなものが集まって大きなものに、逆に見れば大きなものの中に小さな
ものがあるという縦のつながりが見えるようになったのです。
「我ら太陽族は横に並び立っているだけではない。それは縦に縦に、己のこの身そのものが一つしかないものに捧げられて存在している。」
伝説はそのことを伝えていた。そう考えると太陽族の伝説がこの上もないほど重々しく大きな意味を持って王様に迫ってくるのでした。
「のぞみと申したな、その赤子は。我らとは無関係のものと思うておったが、我らそのものと考えてもいいというのだな。」
「その通りです王様。」
「それで赤子を助けられるのか。」
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(ちょっと一休み)
この画面の下段中央と右の画面、爪にかかっている気流の下にたなびく流の表現が
なかなかしっかり心に響きません。
なかなか絵が進みません。イメージがまとまらないのです。
考えても出ないので手だけを動かすことにしました。
私はその手の動きをただ眺めている者になりきるのです
まるで幽体分離しているような感覚です。
しかしそれでも、ここまで描いたところで挫折しました。
無に任せたところで、最後そこに生まれたものに幸せを感じることができなければ意味はありません。
最後まで納得が得られないのです。
あるとき、そんな私には無になろうとする意識が残っていることに気付きました
そこで方針を変えました
何かに成ろうとする意識をとるという、そんな意識も邪魔だったんだと考え、
自分の良い悪いを選別しないで、ただ起こってくる意識を眺めるだけにしました。
何を生み出すかではなく、何が生まれるかを映画のシーンのように眺めていると
空の中に小さな龍が現れたのです
良し悪しは別にして、それで心が納得しました。それが私には重要なのです。
何かを生み出すのではない
何かが生まれるのだと、納得できる場面でした。
日々学びです。
新しい発見が訪れたのですね。とても嬉しいことです。
発見は桂蓮様の力が飽和点に達したからこそ起こるものだと思います。
それが私のような思考にまで理解を拡げて頂いたと感謝いたします。
実は絵本第二作が完成しまして、数日前にお送りしています。今頃空の上かもしれません。
これで完結したと思っているのですが、よかったら一読下さい。
私事で言えば、身体から空体に、意識を変えて認識主体を切り替えられるのか、絵を描きながら検証中で^す^
読むのを楽しみにしていますが、
今回の内容は真撃なものがありますね。
ここまで至るには
体でしか(作業)来られない(得られない)と思います。
極限まで行ったら
ドアが閉じていなく
新しいドアがあった、みたいな感じですかね。
今まで読んできた記事の中で
私には切実な思いを呼び起こすものがありました。
私が求め探しているもの
だが、それが何だかはっきりしなかったのでしたが、
読んで、それが何なのか
形態がぼんやり見えてきました。
すごく教わった感があります。
追伸:絵本第一は何回か読んで
休み休み読んでみました。
分かりやすく、解りやすかったです。
読んで、第二が必要だと私も思いました。
夫にはまだ説明してないのですが、
長いドライブの時に
聞かせてあげようと思ってます。
考え方の余裕、手の指5本を
初めて空間的に捉えることができました。
あらためてありがとうございます。