意識を砥ぐ（自我）

意識を砥ぐ、その最後の砦が自我だ。

自我は意識をとりこんで離さない。

意識は自分のものだと主張する。

それは半分正しいのだが半分は間違っている。それを自我に伝えたいのだ。正しく伝えれば分かってくれる。これが私のスタンスだ。

 

自我に出会わなければならない。

そのためには、自我から離れる訓練が必要になる。

 

しかしこれが難しい。

離れようという意識を持つと、必ず自我の抵抗にあう。

 

意識に瞑想する。五感で出会った意識を見守る。そして思考の世界にある意識に移っていく。くっついてくる思考を注意深く引き離す。草引きの要領だ。

意識に根を張った思考草を一本ずつ抜いて行く。

やがて意識の大地が見えてくる。

 

自我から離れようと言う意識を持つということは、つまり、自我を否定する思考を意識がとらえたということなのだ。

それは、思考草をひいた後の意識の大地に、自己否定樹が芽を出すということだ。そして自我の抵抗というのは、自己否定樹が巨木になっていくことを意味する。

自己否定樹は、己の消滅に対する不安と恐れを養分にして育つ。

そしてその養分は、自我の思い込みにょってつくり出される。つまり、そこが誤りの元凶なのだ。

 

自我が悪いのではない。

人であれ、精神であれ、自己防衛は当然のことなのだ。自我は健気に自己防衛の手を緩めない。それが自我の抵抗だ。

 

それを捨てろと、宗教者は教える。

 

しかし凡人は自我を見殺しにはできない。苦しんでいる自我を捨てないで救いたいのだ。それが凡人の素晴らしいバランス感覚だ。人間の中核にある心なのだ。この心の中核を救わなければ、宗教とて大河の流れの中にある小さな飛沫で終わるだろう。

同じ心のしあわせを願いながら、いがみ合い、殺し合わなければならない宗教はどこか間違っている。それはみな、凡人から離れた所に聖地を持っているからだと私には見える。

 

自我が悪いのではない。それは自然なのだ。自我が苦しむのは、自我が二度目の目覚めを経験していないからに他ならない。

 

自我の苦悩は、どんなものであれ、己が否定され、消滅を恐れる心が生み出している。その恐れに瞑想する。

注意深く、恐れの思考と、そこに引っ付いている意識を引き離す。

意識から離したら、怖れの思考に語りかけることが出来る。

 

消えるのではない。生まれるのだよ。

 

自我は必ず、その事実に気付く。自我が悪いのではない。捨てなくても必ず己でそれを理解する。

私は生まれるために、苦しんでいたのだと。

 

３６０度に３６０度を掛けると、球体になる

意識はすべての方位から私を照らしている。その意識の全体を頭脳が理解したら、生きるために緊張している己が、幻と戦っていたのだと知る。

すると簡単に、明け渡しがやってくる。

 

私も、この宇宙の一員であり、仲間だったのだと。

あるいは、この空間は神の胎内の羊水だったのだと。

 

意識を砥ぐということは、

意識を手放すということだったのだ。

 

手ばなしたらなくなるのではない。

握りしめていた手のひらを広げる。すると空間がやってくる。

 

手ばなした手に、意識が遊ぶ。

弛緩した体の隅々まで、気がのびやかに通り抜ける。

力む必要はない。

気に掛けるものは何もない。

すべて許されている。

否、許すものなどどこにもいない。許さないのは分自身だけだったのだ。

 

そこから人は、

第二の人生が始まる。

 

好きなことをすれないい。

 

なにをしたらいいのかわからない。

当然だ、生まれたばかりなのだから。

何もないことに恐れをいだかないことだ。

何もないことを楽しんだらいい。

何もないことほど素晴らしいことはないのだから。

 

吾は空なり

３６０度×３６０度に存在する意識を受け入れ。

そこに浮かぶ自我に目覚めることだ。

すると自然に、己が空であることに気付く。

 

五次元の世界認識が、それを助けてくれる。