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私はうろたえて小走りに改札に向った。自分の愚かさと、時間がないという焦りの他は何も見えなかった。
通路を中程まで行くと、手に持っていた筈の搭乗券がない!!
えぇっ!!どうしてぇ??
私はなすすべを失った。まるで自分の尻尾を追いかける猫のように、その場に立ち尽くしてあらゆるポケットの中をまさぐった。そしてくるくるあたりを見回すのだった。どこに落としたのか、確かに数分前にこの手に握っていた搭乗券が消えたのだ。
そんなバカな!!私は何度も声に出していた。探しに戻る時間さえないのではないか。私はもうどうしていいのか分からなかった。所在無くただ無意味に何度もポケットを探る姿は滑稽を通り過ぎていて、私はそんな自分をどこかで悲しく見つめるのだった。
そのうちに、ようやくスケッチブックに挟んでいる搭乗券に気付いた。私はほんの数分前に自分でそうしておいたことを忘れているのだった。あるいは荷物のことに頭が一杯で、他の事は意識にものぼってこなかったのだ。
しかし自己嫌悪に胸を痛めて立ち止まる時間はなかった。ホッとした心をバネにして、私は先を急いだ。今度はしっかりと念を押すように搭乗券を胸ポケットに入れて、それでも心配になって何度もポケットを確認しながら。
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