夕刻に見る北大はとても大きなもののように思われた。常識にあるスケールを超えた空間が雪にまみれて静まっている。門をはいるとそんな光景が私を驚かせた。
大きな常緑樹が、心をはみ出すような広い空間を取って何本も立ち並んでいる様は、童話に出てくるような大男の世界を連想させて、そこからすでに私の感覚はずれ始めていたらしい。
あるいは大きな建物が実に贅沢な敷地の上に建ち並び、それが私の心の間合いを引き伸ばして妙にくすぐったいのだ。
ちらほらと学生達の姿が雪明りの中に見えた。それが私を現実に引き戻してくれた。やがてクラーク博士の胸像があった。それには一向に心動かされはしなかったが、そこから連想される札幌農学校という名が、北海道大学という名称よりもどれだけいいか分からないと思うのだった。
その向こうに並木を見通して北大の主屋がそびえている。それは雪明りの中で黒い大きな塊のように見えている。広い交差点があって、その一方が正門に続いている。要するに私は正門から少し北側の通用門からここに来たのだった。
HPのしてんてん
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