(猫型宇宙探査船スケール号:目に艦長たちのいる操縦席がある。この連載のトップを飾ります。)
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第四話 スケールの世界探査旅行
一、スケールの世界
スケール号はのしてんてん博士が造った猫型の宇宙ロケットだ。艦長の命令で動き、自由に自分の大きさを変えながら、どんな世界でも旅行することが出来る。
艦長はあなた、そう、今これを読んでいるあなたなのです。
あなたは今までにスケール号を操縦して、クリームソーダーの世界や、彗星の世界や、心の世界を旅して、冒険を重ねて来た。その度にスケール号の操縦が上達して、今やあなたは自由自在にスケール号を操ることが出来る。
それでもまだ、スケール号の能力が全部使われたわけではない。それほどスケール号はすばらしい乗り物なのだ。
スケール号の乗組員は、ウサギのぴょんた、モグラのもこりん、ナマケモノのぐうすか、それに時々、のしてんてん博士も一緒に乗る。
ほら、もうあなたの後ろに乗組員達は整列しているよ。
「ぴょんた、参りました。」
「もこりん、参りヤした。」
「ぐうすか、参っただス。」
あなたは艦長らしく、後ろで手を組んで、胸を張って三人を見た。そして重々しい声で命令を伝えた。
「諸君、我々は今までに経験したことのない世界探査の旅に出る事になった。これまでにまして、頑張ってもらいたい。すでにのしてんてん博士がスケール号に乗り込んで我々を待っておられる。直ちに乗船だ。」 艦長の命令で乗組員はいっせいにスケール号に乗り込んだ。
スケール号の操縦室に博士が待っていた。
今まで、博士がスケール号で待っていることなどなかったから、これはきっと何か大変な事が起こったにちがいない。艦長以下乗組員の面々は緊張して博士と向かいあってテーブルに座った。
一体どんな大事件なんだろう。みんなは期待と不安の入り交じった気持ちで博士の言葉を待った。
ところが博士の方はなんとなく楽しそうで、にこにこした顔をみんなの方に向けた。
「博士、どうしたのですか。どんな事件が起こったのですか。今までにない世界探査と言うと、どこに行くのですか。」艦長が聞いた。
「ハハハ、そう一度に聞かれても答えるのが大変だな。」博士がうれしそうに答えた。
「実は私の研究の成果を確かめるために、世界探査旅行が出来ることになったのだよ。」
「研究の成果でヤすか。」
「そうなんだよ。」
「研究と言うと?」
「それをこれから君達に話しておきたいのだ。」博士が言った。
「博士、むつかしいだスか。」
「あんまりむつかしいのはだめでヤすよ。」
博士の話はいつもむつかしいので、みんなは少し警戒している。ぐうすかなどは有名な勉強嫌いだから、なるべく早く博士の話は終わってもらいたいと思っているのだ。もっとも、ぐうすかは、ほとんどその間中寝ているのだけれどね。
「まあまあ、それよりこれからみんなと、大きさ比べゲームをやろうじゃないか。」博士はみんなの機嫌をとるように言った。
「ゲームですか。」
「ゲームでヤすか。それならいつでもいいでヤす。」
「その、大きさ比べゲームと言うのはなんだスか。」
「ルールは簡単だ。最初の人が動物でも何でもかまわない、自分の好きなものを言う。それから順番に、一人ずつ、前の人の言ったものよりも大きなものを言って行くんだ。大きさ比べをして、前の人の言ったものより小さかったら、その人はアウトになる。」
「なんだかおもしろそうでヤすね。」
「やろうやろう、博士。」
「それじゃ、最初はグー、ジャンケンポン。」
ジャンケンポンをして、最初に言う人が決められた。ぴょんたにその役が回って来た。
「それじゃ、えーっと、ゴキブリ。」
「ゴキブリゴキブリなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「えーっと、ネズミだス。」
「セーフセーフ、ネズミネズミなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「ネコ。」
「セーフセーフ、ネコネコネコネコなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「クジラ。」
「ひえーっ、クジラなんて大きくなりすぎでヤす。」もこりんは文句を言ったが、みんなから無視された。
「セーフセーフ、クージラクジラなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「えーっと、えっと、なんでやス・・・」
「動物じゃなくてもいいんだよ。」博士が助け舟を出した。
「それじゃ、海でヤす。」
「セーフセーフ、海海海海なんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「地球!」
「おおっ、セーフセーフ、地球地球なんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「えーっと、つ、月だス。」
「ブッブーッ、ぐうすかアウト!」ぐうすかがみんなの輪から外された。
「あっ、それそれ、地球地球なんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「銀河系。」博士は余裕だ。
「ええーっ、セーフセーフ、銀河系ってなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「博士のあとはいやでヤす。銀河系より大きいものって、あっ、分かった、宇宙でヤす。」
「セーフセーフ、宇宙宇宙なんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「えーっ、宇宙より大きなもの、ええっと、ええっと、大宇宙!」
「ぴょんた、ずるくないか。」艦長が文句をつけた。
「いやいや、セーフセーフ、大宇宙ってなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
「うーん、大大宇宙!」艦長が苦し紛れに言った。
「ブッブーッ、艦長アウト!」
「もうこれ以上大きなものはないだろう。」艦長は納得しない。
「あっ、それそれそれ、大宇宙ってなんだろな、それより大きいものなんて、知ってる人はどこにいる。それそれそれそれ、どこにいる。はい!」
(つづく)
大変大変!!
面白過ぎでヤ~~~す^ ^☆♪
連載、しばらくかかります。お楽しみくださいネ。
ありがとうございました。
ごくごく自分ペースな私のブログを、読者登録していただきありがとうございます。ご挨拶が遅くなって申し訳ありません。
j
大宇宙より大きいもの…何だろう?
何よりも大きいものは眼では見えなかったり、
まだ発見されてなかったり
何よりも小さいものが実は何よりも大きかったり……?
スケール号が何処に着陸するのか楽しみです。
スケール号、今後の活躍を期待して下さい^ね^
花ゆずさんのブログで紹介されていた山法師という木、私知りませんでした。
白い4弁の花、甘い香りが漂ってきそうです。
自分ペースでおたがい楽しんでまいりましょう。これからもよろしくお願いします。