
雪の記憶は、遥かふるさとの少年時代にさかのぼる。長靴を履いて雪だるまをつくり、あるいは学校で雪合戦をした。私は堪え性がなくて、雪玉を4つも作るともう冷たさにたまらなくなってよく雪合戦に負けたものだった。
それにしてもここには雪にうずもれるというイメージがあったのだが、この三月も終わりに近い千歳の雪は、どこかふるさとの雪に似ていると思った。
そんなことを考えながら雪ばかりを見つめて歩いていると、いつの間にか目を焼かれていて、ふと見上げる空が赤かった。
やがて広い雪原に出る。一面の畳のような積雪に、てんてんと足跡だけの小路が淋しげに続いて私の心をくすぐった。その足跡は、広場の中央で別の足跡と十文字に交差しており、私はゆっくりとその一歩一歩を体感しながら交差点まで足を運んだ。左手に続く足跡を目で追えば、その先に不思議な立体が見えた。私は誘われるようにその方向に足を踏み出した。



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