
機内の私と地上の町、その間に何の支えもないという想像は心に奇妙な泡立ちを覚えさせた。
糸のような道路の上を車と思える点がが移動している、誰が運転しているのか分からないけれども、しかしそこでは疑いようもない日常が動いているに違いない。神がいるならこのように人を眺めているのだろうか。それなら私は、その資格もないのに神の座に座らされてこのように落ち着かないのかも知れない。
思考が色々に働き、やがて頼りとする飛行機に対して身を預けることに思いが至るのだった。その思いが始めて私の心に安心を与えた。神の意思に身を任せる。すると硬い座席が私をすくい取る神の手のようにも思えるのだった。
大げさな空想を勝手に広げているうちに、機はもう千歳の上空だった。



※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます