おじさんライダーの徒然日記
おじさんライダーさんのブログから本日も写真を拝借。ご本人からの快諾があったのですが、ここまで利用させていただく以上、ライダーさんのブログの宣伝もしておきます。泉南市のバイクのライダーで、行く先々の風景や食べ物をきれいな写真で紹介しています。まだお会いしたこともないのですが、個展の折には来ていただけるということで、その日を楽しみにしております。
この写真は浄光寺の大門、その奥に本堂が見えます。
さて、その本堂でしばらくお内儀さんと話しているところに、作務衣を着た御住職が、お待たせしましたと、とても低い腰であいさつされた。
威厳を見せないしなやかさを、私は心の奥の方で感じ取った。力に威圧されやすい私の心を自由に遊ばせてくれるその広さが、細面のお体と対照的印象があり、不思議な感情を覚えた。
「どんな御用ですかいな」
「このお寺で個展をさせていただけないかと思いまして」
私は持ってきたカタログを繰りながら、大阪平野の全興寺で10年続けさせてもらった個展の様子を見せた。お寺の展示をお願いするには、それが一番近道だと思ったのだ。
しかし御住職の反応は淡々としたものだった。私が開くカタログを手に取ろうともせず、ただ聞くだけという印象で、私は少し焦って、このお寺に私の絵を展示する意味が、私にとって如何に大きいかを説明し始めた。(ダメかな・・・)心の中でそう思いながら。
「ここは人の集まらん寺でな」
私の話の区切りのところで、御住職はポツリと言った。
「私にはやることに意味があるのです。これは私の心を掘り下げるためにやってみたいと思っています。その作品を檀家さんに見てもらうだけで私には大きな励みになります。」
「この寺で商売はお断りしているんだが」
「もちろん、そのつもりはありません。心の奥の底まで下りて行ったときに、私の絵が浄土の入り口になる。そう信じたいのです」
「ではやってみますか」
淡々とした御住職の言葉だった。一瞬それがOKの意味だと気付かないほど流れるような言葉で、私の反応はそれから数拍遅れた返事となった。
「ありがとうございます。時期は来年の5月連休あたりを考えているのですが」
「それなら、ちょうど5月は6日7日頃に永代経がある。信者さんが集まる機会があるので、その日を重ねたらどうかな」
御住職の静かな対応の中に、きらりと熱い色が見えた。
話している間に、私の頭に個展の構想が出来上がった。
本堂の10m近くのふすま壁に壁画を描く。期間はあと半年だ。そのことを私は御住職に告げた。雲をつかむような計画がこの日から始まった。
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