三、ピピちゃん
遊園地に来たのは何年振りだろう。艦長もぴょんたも、もこりんもぐうすかも学校の遠足で来て以来の事だ。遠足で来たときには、自由に遊べる時間なんてほとんど無かったように覚えている。
今日は調査のために、一日中遊べるのだ。こんな仕事だったらいつでもいいとみんなは思うのだった。それに、遊園地の開門を列の先頭で待つというのは最高の気分だ。艦長たちの後ろにはいつの間にか子供連れの家族が何組も並んでいるのだった。
きれいなお姉さん達がゲートに入って、入り口がいっせいに開けられた。入場を済ませると、子供達は我先に自分好みの乗り物に向かって駆け出した。
ぴょんたはジェットコースター。
もこりんはウオータージェット。
ぐうすかはポップコーン屋さん。
艦長は観覧車。
四人はばらばらに走りだした。偉いのはやっぱり艦長だ。
ぴょんたも、もこりんもぐうすかも、自分の趣味に走ったのに、艦長だけはこれから調査する遊園地の全体をまず頭に入れようと、遊園地で一番高い観覧車を選んで乗り込んだのだ。
観覧車がじわじわと上に上がって行き、艦長の視界が少しずつ広がって行く。観覧車が遊園地のちょうど中央にあって、艦長の考え通り、ここからよく遊園地の様子が眺められた。 遊園地の北側に、白いレールが複雑に交錯したジェットコースターが見える。その横に大きな通りがあって、細長い池が見える。白鳥のボートが何槽か浮かんでいる。池の向こうはゴーカートの広場だ。
東の方は朝入って来た入場門がある。その横に大きなショッピングセンターがあって、その前の通りには、アイスクリーム屋やポップコーン屋が並んでいる。きれいな花時計も見える。
南には飛行塔やコーヒーカップ、ウオータージェットが並んでいる。色鮮やかなタコ型のローリングウエーブが遊び心をくすぐるような面白い動きをしている。メリーゴーランドがその後ろに半分見えている。そこから遊園地を一周している子供鉄道がある。その駅が一段高い所に作られている。次はあれに乗ろうと艦長は考えた。
ぐるりと遊園地を見回して、最後に西を見ると、そこに一番目立っているのが魔法のじゅうたんと海賊船だった。その下には映画館や、びっくりハウス、それにお化け屋敷まで並んでいる。怪しいと言えば、あのお化け屋敷だろうか。艦長はなんとなくそんなことを考えてた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます