
アヒルが数匹人なれた様子で遊んでいた。その水底にはたくさんの魚が泳いでいた。ウグイや鱒だろうか、その姿は鋭く、無駄のない動きが若々しく思えるのだった。
雪解けの冷水の中で魚たちは溌剌とその体躯をしならせ、素早い動きを見せている。なんだか私まで自分の体が引きしめられて行くように思われ、私はしばらくこの魚たちの泳ぎに見とれていた。
庭園を一巡するとすぐそばに千歳川が柵越しに見えた。その流れを見ているうちに、私はこの庭園の造られた島々がなんだかつまらないもののように思えて、私はあとも見ずに庭園を出て再び歩き始めた。
そこからはいつも千歳川が左手に見えていた。その流れを遡って支笏湖に向かうアスファルトの道を私はもう何も考えずに進んで行った。
千歳川はぐんぐんと流れ、厳しさと清らかさと、そして若々しい雪解けの水。その姿は今まで見たどんな川よりも美しいと思えるのだった。
急流と蛇行、そして岸辺の枯草。葉を落とした落葉樹の姿が雪景に黒々と浮き上がり、すべてが調和して千歳川の自然を作り上げていた。



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