秋の夕暮れは早い
本堂の採寸を手短に終えようと、猛スピードでスケッチしてとメジャーを使った。
妻の手助けで何とかお内儀さんが雨戸を閉めて回る間に、ほとんど肝心のところは採寸出来た。10分はかからなかったか。
そのうちに、御住職が帰ってこられた。外はもうほとんど闇だった。
本堂の上がり階段に座って、初めて御住職と向き合った。
「若い人の自死はつらいですな」
今日の法事は、お葬式だったようで、御住職は家族の悼みを一身に背負ったような深い顔つきをされていた。
私は返す言葉も見当たらなかった。詮索よりただそのすべてをそのまま受け取るしかない気がするばかりだ。
人は苦しんでいる。人が生まれて何千年もの歳月を経ながら、今だその苦しみは延々と続いている。幸せを求めるはずの知恵と技術がこの苦悩をさらに複雑にしているのが現在の私たちの姿というしかない。
謙虚になって、見失いがちな幸せの形を壁画にしてみせる
そして私のスタートは
この心にえがいた言葉の不遜を見つめることから始まるのだ。
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