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今日中に札幌まで帰るという強い気持ちがあって、私はそのまま国道に沿って歩くのはやめ、そのまま国道を横切って海岸に出た。
夏には海水浴場となるのだろう、雪に包まれた浜辺には夏の小屋が寒そうに眠っていた。
私は雪に埋もれた海岸を岬の方に歩いて行った。目の前に横たわる岬はその先端に忍路港を構えている筈であった。岬は海に突き出た壁のように見え、海岸を歩いて行きつくその先から壁を這いあがるように、白い道がZの字を描いている。
私はその道を登って忍路の村に行き、そこから忍路のバス停に出て帰ろうと考えたのだ。
谷にそうて
枯れた林の傍らをのめるやうに直滑降してから
僕たちは雪を蹴立てて
次々にJumping stop した。
そして目の下に
吹雪の忍路の村を覗いた。
また暑い8月には
紺の海を小舟に帆を張って
まっしぐらに
静かな忍路の港へのり入れた。
月夜にはよく足駄がけで歩いて通った。
忍路は蘭島から峠を越したところ
僕の村からも帆走出来るところ。
そこに頬のあはいまなざしの佳い人があって
濱風のなでしこのようであったが。
青春の日々の中で、伊藤整がうたった詩の通り、忍路はこの岬を蘭島から超えたところにあるのだ。
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