徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

お正月と「高砂の松」

2015-12-27 21:42:42 | 歴史
 わが家は正月になると、床の間の掛軸を正月用に変える。祖母が生きていた時代には既にならわしになっていたので、始まりは相当昔に遡るのかもしれない。
 右の写真がその掛軸なのだが、世阿弥の作と伝えられる謡曲「高砂」を画題とした絵と、それにちなんだ和歌が添えられている。絵は高砂の松を背景に熊手や箒を手にした翁と嫗が描かれている。和歌の方は部分部分読み取れない字があるので、まだ完全解読はできていない。

 この謡曲「高砂」は熊本とゆかりのある作品で、阿蘇神社の第二十六代宮司だった阿蘇友成がワキとして登場する。この話は今から1000年以上も前の延喜年間に、友成が宮中参内のために京に上った時の出来事がもとになっているという。友成が持ち帰った松の実は阿蘇神社境内に植えられ、以来千年余も大切に育ててきた「高砂の松」は、縁結びや夫婦和合、長寿の象徴として今日も多くの参拝者を集めている。

■謡曲「高砂」あらすじ
肥後国阿蘇宮の神主・友成は、都へ向かう途中、播州高砂の浦に立ち寄る。そこへ現れた老夫婦に、有名な高砂の松はどれかと尋ねる。老人は高砂の松を教え、遠く離れた住吉の松とともに「相生の松」と呼ばれるいわれを語る。そして老夫婦は様々な故事をひいて、松のめでたさを語り、実は自分たちは相生の松の精であると明かし、住吉で待つと告げて沖へと消えて行く。というお話。

 阿蘇神社にはもう随分長いことお参りしていないので、来年こそは久しぶりにお参りしたいと思っている。




阿蘇神社


高砂の松

※阿蘇神社の写真は熊本素材写真アーカイブス「キロクマ!」さんからお借りしました。