一昨日投稿した記事「ザ・わらべ@熊本城本丸御殿 舞踊撰集」に、ブログ友の小父さん様がとても面白いコメントを寄せて下さった。
最後の曲「熊本自転車節」の二番の歌詞から、映画「明日に向かって撃て!」の主題歌「雨にぬれても(Raindrops Keep Falling On My Head)」を連想されたそうだ。
「明日に向かって撃て!」は1969年に公開されたアメリカン・ニューシネマの代表作の一つとされる西部劇。バート・バカラックとハル・デヴィッドの名コンビによる主題歌「雨にぬれても」(唄:B.J.トーマス)は、主人公のブッチ(ポール・ニューマン)と相棒サンダンス(ロバート・レッドフォード)の妻エッタ(キャサリン・ロス)が自転車に乗って戯れる印象的なシーンで使われたこともあって大ヒットした。
小父さん様が「自転車節」に注目されたコメントを読んでふと思い出したことがあった。それは夏目漱石の「自転車日記」のことだ。漱石が熊本を離れ、ロンドン留学に赴いたのは明治33年(1900)。そして日本への帰国も迫っていた明治35年(1902)の某日、下宿先の婆さんから強制的に自転車の練習をさせられる様子が描かれている。
一方、ブッチ&サンダンスがユニオン・パシフィック鉄道の急行列車を襲ったのが1899年、明治32年のことで、映画で描かれた自転車乗りはその後の出来事として描かれている。つまり、漱石とブッチ&サンダンスの時代は重なっていて、生年はブッチが漱石より1年早く、サンダンスは漱石と同い年なのである。19世紀の後半頃から、ヨーロッパでは自転車が大流行しており、それはアメリカにも伝わっていたことがわかる。自転車の流行は日本にも伝播した。日本でも明治のなかばには国産車も作られ、輸入も行なわれていたが、まだまだ自転車は一般庶民には高嶺の花。そこで自転車の時間貸しという商売が生まれ、借料は高価だったにもかかわらず大流行した。明治42年(1909)に、こんなハイカラ風俗を風刺した演歌師、神長遼月が作った「ハイカラ節」が流行、翌43年(1910)には「自転車節」として広く歌われていたらしい。昨年の大河ドラマ「いだてん」で使われた「熊本自転車節」はそんな時代背景を象徴する一つでもあったのだろう。

大河ドラマ「いだてん」で「熊本自転車節」を唄いながら自転車を漕ぐスヤ(綾瀬はるか)
最後の曲「熊本自転車節」の二番の歌詞から、映画「明日に向かって撃て!」の主題歌「雨にぬれても(Raindrops Keep Falling On My Head)」を連想されたそうだ。
「明日に向かって撃て!」は1969年に公開されたアメリカン・ニューシネマの代表作の一つとされる西部劇。バート・バカラックとハル・デヴィッドの名コンビによる主題歌「雨にぬれても」(唄:B.J.トーマス)は、主人公のブッチ(ポール・ニューマン)と相棒サンダンス(ロバート・レッドフォード)の妻エッタ(キャサリン・ロス)が自転車に乗って戯れる印象的なシーンで使われたこともあって大ヒットした。
小父さん様が「自転車節」に注目されたコメントを読んでふと思い出したことがあった。それは夏目漱石の「自転車日記」のことだ。漱石が熊本を離れ、ロンドン留学に赴いたのは明治33年(1900)。そして日本への帰国も迫っていた明治35年(1902)の某日、下宿先の婆さんから強制的に自転車の練習をさせられる様子が描かれている。
一方、ブッチ&サンダンスがユニオン・パシフィック鉄道の急行列車を襲ったのが1899年、明治32年のことで、映画で描かれた自転車乗りはその後の出来事として描かれている。つまり、漱石とブッチ&サンダンスの時代は重なっていて、生年はブッチが漱石より1年早く、サンダンスは漱石と同い年なのである。19世紀の後半頃から、ヨーロッパでは自転車が大流行しており、それはアメリカにも伝わっていたことがわかる。自転車の流行は日本にも伝播した。日本でも明治のなかばには国産車も作られ、輸入も行なわれていたが、まだまだ自転車は一般庶民には高嶺の花。そこで自転車の時間貸しという商売が生まれ、借料は高価だったにもかかわらず大流行した。明治42年(1909)に、こんなハイカラ風俗を風刺した演歌師、神長遼月が作った「ハイカラ節」が流行、翌43年(1910)には「自転車節」として広く歌われていたらしい。昨年の大河ドラマ「いだてん」で使われた「熊本自転車節」はそんな時代背景を象徴する一つでもあったのだろう。

大河ドラマ「いだてん」で「熊本自転車節」を唄いながら自転車を漕ぐスヤ(綾瀬はるか)