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熊本ではいつの間にか公開が終っていた「山桜」。DVDのリリースを待ち望んでいたが、やっと今日からレンタルが開始されたのでさっそく借りてきた。藤沢周平ものなのでどうしてもおととい見たばかりのTVドラマ「花の誇り」と比べてしまう。映画とTVの作り方の違いはあるにせよ、どうしてこうも印象が違うのか…。藤沢周平の小説は簡潔な文章の行間を読者の感性で読ませるようなところがあるので、感じ方は個人差があるとは思うが、この「山桜」は藤沢周平の世界を見事に映像化していると思う。篠原哲雄監督の作品はこれまで「地下鉄(メトロ)に乗って」「天国の本屋~恋火」「深呼吸の必要」「はつ恋」「月とキャベツ」などを見ているが、この初めての時代劇は彼の代表作の一本になるだろう。もちろんそれは脚本の飯田健三郎、長谷川康夫両氏の力によるところも大きいだろう。またヒロインの田中麗奈が良い。最近、話題作に立て続けに出演しているが、まさに今が旬の時期かもしれない。藤沢周平ものというとどうしても山田洋次監督の一連の作品を思い出すが、あえて山田組の役者を使わなかったことも新鮮な印象を与えている。個人的には今年の日本映画のベストテンの中の一本に入れたい。
主題歌「栞」(一青窈)