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NHKのBS2で放送している「男はつらいよ」シリーズに、今週土曜日(9/2)いよいよ第29作『寅次郎あじさいの恋』が登場する。全48作の中で一番好きな作品だ。マドンナ“かがり”の役を当時34歳のいしだあゆみが演じるが、マドンナ役は、浅丘ルリ子のリリーを始め、松坂慶子や太地喜和子などカラッとしたキャラクターが多い中、このかがりはものすご~くウェットで、それがまたたまらない魅力だ。かがりの故郷、丹後半島の伊根の舟屋や、鎌倉のアジサイ寺、京都の町家の風景など、シリーズ特有の昭和風物詩的な見どころも多い。特に伊根の舟屋での寅さんとかがりの別れのシーンなどは、全シリーズ中でも白眉のシーンだ。また、第13代片岡仁左衛門が人間国宝の陶芸家を演じているのも興味深い。ある意味ではこのシリーズが芸術的な価値を確立した一本とも言えるのではないかと思う。多くの皆さんにお薦めしたい。