縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

黒い縄文土器・・・燻し焼き焼き

2021年07月02日 07時35分47秒 | 縄文

毎度のごとく燻し焼きを工夫しているが、今回は出土品っぽい雰囲気に色がついてくれた。

以前は均質な真っ黒を目指していたが、赤茶やこげ茶と適当に色ムラがあるのもいい。

造形もムンクの「叫び」や北斎漫画の表情をイメージしたりと、ヒスイ加工より短時間で結果が出せる粘土遊びは楽しい。
 
風で飛ばされた笠を追いかける旅人の困惑の表情を、筆をおく加減だけで表現した北斎の筆致は、土偶の表情や今日の漫画にも繋がっている気がするし、「神奈川沖浪裏」の大胆さは「太陽の塔」に繋がっている。
私は縄文の匂いがするものが好きだ。岡本太郎的な表現だと「無条件にあけっぴろげ」なるもの。
ぬなかわヒスイ工房の縄文オカリナを販売したいという人に商品を送ったら、色ムラがあるし、大きさもサイズも均一ではないと返品されたことが一度だけある。一個づつ手作りしてるから当たり前なのだが、均質性を求めるなら工業製品のように型抜きされてオーブンで焼いたプラスチック粘土製品を売ればいいのだ。
 
初心者でも失敗せず、その日のうちに持ち帰ることのできる実際に煮炊きできる土器作り・・・今のテーマ。
 
 
 

世界ではじめて長者ヶ原遺跡で遮光器土偶を作ったタマシイの記録( ´艸`)

2021年06月26日 07時55分48秒 | 縄文

これな~に? 遮光器土偶オカリナです! え”~!!!

タヌキでしょ?
 
見本を観ながら作ったのに、タヌキ、デーモン小暮、宇宙人にしか見えない超個性的な遮光器土偶に笑い過ぎて、腹筋が筋肉痛になりましたぞ。
これが噂のデーモン小暮オカリナ
 
顔だけとはいえ、長者ヶ原遺跡で遮光器土偶を作ったのは、ワシらが最初かも知れず、とりあえず世界初の快挙ではある。
宇宙人だよなぁ・・・。
 
最初に遮光器土偶を作って見せたら、型抜きじゃなかったんですかぁ?!と驚いていたが、前から一個づつ手作りしてると言っていたのにぃ・・・ボクを信じてぇ(´;ω;`)
次は、実際に煮炊きできる縄文土器に挑戦させますゾ。
できたての柔らかい土器とオカリナを、その日のうちに焼成できたのも快挙かな。
 
初心者向が失敗しない工夫を検討中!
 
 

思えば遠くに来たもんだ・・・柔らかい状態の縄文土器を野焼きする

2021年06月24日 07時52分09秒 | 縄文

夏至の朝日を長者ヶ原遺跡で観る会で、久しぶりの土器作り体験会。

通常は成形した後に1~2週間は乾燥させてから焼成するのだけど、参加者が持ち帰りやすいように少しでも乾燥させようとバーベキューコンロの熾火で乾かしていたら、予想外に赤く変色した炙り焼き状態までいってくれた。

それならばと本焼きしてみたたら、大成功してびっくり。写真は炙り焼きを終えて本焼きする直前の状態
 
20年くらい前に独学で土器作りをし始めた頃の私なら、神業と感じて弟子入り志願したに違いないが、要は粘土の乾燥具合の見極めと、火加減コントロールだけのことで、これができて初めて中級レベルと言えると思う。
縄文土器作りの基礎と言える技術が、いつのまにか身についていたことに感慨無量。
 
思えば遠くに来たもんだ・・・。
参加者が作ったミニチュア土器は、火焔型土器をイメージしたらしいが、もしかしたら史上初かもしれない土器の内側に縄文を施文した土器もあり、大いに学ばせて頂いた(笑)
 
次回は実際に煮炊きできる縄文土器を作らせてみたい。
 
これは私の学びの機会。さらなる高みを目指す。
 
 
 

夏至の朝日を長者ヶ原遺跡で迎える

2021年06月22日 12時09分40秒 | 縄文

前日までの梅雨空が一転して、夏至の朝日を長者ヶ原遺跡で迎えたいという念願がやっと叶った。

同じ場所で複数回の建て替えをした痕跡のある1号住居は、祭祀場の役割が示唆される大型の掘立柱建物に最も近く、また住居群のなかで最も早く朝日が差し込んでくる東端に位置する。
酋長や呪術師のような特別な人が住んでいたのではないか?と素人ながらに推測しているが、早朝の暗い内でも1号住居の周囲だけ明るく、寝心地もいい。
 
これは何度も宿泊して得た実感。
 
天気が持ってくれたので、黒姫山登山の後に夕陽もみることができたのは幸運。
そして今回の学びのひとつに、夏とはいえ標高90mの長者ヶ原の早朝は冷えるので、ガウンのように手足を出して歩ける寝袋が非常にいいということ。
 
イモムシみた~い!カワイイ!と人気で、私も欲しい( ´艸`)
 
ヌクヌクした体温が残った寝袋を着て歩けるのは、荷物が減らせるし、防災面からもいいと思う。
 
 
 

 


あ”~んと大口を開けた土偶をオカリナ化

2021年06月12日 07時38分39秒 | 縄文

あ”~んと大口を開けた土偶をオカリナ化して、粘土が白くなるまで日干し。

底に貫通孔を開けたタイプ、チンポコ状突起の孔を指孔にしたタイプ、サイズ、製作工程など納得のいくまで試作。

 
実物の半分のサイズでも、オカリナとして機能することを確認した。
 
オカリナ体験会の時に焼成して見せれば、未経験者でも製作工程を理解してもらえると思う。
 
中空内部を削る治具を自作したが、「作りたいモノを作るための道具を作る面白さ」も知って欲しいし、自分で全部できるようになれば、安上がりに創作の喜びが味わえる趣味としてオススメ。
 
 

あ”~んと大口をあけた男の子の土偶・・・八戸の筒型土偶

2021年06月10日 07時34分32秒 | 縄文

「はい、あ~んして」・・・「あ”~ん!」

作者の子育てを物語っているかのような筒型土偶。
八戸市の縄文仲間、佐京さんがSNSに投稿した土偶の写真に笑ってしまい、詳細が知りたいと連絡したら複製を送ってきてくれた。
以下の写真は、佐京窯さん製作の複製。側面。
 
底近くにチンポコ風の突起があり、内部まで貫通しているので、注口器土偶の類型であるらしい。
側面その2.
 
顔が「合掌土偶」に似ているし、文様からも後期から晩期くらいの土偶ではないか?
背部。
 
中期だと口から底に貫通した孔を持つ「笛形土偶」もあるので、このあ”~んと大口をあけた土偶をモチーフで、オカリナを作ってみることにした。
正面
 
「筒型土偶」としか名前がなく、それほど有名な土偶ではないので、ニックネーム募集中!
 
長野の考古学者さんなら親しみやすいネーミングをして、博物館のマスコットにしそうですぞ。
 
ボトムアップ式にかわいい土偶として人気者になり、出土地の階上町のマスコットキャラクターになったら面白い。
 
日本列島に住む人々は、大昔からお家芸といえるくらいに漫画的表現が好きであったらしい。
 
目と口を点だけで簡素に表現しただけの、北斎漫画、松浦武四郎の描くところのアイヌ民族風物画などなど。
 
かわいい!が好きなのね。
 
 
 

縄文の音・・・中空土偶はオカリナであったのか?

2021年06月08日 07時45分22秒 | 縄文

久しぶりにオカリナ教室をやることになり、今回は大人ばかりなので見本を一工夫。

縄文時代の土笛には、粘土塊に孔をあけて模様を付けや簡素なタイプと、凝った意匠を施した中空土偶タイプがあり、子供向けなら前者がベストで、好みのキャラクターを作ればいい。
粘土に孔をあけて成形しただけのシンプルタイプ。下側は「縄文の杜の楽しい仲間たちシリーズ」の、手乗りのテトラとヤッホー・カテイちゃんデス( ´艸`)
中空土偶タイプは上下に別れたパーツを潰さないように接合して成形、文様を付けるので作る手間暇がかかるが、容積がある分、一升瓶を吹いた時のようなボーという低い音がする。
 
土笛と報告されている出土品もあるが、はたして孔が1個ないし2個ついた中空土偶がオカリナであったのかどうかは不明。
 
中空土偶がオカリナのバリエーションを幾つか見本に作ることにした。シンプルだけど奥深い縄文の楽器は、息の音、風の音。
呼吸器も消火器も大気と繋がっているから、人間の体と相似形なんだなぁ、と思えてくる。
 
弦楽器も打楽器も空気を振動させているんだなぁ、と当り前なことに気付いて、不思議な感動をする。
 
こういった発見が体験会の醍醐味。
 
 

チューリップ王国の守護神・・・かわいい武人埴輪の物語

2021年06月05日 07時46分09秒 | 縄文

武人埴輪であるらしいが・・・本来なら衝角付兜を被っているはずが、チューリップの蕾を被っている?

はたして作者がこっちの方が売れると考案したのか?
いやいや、チューリップ王国を守る武人の物語が独創されているのか?大映のSF特撮映画「大魔神」みたいな・・・怒ると形相が一変するような・・・あれはおっかなかったナ。
 
それとも本当にこんな武人埴輪があるのか?
 
笑いをこらえて観察していたら、「ヤマダさ~ん、欲しいのぉ?」と聞かれてたので、「いやぁ・・・かわいい埴輪ですねぇ」
 
「安くしておくよぉ~・・・✕✕円でどう?」「そりゃぁ安い!わははははははぁ~、どーもどーも」とお茶を濁すしかなかった( ´艸`)
 
唯一無二のかわいい置物を飾りたい方に、おすすめしたいデス。
 
私はモノより、この埴輪を作った人に会ってみたいデス。すぐ友達になれると思うナ。
 
 

なんでアイヌ民族は上長下短の弓を使わなかったのか?・・・縄文の弓

2021年05月18日 07時21分10秒 | 縄文
郡山市の大安場古墳の博物館で、縄文晩期出土の「上長下短」になった丸木弓を発見!
3,000年前のマユミ(真弓)で作られた湖南町の「山ノ神遺跡」出土品であるとのこと。縄文時代の弓の完形は、富山の桜町遺跡で観た以来の珍しい出土品。
 
日本の弓、すなわち和弓は、手に持つ部分より上が長い「上長下短」の特徴をもち、「世界に類例のない日本独自の弓」とする武具の研究図書を読んだことがあるが、そんなことはなく、私のような素人でさえラオスで観たことがある。
 
ただしラオスで観た「上長下短」の弓は、弦の中央が小さな籠編みになっていたので、矢ではなく石礫を飛ばす弾弓であるらしく、調べたら正倉院に螺鈿細工の同様な弾弓が収蔵されていることがわかった。
 
しかし「魏志倭人伝」には、倭人の弓は「上長下短」の特徴を持つことが珍奇であるニュアンスをもって記述されており、世界的に少数であることは確か。
 
樹の枝を利用するので、幹側と枝先側では密度が違うことから均等の力で弓を引くためにこの形状であるとか、片膝をついて矢を放つためであるとか、飛距離を伸ばすための長弓の振動を減ずるためとかの諸説があるが、人類学者の金関丈夫は水面下の魚を狙って獲る漁労具という民俗例を紹介している。
 
不思議なのはですねぇ、アイヌ民族の丸木弓(単材弓)が「上長下短」ではなく、上下が対称形であるということ。
 
縄文以来本州で使われてきた「上長下短」の和弓を、往古は不明ながら、なんで近代のアイヌ民族は使わなかったのか?
 
北海道方面の弓はシベリア系であり、「上長下短」の弓は本州以南で考案されたから?
 
北海道の縄文遺跡からの弓の出土例を調べてないので、これ以上は私にはわからない。
 
あぁわからない、わからない・・・調べるほどわからなくなるのが面白い( ´艸`)
 
 
 

郡山に文化はないという自嘲・・・足元のスゴイ文化

2021年05月16日 09時47分58秒 | 縄文

土器つくり経験者アルアルなのは、好きな土器の良いとこどりをすると、造形に齟齬が生まれてヘンテコな土器になってしまうこと。

現在人が作ったオリジナル縄文土器にも上手にまとめたものもあるが、お上手ですねとは思っても眼にゴツゴツと当たって写り、何かが違うと感じる。
 
つまりは実物の縄文土器は、足し算も引き算も許さない完璧なデザイン。
 
この違いは、生活実感が産み出した造形か否かなのだろうか?
 
その点、福島の大木式土器は一味違う。
福島は火焔型土器の北限だが、鶏頭冠突起(けいとうかんとっき)の上部に渦巻が施文されている大木式土器。
越後、北陸、関東の土器様式に影響を受けながら、例えば火焔型でも越後は同じ形の四つの鶏頭冠突起(けいとうかんとっき)を持つに対して、こちらでは異なる二組の突起を組み合わせたり、二つしかなかったりするので、スッキリした印象を受ける。二つの鶏頭冠突起を持つこちらは郡山市の「大安場古墳」の博物館収蔵品。
使いやすい口縁部が平ら土器でも、S字と逆S字を組合せた心憎い造形
実に見事な再構成で、これぞ造化というもの。
左の鶏頭冠を持つ土器などは一見して火焔型だが、施文は北陸系土器の影響が見て取れ、中央の紡錘形の文様は八ヶ岳周辺の「出産文土器」の雛形を彷彿させるではないか。
 
神像こそ施文されていないが、信州南部の藤内遺跡出土の「神像筒形土器」に似た雰囲気の深鉢もあった。
 
どこかオリエンタルチックな大木式土器。
 
福島の内陸部の磐梯山と猪苗代湖は、八ヶ岳と諏訪湖に対応する、見通しのいい緩やかな傾斜面を持つ地形であることに気が付いた。
 
石皿も信州に似ており、「火山の周辺に栄えた縄文文化」を濃厚に感じる。
 
尾根筋や川筋といった山岳ルートが予想外に発達していたことを知ったが、浜通りからは太平洋側の文化も入っているので、新潟には少ない古墳も豊富で装飾古墳まである。
 
郡山の人は「郡山には文化がない」と自嘲していたが、凄い文化があることを知って欲しい。