正月明けくらいから、寺町区の男同志が会うと「いよいよだね~」「いよいよだわい。今年も頼むわんぜ~!」と挨拶が交わされるようになる。
男たちは四月十日に開催される、一の宮春季例大祭「けんか祭り」を心待ちにしているのだ。
一人でも多くの人に見学に来て欲しく、これから祭りまで「けんか祭り」の紹介をしていくことにするので、みなさん見学に来て下さい。
多くの祭りが参加者や見学者を集めるために、祭りの開催日時が土日に変更されていくなか、けんか祭りは昔ながら四月十日のままであり、今年は平日の木曜日の開催なので見学者が少ないかもしれない。
例え平日でも男たちは嬉々として仕事を休んで参加するし、当日に雨が降ろうが風が吹こうが関係なく決行される祭り・・・これは素晴らしいこと。
浅草の三社祭りの宵宮で大雨の時があり、ピクニックじゃあるまいに神輿を出さなかった町会があったのだ。
ただ四月十日の祭りといっても本来は旧暦のことであり、今年の祭りを旧暦表でみると三月十一日が昔通りの日程である。
明治時代以降は旧暦から新暦に変更されたために、各地の祭礼で多くの混乱が起こったことがあるという。
新暦では季節が一ヶ月も後にずれてしまうし、祭りは古今東西、つごもり(月籠り・・・つまり新月)や満月などの月齢に合わせて開催されることが多いからである。
民俗学者、宮本常一によると明治の頃は旧暦通りに祭りを開催すると罰せられたそうだ。
神事とは国家が管理すべきものではないのだが、国家権力とはなんと野暮な存在であることか・・・。
さて、けんか祭りに話を戻す。祭り当日は禊から始まる。
祭り当日の朝六時、雪解け水でまだ冷たい日本海で禊が行われる。
盛大な焚火とお神酒の乾杯で気勢を挙げて、往年の浜っこ達が子供のころから遊んできた海に入る。
海水は氷水のように冷たい年、生暖かい年とその温度は色々だが、波が高い時は膝くらいまで海に浸かって済ませる。
糸魚川市の浜は急に深くなっており、引き波が強いので波が高くて海水温度が低い年は危険なのだ。
寺町区の禊は役付きは白の越中褌姿で押上区は赤の越中褌姿。
フルチン姿の豪快な人もいる。
豪放磊落を絵に描いたようなフルチン派のKさんに聞いたら、「男同士でなにショウシイ(笑止が語源?恥かしいという意味の方言)ことぁ無いわい!」とカラリと笑った。
マスコミやギャラリーも結構多いのだけども・・・(笑)