自宅の前に保育園と小学校がある。
児童たちの散歩コースが自宅裏なので、いつの間にかお袋と児童が友達になって、私の見知らぬ子供たちが家に遊びに来るようになって久しい。
そんな中、お袋は主婦仲間と共に、月に一度は小学校の児童たちを招いて郷土料理教室や昔遊びの体験会などのボランティア活動をするようになった。
12月最後の会は、稲荷ずし作りと宝引き(ホウビキ)。
ボランティアの主婦たち。お袋が個人的に始めた行事に賛同した民生委員仲間が集まってくれている。
糸魚川に限らず、かっての日本の冠婚葬祭は全て自宅で行っていたが、今は昔の物語り。この行事を支える主婦ボランティア達は、自宅でヒトの誕生から死までを親戚中が集まってニギヤカに執り行っていた時代を懐かしんでいるようだ。
宝引きは昔の正月遊びで、胴元が何本も束ねた紐の根元を持って中央の空間に投げ出すと、周りの人達が競って紐の先を奪い合う。
どれか一本の根元に孔開き銭などが縛り付けてあり、孔開き銭が結び付けてある紐を引き当てると、商品が貰えるというもの。
商品といってもお菓子や蜜柑くらいの他愛ないものだけど、胴元が丁々発止と参加者を囃すのが上手だと物凄く盛り上る。
買ったオモチャにはない素朴な味わい、全員参加の愉しい遊び。
「ええかいねえ・・・投げるわんだよう・・・」と子供たちをじらすように宝引きの紐をさばくお袋。年季が入っているので上手。
紐を投げた途端に「わ~!」と歓声を挙げて我がちに紐に群がる子供たち。お宝を引いた子供が躍り上がってポーズを決めていた。今時の子供でも盛り上がる。
地域振興や文化行事などといった大上段に構えた行事ではなく、お袋は子供たちがニギニギしく遊ぶ姿を観るのが好きなのだ。
子供の喜ぶ顔が観たいというだけの温かな行事、
主婦たちの手作りイベント・・・いいじゃないか。
行政や色んな団体が主催する子供イベントは、金がかかる割に人も集まらず内容がお粗末といったものが多い気がする。
そんな団体の会議に出ると議題に上がるのは「ヒト・モノ・カネ」をどうするのか?という問題で、特に予算をどこから?という事。
挙句の果てが一回きりの打ち上げ花火的なイベントをやって、ノルマ達成という自己満足で終わっている(笑)
でもお袋たちのように個人的に手作りの楽しい行事をやっていれば、お金もかからず立派な地域振興になると思うのだ。
我が家の子供会はもう十年以上は続いている。