旧石器時代に無かった道具で、縄文時代に発明された道具は、煮炊きに使う縄文土器、木工用の磨製石器、弓矢などなど。
土器の発明で木の実のアク抜きや温かい汁物が食えて、安定した食生活が贈れるようになったのだ。
石器全体を滑らかに磨いてある磨製石器のお蔭で、木工技術が飛躍的に向上して、竪穴住居や丸木舟、木の器なんが作られるようになったし、弓矢のお蔭で狩猟の効率も増大した。
だから竪穴住居遺構と縄文土器、磨製石器の三点を「縄文三点セット」と呼び、この三つが揃って出土すれば縄文時代の遺跡である事は間違いがないとまで言われている。
でも絶対忘れてはならないのが、石皿と磨石(スリイシ)のセット。
石皿は、扁平な安山岩などの上部を凹ませて、賢果類、つまり木の実をすり潰してアク抜きをし易くしたり、食材を潰してクッキーやハンバーグ状の食い物を加工する、すり鉢のような道具。磨石はスリコギですな。
ぬなかわヒスイ工房製の石皿は、安山岩ではなく石英粒がたくさん混じった糸魚川特有の砂岩製。この硬い砂岩がヒスイや磨製石器作りの時の砥石に利用されており、石材加工を専業?のようにしていた奴奈川族の必須アイテムだったのだ。
すり潰した木の実を出しやすいように、石皿の一端を片口のように切欠いてあるのが私の工夫。
稀に、赤く染まった石皿も出土するのだけど、これはベンガラ(酸化鉄)を粉砕して赤い顔料を作っていた道具だろう。
粉末状にしたベンガラを水で溶けば、「もののけ姫」が顔に塗っているフェイスペンティングになり、膠や漆などで固着すれば赤い塗料になる。
知人の画家に作ってあげたら、顔料を潰すには乳鉢よりも効率がよくて使い易いとの事。写真は私が糸魚川産の鉱物を石皿ですり潰して作った11色の顔料の色見本で、白はヒスイの粉を使った。メデユーム(定着材)はアクリル系を使用。
土器や磨製石器と同様に、石皿も縄文人(見習い)なら揃えたい道具で、私は体験会で使うために以前から作っていが、「ぬなかわヒスイ工房」オンラインショップで紹介していたら、四年目にして初めて売れた!パチパチパチ(拍手の音)
お買い求め頂いたのは、以前から磨製石器を買ってくれていた考古学の先生。
縄文体験会といえば火お越しが一般的だけども、石皿があれば内容に幅が出ることは請合う。
ぬなかわヒスイ工房では石器も売っているのだが、糸魚川の海や河原には、石器作りに欠かせない石材がゴロゴロと落ちている。
つまり糸魚川は縄文人のミネラルパラダイスという訳。