金華石製の石笛が評判がよく、SNSで随分と色んな人が褒めてくれた。
そこで金華石では初めてとなる、縄文時代出土タイプの石笛を作った。
熊本県の轟貝塚出土の石笛をベースに改良を加えたのだけど、使用原石は黄鉄鉱が酸化して黄色く発色した変わり種。
ぬなかわヒスイ工房は石笛だけじゃなくて色んなオリジナル作品をパクられているのだけれど、実物を見た同業者から「こりゃ手間暇かかっていて真似できないわ。」と呆れていた。
カタチだけ真似しても必然性のない造形は、内実がないから貧相で、品格がないのだ。
そこの事情も理解できずに外見だけ真似したつもりでも、「この石笛、ぬなかわヒスイ工房の真似でしょ?」と鋭い人には解ってしまうのだ。
そして仕事に哲学がない職人だとバレてしまうのだ。
と、先日ある石笛愛好家から電話を頂きました(笑)
(お得意様や石笛仲間から、ミネラルフェアで私の石笛コピーが売られていたとか、ネットで売っていたとかの連絡がよく入るのです)
貫通孔を持つのが縄文石笛の特徴。
面白そうというだけで選んだ原石だが、完成した石笛を「ぬなかわヒスイ工房」ネットショップにアップしていて、ふと閃いた。
水銀の海に浮かんだ鬼火のような景色・・・そういや旧暦八月に発生する鬼火現象の「不知火」は、轟貝塚近くの不知火海の風物詩。
不知火(シラヌイ)とは、漁火が夜の水平線に浮かんで観える蜃気楼現象と説明されている。
石と人が出会ってこそ物語りは始まる。
意図しなかった奇縁に後から気付く事もある・・・銘「不知火」と名付けた。
石と私の一期一会のご縁。
願わくば熊本のお得意様の目に止まってお求め頂けたら・・・そして轟貝塚で吹いていただけたら・・・と物語りが続いていく。
物語りは終わらない。