大首飾りに没頭している内に、ぬなかわヒスイ工房の在庫が枯渇してしまい、連休中は石笛や勾玉の注文品作りに追われた。
貧乏暇なしだが有難い話し。
連休明けは懸案だった金環作りに挑んだが、この半年の間に試作と試行錯誤を繰り返し、ついに直径8㎜の銅製丸棒の曲げ加工に成功した。
実物の金環はC字形をした耳飾りだが、大首飾りの金環は欠けた部分がロウ付けされて閉合している。恐らく武四郎さんが大首飾りを仕立てる時に、職人に命じて塞がせたのだろう。
金属の中でも柔らかく加工し易い銅といっても、直径8㎜もある丸棒は簡単に曲がってくれるものではなく、焼きなまししてから指輪のサイズ直しの鉄芯棒に巻き付けて切断した。
理屈は解っていても焼きなましの加減や、綺麗に円環にするのは至難。
コイル状に丸くなった銅棒を切断したが、ロウ付けするので金属アクセサリーの糸鋸で精密に切断するより、グラインダーで切断したほうがハンダが乗り易くて具合がいいようだ。その後に成形、焼き入れして強度を出す。
ただし古墳時代の金環製作を研究した報告書を入手した所、当時は曲げ加工ではなく他の作り方をしていたらしいが、その方法だと素材の入手が無理なので、巻き付け加工した。
ロウ付けした後は金環を研磨・・・実物は僅かに加工痕や切削痕が残っているが、木賊(トクサ)で研磨した後に備長炭などで磨いていたのだろうか?
大首飾りは単にレプリカ作りではない「平成の大首飾り」を目指しているので、近代工具を持つ私としては徹底的に研磨した。
鏡面仕上げしたのは、千七百年前の職人仕事へのリスペクトのつもり・・・古代の先輩が納得してくれる仕事をしたいのだ。
完成した生地は、燕三条のメッキ加工工房で金と銀をメッキしてもらう。
都会には古色を出す加工をしてくれるメッキ業者もいるが、メイドイン糸魚川、メイドイン新潟に拘りたいのだ。
#ぬなかわヒスイ工房 #大首飾り #古墳時代の金環