大首飾りプロジェクトは主役とも言える勾玉作りが始まって佳境に入りつつある。
懸案の一つの赤瑪瑙の染めが成功したので勾玉を作ってみたが、問題は研磨の具合。
ヒスイ、水晶、青碧玉の勾玉も含めて、通常行っているヒスイ製品と同じ乾式研磨による鏡面仕上げでは近代的過ぎて、歴史的遺物のレプリカらしくなくなってしまうのだ。
赤いのは自分で染めた赤瑪瑙の勾玉、緑は青碧玉の勾玉で、ヒスイに比べて非常にデリケートなので別の研磨法を模索している。
出土品を観察すると成形時の切削痕が僅かに残っていたり、石表面に多少のザラツキを残したまま柔らかい光沢が出ているので、この感じを表現したい。
研磨し過ぎずに研磨傷を残さず、柔らかい光沢を持った半艶仕上げは意外に難しい。
普段はあまり使わないフェルトバフで鈍い光沢を出して試作した勾玉を、監修役の國學院大學のU先生に送って研磨具合をチェックしてもらう事にした。
金環も含めて監修結果が出るまでは、しばし大首飾りから離れて通常業務に戻る。在庫品が無くなっているのだ。
折しも三条市のメッキ工場から、メッキを終えた金環が送られてきた。
文句あるか!のピカピカにメッキされた金環。「平成の大首飾り」を目指すので、それはそれでいいのだけど、ちょっと光沢があり過ぎる。
あまりにも綺麗過ぎたので、艶消し研磨したらメッキが剥げて銅下地が見えてしまう失敗・・・ダメもとで燻し銀仕上の薬品に漬けたら、ピカピカだった銀環が大首飾りの実物そっくりに古びてくれた。
怪我の功名というヤツで一安心。
右端が未処理で他は燻した古色仕上げ。10年もすれば露出した銅下地に緑生が出ていい感じになってくれそう。ついでに耐水ペーパーで軽く撫でて、実物にあるような研磨傷を付けておいた。