「俺りゃ神輿につかんでも、おるだけで盛り上るんだっちゃ!」と、高座での居眠りを咎められた古今亭志ん生のようなことを仰る御年86歳の幼馴染の親父さん。
確かにおっしゃる通りで、60年も祭りを担ってきた存在感は得難く、そこにいるだけで祝祭気分を醸し出す。いつまでも達者でいて欲しい。
老いも若きも朝から雨に打たれ続けた今年のけんか祭り。
役付きの挨拶の時や乾杯の音頭も、「平成最後の・・・」と誰も言わなかったのが、らしくて好ましい。
氏子にとって年号の節目より、今この「けんか祭り」こそ人生の節目という心意気が優先するのだろう。
けんか祭りで履いた草鞋は縁起物として軒先に吊るし、前年の草鞋は田畑に鋤き込む風習があった。ぬなかわヒスイ工房でも吊るしている。
周りは同じ町内の顔見知りばかり。
共に雨に濡れ、共に寒さに震え、共に戦った戦友。
よか漢たち。