映画監督の大林宣彦さんがお亡くなりになった。
思春期の心の揺れ動きを撮らせたらピカイチの大林監督は、ほんとうに繊細で優しい人。
黒澤明監督は、俺の跡継ぎと評価して「乱」のメイキング監督を任せ、映画評論家の淀川定治さんはベスト映画を聞かれるたびに、「全ての映画を愛しているのでどの映画もベストワンです」と答えていたが、晩年になってチャップリンの「ライムライト」と大林さんの「さびしんぼう」が生涯のベストと答えたそう。
尾道三部作の「さみしんぼう」も確かに美しい映画だが、私は「青春デンデケデケデケ」をイチオシ。
60年代にベンチャーズのエレキサウンドに衝撃を受けた讃岐の田舎町、観音寺の高校生が仲間とバンドを組んで、周囲の人々に応援されながら文化祭ヒーローになる3年間の物語りで、団塊の世代のロックミュージシャンに薦めると電源を電柱の街灯から引っ張ったり、お寺の本堂で練習したりなどのエピソードに共感して、みなさん涙を流して感動するようだ。
原作も面白い。映画化にあたっては舞台を湘南に変えたり、主人公を女の子にするプランもあったそうだが、大林監督の意向で原作に忠実に撮影されていて、このことにより普遍的な青春映画になった。
私はずっと下の世代だけど、誰もが「こんな高校時代を送れたら・・・」と感情移入して、主人公たちを応援したくなる映画。
偉大な監督の生涯に感謝を贈ると共に、多くの人にもご覧になって欲しいと紹介します。