「赤毛のアン」の原作に書かれていない物語の背景をきちんと描いているのが、BS・NHKで放映中の「アンという名の少女」で、録画を視聴するのがこのところに愉しみ。
本作のアンは昨今はやりの「地雷系女子」的に描かれているが、そのパーソナリティ形成には孤児時代にうけた凄惨なイジメや虐待が影響しているらしいことや、マリラとマシュウが未婚であった理由などが説明的なセリフなしで自然な流れのなかでカットバックされていて、物語りに奥行きを与えている。
またマリラが縫物をする場面では、ガンマンよろしく腰に下げた銀の鞘におさめた裁縫ハサミで糸を切るなど、民具好きとして見逃せない場面もたくさん出てくる。マリラとマシュウ役の俳優の哀愁ただよう演技も味がある。
赤毛でやせっぽち、ソバカスだらけの孤児のキラキラ物語に終わらず、教会を中心にした保守的な田舎町、貧困や同性愛、階層差別や人種差別もさりげなく物語りに織り込まれていて、明治のころのカナダ庶民史としても面白い。
思春期に「赤毛のアン」を読んだ大人に観て欲しいドラマだ。
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