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ゼロ戦も牛車で運搬していた戦争中の日本・・・ジブリアニメ「風立ちぬ」にみる宮崎駿の凄み

2021年08月28日 09時11分01秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

ジブリアニメ「風立ちぬ」で、三菱の工場から飛行場までの20キロの道のりを牛車(ぎっしゃ)で試作機を運ぶ場面が描かれている。

当時の日本の田舎道は未舗装の狭い凸凹道が普通で、国産トラックは走れなかった。
 
これは大戦末期まで変わらず、牛車で戦闘機を運搬中に米海軍の艦載機から機銃掃射されたりもした。
 
日本が太平洋戦争に負けたのは物量の差と認識する人が多いが、この場面は当時の日本は基礎科学やインフラ整備が未熟なら、軍人や政治家、国民もこぞって八紘一宇の皇国史観に支配され客観的な国際情勢が判断できないなど、必敗の要素が揃っていた。
それら一切をセリフで説明せずに、前近代の土壌の上に近代科学を無理やり取り入れたような国内情勢を、絵だで描いて暗喩するところが宮崎駿の凄み。
 
陸海軍とも派閥争いばかりしていたし、とくに陸軍の上層部は異常な功名心から独断専行で戦争を起こす「下剋上」の風潮が蔓延して、近代国家の軍隊の態をなしていなかった。
 
ゼロ戦すげぇ、戦艦大和すげぇ・・・本屋にはこんなムック本が並んでいる。
 
無線もレーダーもポンコツだったから、大戦後半からは常に連合軍に後れをとった。信じがたいことだが当時の日本の電気配線は、電力損失の大きい布被覆でもあった。
 
戦後にアメリカが日本軍機の調査をした際、連合軍と同じビニール被覆配線とプラグに交換して、ガソリンのオクタン価も同じにしたら、海軍の紫電改や陸軍の疾風は米海軍の主力戦闘機グラマン・ヘルキャットを凌駕する性能であることが判明して米軍が驚いた・・・本当かどうかは不明だが。
 
設計技術者は渾身の仕事をしても、肝心の基礎科学や戦争物資の補給が追いついていなかったということ。飛行機を運ぶ牛車はその象徴。
 
当時の軍人がよく口にした、戦争はやってみなければわからない、旺盛な敢闘精神があればアメ公、ロスケなど鎧袖一触等々は、近代戦に精神主義で挑もうとした証し。
 
そんな実情を熟知して戦争に反対し続けたのが、山本五十六に代表される一部海軍の親米英派。
 
天皇が戦争を起こしたと認識する人もいるが、実のところ立憲君主の天皇は憲法上は内閣の決議事項にイエスもノウも言える立場ではなく、御前会議でも発言しないことが慣例であった。
 
しかし戦争不拡大主義を周囲にもらしていた天皇は、開戦決定の御前会議の最後に慣例を破り、明治帝の御詠歌「四方の海」を二度までお詠みになり、暗喩ではあったが平和こそ最重要とのお立場を表明された。
 
むやみに排他的な民族主義を鼓舞する政治家がでてきたら黄色信号・・・その判断基準は歴史を学ぶしかない。
 
 
#ジブリアニメ風立ちぬにみる宮崎駿の凄み #ゼロ戦も牛車で運搬していた #民族主義 #皇国史観

 



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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2024-04-27 08:34:48
ドイツ軍だって輸送に馬か牛を使ってたけどな。トラック使いまくってたアメリカが異常なだけ。
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戦力とは国力では? (縄文人(見習い))
2024-04-28 18:46:23
わたしは戦力とは技術革新や生産力も含めた国力と評価しておりますし、宮崎さんはその象徴として牛車で牽引する零戦を描いたのだと思います。
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