明治期に「世界一周自転車無銭旅行」を挙行した中村春吉の冒険譚が絵本になっているではないか!
元ネタは明治期に冒険小説やSF小説を開拓した人気作家の押川春浪の著作「世界一周自転車無銭旅行」で、わたしが読んだのはその抜粋を掲載した横田順彌さんの『明治バンカラ快人伝』。
こちらは押川春浪や春吉の他、ブラジルに柔道を伝えてグレーシー柔術の元祖になった前田さんなど明治のバンカラ男を紹介した傑作。
本書は横田さんが子供向けに書きおろしたものであるらしいが、難解な文語体を話し言葉にした口語体の過渡期に書かれた原作は、左手を弓手(ゆんで)と古風な武家言葉で書いていて、いかにも海外に雄飛しはじめたころの時代の気概を感じる。余談だけど本書のタイトルは、同時代に口語体で小説を書いて人気作家になった漱石さんの「吾輩は猫である」をリスペクトしてるのだろうな。
そんなバンカラ男の典型だった春吉の冒険の数々は、豪快にして愉快。
インドで黒豹に襲われては「畳針で口を縫い付けてやったわい」とか、狼の群れに襲われては「高野豆腐に石油を染み込ませて空き缶にいれた手製爆弾をなげつけて撃退してやったわい」などなど、大らかで天真爛漫なエピソードで溢れている。
小学生の子供さんがいらっしゃるみなさん、お子様の情操教育に買ってあげてください!そして貸してください!(笑)
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