Mars&Jupiter

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ウェーバーの歌劇「プレツィオーザ」序曲、そしてワグナー・マーラーへの道

2007-07-04 06:30:29 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日はウォーキングする時間もなく、
忙しく、あわただしい一日であった。
今回の話題は前日のヒンデミットの話題で触れた
ウェーバーの作品の話題をしてみたいと思う。
もちろん、ヒンデミットが主題に使ったウェーバーの
「トゥーランドット」の曲は所有していないことは述べた。
しかし、その他の歌劇に使われた序曲集は持っているので、
ここでは、昨日聴いた序曲集について触れたい。

ウェーバー未完を含め10曲の歌劇に取り組んでいる。
13歳の頃には断片的作品としてしか残っていないが、
歌劇「森の娘」を初演したということである。
完成された最初の歌劇「ペーター・シュモル」は、
1803年16歳の時に上演したということだから驚きである。
モーツアルトが12歳に歌劇を作曲していることを考えると、
モーツアルトの方がすごいということになるのだろうが、
それにしても同じくらいのすごさではある。

この「ペーター・シュモル」のうちの序曲だけが、
1807年に大幅に改定され、作品8として出版された。
聴くとまだモーツアルト的な作品の延長上にある感じだ。
「精霊の王者」序曲は未完成の歌劇の序曲を使い、
演奏会用序曲として発表された短い作品である。
25歳ころの作品なのでモーツアルトの影響も薄くなり、
ホルンの吹奏などを聴くと、さすがにウェーバーらしい。

歌劇「プレツィオーザ」序曲はスペインを舞台とした作品で、
だからこそ異国情緒がところどころにちりばめられている。
これは歌劇「魔弾の射手」のあとに書かれた作品で、
さすがに充実した彼の管弦楽法の技をみることができる。
この曲の行進曲風の小太鼓の叩くリズムを聴いているうちに、
ショスタコーヴィッチの交響曲第7番第一楽章の一部分を
思い出してしまうのは、きっと私だけだろうなあ。

歌劇「オペロン」も同じく「魔弾の射手」後に作曲された。
妖精の国を舞台にした作品だからだろう、
序曲の冒頭はそれを思わせるように、神秘的に始まる。
ベートーヴェンのように古典的な作風の曲で、
ウェーバーらしい作品で、魅力ある作品である。
初演は1826年ロンドンで作曲者自身の指揮で行われ、
成功をおさめたが、彼自身はこの作品に不満だったようだ。
しかし、2ヶ月後にはロンドンで短い生涯を終えている。

祝典序曲は1818年にとりかかった演奏会用序曲で、
ザクセン国王在位50周年記念祝典に際して作曲された。
冒頭の部分だけを聴くと一瞬ワグナーの有名な楽劇
「ニュルベルンクのマイスタージンガー」の序曲が
始まるのかと思わせる始まりである。

歌劇「魔弾の射手」は大成功をおさめた作品で、
彼の名声を確固たるものとした代表作である。
序曲の冒頭のホルンの吹奏を聴くだけでも、
ドイツらしいウェーバーならではの音楽である。
その後の主題の取り扱いや管弦楽法の充実ぶりを聴くと、
ワグナーへと続くドイツの歌劇・楽劇の流れを感じる。

ウェーバーの未完成の歌劇「3人のピント」という作品は、
マーラーによって完成版が作られるのだが、
マーラーがワグナーの流れの延長線上にあると考えれば、
なぜマーラーが完成版を手がけたかが納得できる。
コメント
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