Mars&Jupiter

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クラミのスオメンリンナ序曲、ユネスコの世界遺産、そしてナイト・ウォーキング

2007-07-28 11:56:52 | 古典~現代音楽フィンランド編
昨日は夕食をとってからナイト・ウォーキング。
二俣川から緑園都市まで歩く。
日中は、暑いのでなかなか歩くのはきつい時期になっている。

途中聴いた曲は、ウーノ・クラミの管弦楽曲。
クラミは1900年生まれのフィンランドの作曲家で、
1920年代に登場した作曲家たちの世代に属し、
この中にはモダニストの代表的な作曲家メリカントもいる。
クラミは1930年代に創作力の頂点にあったようで、
主要な作品は1930年代から1940年代に作曲されている。

カレワラ組曲は、1933年から1941年にかけて作曲された。
第1曲「大地の創造」のダイナミックな曲調は、
ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチっぽい。
第2曲「春の芽吹き」は、ゆったりとしたロマンティックな曲。
CDの解説者はストラヴィンスキーの「火の鳥」を想起させると
書いているが、ホルンの吹奏のところがそうなのだろうか。
第3曲「テルヘンニエミ」は、早いスケルツォの部分が、
やはりストラヴィンスキーっぽくはあるのだが、
もちろん、ある部分には北欧的な部分が現れる。
第4曲「レミンカイネンの子守歌」は、物悲しい感じで、
民謡的な旋律に基づくいかにも北欧的な曲である。
第5曲「サンポの鋳造」は神秘的な感じから始まり、
徐々に組曲全体を飾るクライマックスを築いていく。
最後は華やかに金管楽器が鳴り響き終わる。

「サーリ島におけるレミンカイネンの冒険」も、
ストラヴィンスキーの新古典主義の影響を受けた印象を感じる。
10分ほどの作品ではあるが、曲の後半になるにつれ、
シベリウスのような(ニールセンっぽいところもあるが)
北欧的な曲調になり、終わり方はシベリウスっぽい。

「海の情景」は1930~1931年に作曲された初期の作品だ。
第1曲「霧の朝」を聴くだけで、神秘的な音楽の中に
ドビュッシーやラヴェルなどの影響をみることはできる。
第2曲「キャプテン・スクラプチナット」は、
CDの解説にもあるようにスペインのファリャの
「恋は魔術師」や「三角帽子」を思い起こさせる。
これは第3曲「見捨てられた3本のマストの船」にもみられる。
第4曲のノクターンは北欧的な民謡調の旋律であり、美しい。
第5曲バレエの情景の冒頭はラヴェルっぽくあるが、
曲の旋律は北欧の民謡的旋律に基づいている感じだ。
第6曲「3Bf」はCDの解説書にあるように
確かに主旋律がラヴェルのボレロのテーマに似てはいる。
それをオーボエに吹かせるとなお、はっきりしてしまうのだ。
その展開の手法もボレロと同じというところがどうなんだろうか。
そうはいっても、本家本元にはかわならいだろうが、ね。

スオメンリンナ序曲は1940年に作曲された作品で、
さわやかで華やかな感じの北欧的な作品である。
ヘルシンキに近い沖合いの島々の名称からきている、
この島々は、最初はスウェーデン領であったが、
フィンランドが独立してからはフィンランド領になり、
スオメンリンナというフィンランド語に改められた。
この島はスウェーデン領の時代から要塞として使われ、
現在はユネスコの世界遺産に登録されている。
スオメンリンナは「フィンランドの城塞」という意味のようだ。
何度も刻まれる小太鼓のリズムは、軍隊の象徴だろうか。
戦争と占領の歴史が背後にあるようで、一見さわやかな曲も、
曲の背景を知り、よく聴くと複雑な気持ちになってしまう。
コメント
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