温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

霧積温泉 金湯館 2021年9月再訪(前編 お部屋・お食事)

2022年06月08日 | 群馬県
(2021年9月訪問)
残暑厳しい昨年(2021年)9月、以前拙ブログで取り上げたことのある群馬県西毛地方の霧積温泉「金湯館」へ、避暑を目的として一泊お世話になりました。前回ブログで取り上げた際は日帰り入浴でしたが、今回は宿泊して思う存分名湯を堪能させていただきます。


まずは中山道から分岐して霧積へ向かう細い一本道をひたすら車で走り、そのドン詰まりにある駐車場で車を停めて、携帯でお宿へ連絡します。駐車場から杣道を30分ほど歩いて行くこともできますが、往路は大人しく送迎車を利用させていただくことにしました。木立の陰で日差しを除けながらしばらく待っているとワンボックスの送迎車がやってきました。車には既にお客さんが乗車しており、どうやら横川駅からのお客さんを乗せて上がってきたようでした。


送迎車は険しい林道を走り、やがてお宿の上に到着。下車したところから徒歩で斜面を下って、お宿にチェックインです。
とても山深い秘境にあるお宿ですが、明治17年創業の老舗であり、明治の元勲や文人墨客がこの地を訪ねています。また霧積といえば森村誠一『人間の証明』が有名ですね。この作品は当地を訪れるならば課題図書と言うべき必読の書です。
上画像に写っている正面の母屋は明治16年に建てられて以来使われ続け、いまだに現役という歴史的な建物なんだとか。


そんな明治の木造建築に入ると、天井からランプが吊り下げられており、歴史的建造物ならではの低い天井と相俟って実に良い雰囲気です。そういえば以前訪問した時には秘湯を守る会の提灯がさがっていましたが、現在は無くなっているんですね。ま、私は守る会のスタンプを集めているわけではないので、全然問題ありません。


今回私が通された客室はこちら。入室時には既に布団が敷かれており、すぐにでも横になれる状態でしたが、まずはお風呂に入りたかったので、布団に体を横たえることはしませんでした。山小屋のような秘湯の一軒宿ですが、客室内は旅館としての設備がひと通り揃っています。9月中旬だというのに石油ストーブが用意されており、残暑厳しい時期なのに暖房なんて必要あるのか、と不思議に思ったのですが、日が暮れるとかなり冷え込み、夜中や早朝にはストーブを焚かないと寒くて仕方ないほどでした。避暑どころではなかったのですが、それほど下界と山の中とでは気温が異なるわけですね。


お部屋にはテレビもありますよ。たまに電波が入らないこともありますが、たまにはテレビを点けないで一晩を過ごすのも宜しいのではないでしょうか。なお私の携帯(au)は圏外になったりならなかったり…。テレビと同じくスマホを使わないで翌朝まで過ごすのも一興。精神的な健康が増進すること間違いありません。


お食事はお部屋出しです。
上画像は夕食のお膳。ご当地で採れたものを中心にした山の幸の天ぷらはボリュームたっぷりで非常に美味しく、また上州名物のこんにゃくも美味。


そしてアユの塩焼きや具沢山のけんちん汁も美味しく、白いご飯が進みます。気づけばお櫃のご飯が空っぽになっていました。なお食べ終わったら、お膳を廊下に出しておきます。


朝食も山の幸で彩られており、鱒の甘露煮や山菜のおかず、とろろ芋、キノコのお味噌汁など、健康になれそうな食材を美味しくいただけました。ごちそうさまでした。

さて、次回記事ではお風呂へ参りましょう。

次回に続く
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上増田温泉 砦乃湯

2022年06月01日 | 群馬県

(2021年9月訪問)
今回記事から群馬県西毛地域の温泉を巡ります。まずは安中市の上増田温泉「砦乃湯」を訪ねます。松井田の市街から県道33号線を北上し、カーナビに導かれるまま途中から山道に逸れ、車が1台しか走れないような細い道を進むと、その突き当たりで急に視界が広がります。「砦乃湯」の駐車場に到着です。


駐車場は広く、30台収容可能なんだとか。この駐車場の真ん中にフェンスで囲まれた設備を発見。どうやら源泉設備のようです。上へ突き出ているパイプは、おそらく曝気用のものでしょう。

建物自体は山間の鄙びた温泉宿を思わせる渋い佇まいですが、宿泊業は営んでおらず、日帰り入浴とお食事のみの営業です。玄関を入って靴を下足箱に預け、受付カウンターの上にある小さな券売機で料金を支払って、下駄箱の鍵と入浴券を受付のおじさんに差し出すと、引き換えに下足箱と同じ番号の札が手渡されます。そして退館時にこの札を返すと、下足箱の鍵がこちらへ戻ってくるシステムになっています。


受付の向かいには大きなお座敷(休憩所)が広がっています。なお入浴せず食事だけの利用も可能だそうです。


受付奥の左手に男女の暖簾が仲良く並んでいます。
この暖簾をくぐるとゆるやかに下るスロープがあり、下りきった先が脱衣室です。室内は明るくて洗面台も広く、ドライヤーも複数用意されていて使い勝手良好です。なおロッカーは100円リターン式ですので、予め小銭を用意しておきましょう。

館内は撮影禁止であり、また公式サイトには浴室内の様子が分かるような画像がないため、以下、お風呂については文章のみでご紹介します。悪しからずご了承ください。

男湯の場合、浴室に入って左手にはサウナと小さな水風呂が配置され、私の訪問時にはサウナ好きのオジサマ達が玉のような汗をかいていらっしゃいました。いまや温浴施設にとって集客のためにサウナは欠かせない設備ですね。
一方、右手の壁側(脱衣室側)には洗い場があり、シャワー付き混合水栓が5基並んでいます。この洗い場と大きな窓の間には主浴槽があり、その寸法は目測で3.5m×2mほどでしょうか、おそらく6~7人は楽に入れる容量を擁しています。壁から湯口が突き出ており、そこからお湯がドボドボと音を室内に響かせながら浴槽へ落とされています。この内湯のお湯は非加温の完全かけ流しのため、時によっては温度が上下するそうです。湯船のお湯はほぼ無色透明で湯の華は少なく、入りやすい温度に維持され、実際に入ってみるとシャキッとした鮮度感が得られました。
なお浴槽の脇には小さな鉢があって、そこにもお湯が注がれていました。おそらく上がり湯として使うのでしょう。

露天風呂の目の前には沢が流れており、杉の木立に囲まれた緑豊かな環境で、せせらぎを耳にしながら入浴することができます。露天の湯船は女湯との仕切り塀の傍にあり、3分の1ほどに屋根が掛けられています。この露天エリアはそこそこ広いので、開放感を得ながらのびのびと寛ぐことができるでしょう。
露天の湯船には内湯と同じ源泉の温泉が投入されているのですが、内湯は非加温であったのに対し、露天は温度低下をカバーするため加温されており(41~42℃に維持されていました)、この影響なのか無色透明である内湯のお湯とは異なり、露天のお湯は薄く暗い赤黒色に濁っていて、薄い褐色の湯の花もたくさん浮遊していました。内湯と同じくかけ流しなのですが、加温が原因なのかお湯の鮮度が若干落ちているように感じられ、私個人としては内湯の方が断然気に入りました。

内湯の湯口から注がれるお湯を口に含んでみますと、淡い塩味と重曹的な清涼感のあるほろ苦みが感じられます。またアブラ臭というよりはカーボンを思わせるような香りも嗅ぎ取れます。湯船ではツルスベ系のしっかりとした滑らかな浴感が肌に伝わってきました。上述の通り、加温については内湯と露天で異なりますが、加水循環ろ過消毒が行われていない点については内湯・露天ともに共通です。
静かな環境で自然を感じながらのんびりとかけ流しの温泉に入れる、利用価値の高い入浴施設でした。


砦乃湯
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 40.8℃ pH8.0 蒸発残留物1.22g/kg 成分総計1.76g/kg
Na+:470mg,
Cl-:214mg, HCO3-:959mg, CO3--:3.6mg,
H2SiO3:54.6mg, HBO2:22.7mg,
(平成31年1月11日)
加水循環ろ過消毒なし
内湯は加温なし。露天は加温あり(外気温との調整のため)

群馬県安中市松井田町上増田2164
027-388-1177
ホームページ

10:00~20:00(最終受付19:00) 水曜定休
600円(温泉ニフティに割引クーポンあり)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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草津温泉 極楽館 2021年8月再訪(その2・3つの貸切風呂)

2022年05月25日 | 群馬県
前回記事の続編です。


さて、お部屋に荷物を置いたら、浴衣に着替えて1階に下り、渡り廊下を歩いてお風呂へ向かいましょう。
前回記事でも述べましたが、こちらのお宿にはお風呂が3室あり、全て貸切で利用します。なお貸切に当たって予約は不要。空いているお好みのお風呂を使うことになります。


3つ並ぶお風呂のうち「極」は右側に位置しています。以前こちらを取り上げた際の記事でも「極」に入っていますので、拙ブログで紹介するのは2度目です。


後述する「楽」や「一坪」に比べ、格子の窓が2方向に設けられている「極」は明るく、実際の床面積以上に広く感じられます。お風呂は2人がゆったり入れるサイズ。大きな○玉をぶら下げたオスの狸の石像が置かれている湯口より、お湯が滔々と注がれており、私が湯船に入ると洗い場へ勢いよくお湯が溢れ出ていきました。絶妙な湯加減のお蔭でじっくり名湯を堪能できます。


直角に位置する格子窓の角に洗い場が設けられ、その角には大日如来が祀られています。仏様に見守られながら湯浴みするのもなかなか良いものですね。


続いて「楽」と、その奥にある「一坪の湯」にも入ってみましょう。


「楽」のお風呂は「極」とシンメトリーに近い構造で、湯船の大きさもおそらく同じかと思います。相違点として「楽」は窓が1ヶ所であることと・・・


湯口の上に置かれた狸がおかめ姿のお嬢さんである点です。
このおかめ狸さんは大きな茸を抱えていて、なんとも意味深ですね。もしかしたら子宝に恵まれるのかも。


一方、「一坪の湯」は本当に1坪(2畳)、つまり約3.3㎡程度しかないコンパクトなもので、親密さを楽しみたいカップルにはもってこいかもしれませんね。狭いながらもちゃんとシャワーがあり、使い勝手に問題はありません。もちろん他の2室と同じお湯が注がれており、湯船が小さい分、オーバーフロー時のあふれ出しが豪快なので、お湯が溢れる贅沢な感覚を味わいたい方にもおすすめです。

お湯はちょっとぬるい自家源泉「大日の湯」と、町有で熱い「西の河原源泉」をブレンドさせることにより、加水することなく入浴に適した温度にしています。共同浴場も旅館も、草津のお風呂はちょっと熱めである場合が多いのですが、こちらは40~41℃ほどなので、じっくりと長く浸かっていられます。また基本成分が硫酸である草津のお湯はえてして体への刺激が強く、源泉によっては湯船へ入った瞬間からピリピリとした刺激を受けますが、「大日の湯」源泉を主体とするこちらのお湯は刺激がさほど強くなく、湯中では優しいフィーリングに包まれます。それでいて、湯船に浸かっていると心臓が激しく拍動しはじめ、全身が力強く温まります。大日様の霊験あらたかな名湯は、優しくてパワフルなのです。

私は宿泊中に3つのお風呂を何度も入って、この名湯を存分に楽しみました。
リーズナブルで且つ利便性が高く、お湯も素晴らしい。みなさんにおすすめしたいお宿です。


大日の湯・西の河原源泉 混合泉
酸性-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 42.1℃ pH2.1 蒸発残留物1.34g/kg 成分総計1.49g/kg
H+:7.95mg, Na+:53.8mg, Ca++:67.8mg, Mg++:30.9mg, Al+++:42.3mg, Fe++:11.9mg,
F-:12.3mg, Cl-:311mg, Br-:1.4mg, SO4--:539mg, HSO4-:144mg,
H2SiO3:202mg, H2SO4:2.9mg, CO2:20.5mg, H2S:0.5mg,
(平成23年8月4日)
加温加水循環消毒なし

群馬県吾妻郡草津町草津507 
0279-88-2142
ホームページ

日帰り入浴については施設へお問い合わせください。
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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草津温泉 極楽館 2021年8月再訪(その1・客室と食事)

2022年05月20日 | 群馬県

(2021年8月訪問)
昨年(2021年)の夏、地獄釜みたいな東京の猛暑から逃げ出したくなった私は、7月につづき8月も草津温泉へ向かったのでした。8月訪問時お世話になったのは、以前拙ブログでもご紹介した「極楽館」です(以前の記事はこちら)。大正時代に開業した老舗で、2011年からは素泊まり専門の宿として生まれ変わり今日に至っています。こちらでは3つある浴室全てが貸切利用するスタイルを採用しており、他のお客さんに気兼ねすることなく落ち着いて入浴することができます。また食事については温泉街にある多くの飲食店でカバーできるのみまらず、館内にもレストランが併設されていますので、素泊まりとはいえ実質的には宿の中で食事を摂ることも可能です。そんなこんなで何かと便利なこの「極楽館」で一泊お世話になりました。


1階の「カフェ・スパ・ノイエポスト」でチェックインを済ませた後、ちょっと急な階段を上がってお部屋へ向かいます(館内にはエレベータがありません)。
今回通されたのは3階のこのお部屋。明るい角部屋の和室で、ひと通りの設備は備わっており、Wifiも使えて便利です。
なお今回の私の訪問目的は避暑だったわけですが、もちろんエアコン無しで快適に過ごすことができました。


窓からは西の河原通りを見下ろせます。この日も、通りの途中にあるお店で買った食べ物を口にしながら歩く観光客や、どこかの旅館に泊まっている浴衣姿の宿泊客が、湯畑へ西の河原へとひっきりなしに通りを往来していました。


館内には宿泊者用共有スペースがあり、温泉街にあるコンビニで買ってきたお弁当を電子レンジで温めて、ここで食べることもできますが・・・


今回の宿泊で私は旅館内のレストランで夕食・朝食ともお世話になりました。
上画像は夕食時に2階「ノイエ・ポスト・ダイニング」でいただいたカレードリアです。ドイツ語で店名が表記されているこちらのお店は欧風カレーやソーセージ、そして各国のビールなどがいただける洋食屋さん。私はカレーやチーズが大好きなので、両方が一度に味わえるカレードリアは正に大好物。この他ビールと、ビールに合うようなソーセージの盛り合わせも注文。ちょっとしたドイツ気分を楽しめました。客室側の廊下からスリッパを履いたまま店内へ行けるので便利です。


翌朝は1階「カフェ・スパ・ノイエポスト」でモーニングセットのサラダとベーコンレタスサンド、そしてコーヒーを注文しました。シャキッとしたレタスに自家製ドレッシング、そしてジューシーなベーコン、それら全てが美味。

一般的に温泉旅館に泊まると、どうしてもボリューム過多な和食のオンパレードになり、たまに飽きてしまうこともありますが、このように館内にあるレストランを任意で利用でき、かつ洋食がいただけるので、いつもと違う温泉旅館の旅を楽しむことができ、とても利用価値が高いかと思います。

さて、次回記事ではお宿ご自慢の源泉「大日の湯」が張られているお風呂を取り上げます。

次回記事に続く。
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草津温泉 草津館 2021年7月再訪

2022年05月10日 | 群馬県

(2021年7月訪問)
前回まで連続して草津温泉の旅館を巡り、お宿ご自慢のお風呂に入らせていただきました。各旅館の訪問に際しては、加盟旅館に宿泊した時のみ購入できる和風村「湯めぐり手形」を利用したのですが、その際に宿泊した旅館は、以前拙ブログでも取り上げたことのある「草津館」でした。以前の記事でも述べましたが、こちらで所有する自家源泉「若の湯」があまりに素晴らしく、あのお湯に浸かって一晩ゆっくり過ごしたいと思い続けていたため、仕事で心身の疲労がピークに達した2021年7月の某日、宿泊でお世話になったのでした。


物腰が柔らかくて心優しそうな女将さんに案内されたのは、3階「月の間」。部屋の広さは10畳あり、窓からは隣接する「御座の湯」の様子がよくわかります。室内にはトイレや洗面台、そしてファンヒーター・窓エアコンが設けられています。冬にはファンヒーターが必要になりますが、夏は日が暮れたら涼しくなりますので、エアコンを使う機会はあまり無いと思います。地獄のような東京の猛暑の中で暮らしていると、どうしてもエアコン漬けになってしまい、機械的な冷風のために体調を崩してしまいがちですが、そんなときには涼しい草津温泉へ避暑し、エアコンを使わないで過ごすことをお勧めします。草津の湯に浸かってエアコン不要の環境でのんびり過ごせば、心身の疲れが忽ち回復しますよ。なおwifi環境も良好ですから、テレワークができちゃうかもしれませんね。


洗面台の水は山の湧水なんだそうです。
実際に飲んでみると、非常にうまい!


早速浴衣に着替えて1階のお風呂へ。
暖簾を潜った先にある脱衣場へは数段のステップを下ります。そして脱衣室からお風呂へ向かう際にもステップを下るんです。全国を温泉巡りをしていると、どんどん下ってゆくお風呂はえてして名湯であることに気づくため、このような造りのお風呂に出会うとワクワクします。


男女別の浴室は内湯のみで露天風呂はありません。でも一つの浴室内に2つの異なる源泉が引かれており、一粒で二度美味しい欲張りなお風呂になっています。脱衣室・浴室内ともに木のぬくもりが感じられる木造で、足元は切り出し石材が敷き詰められています。伝統的な材質によって作られたこの浴室からは、老舗温泉旅館らしい安心感と重厚感が伝わってきます。


手前側の小さな浴槽はお宿の目と鼻の先で湧いている白旗源泉のお湯です。灰白色に濁ったお湯の中ではいろんな大きさの湯の花が浮遊しており、お湯を口に含むと強い収斂酸味や金属味が口の中に広がって口腔の粘膜を刺激するとともに、アルミ箔を齧った時のような独特の感覚が口の中に広がりました。
多少熱めの湯加減ですが、石造りの浴槽はどっしりと入り応えがあり、熱いながらもお湯の濃さをじっくり味わいたくなる不思議な湯船です。


奥の大きな浴槽が、ここでしか入れない自家源泉「若の湯」。手前の白旗源泉と違ってこちらは白濁しているものの透明度が比較的高く、また浴槽内部が全体的に緑色に染まっています(イデユコゴミのような温泉藻の影響でしょうか)。
そして何と言っても素晴らしいのが、誰しもを長湯に誘う絶妙な湯加減です。湯口の上には3分の砂時計が置いてあるのですが、私は5回ひっくり返しても浸かり続けられる程でした。尤も草津のような強いお湯に長く浸かるのはあまり良くないのですが、わかっちゃいるけど、でもついつい長く入り続けたくなるほど蠱惑的な極上浴感なのです。


湯口のお湯を口に含んでみますと、白旗源泉と比べて若干優しく、航空の粘膜を刺激する収斂も幾分穏やかなように感じられます。また白旗源泉は酸味が強く前面に押し出されて感じられましたが、若の湯は柑橘類のような果実感を伴っており、ほろ苦味も混在することで、複雑かつ奥深い味を得ることができました。
品が良くて且つ入りやすい温度で湯船へ流れ込む自家源泉「若の湯」。あまりに素晴らしいので、宿泊中は何度も部屋とお風呂を往復してしまいました。


前回の記事でもご紹介しましたが、館内の窓から「若の湯」が湧出している様子を見ることができます。
湧きたてのお湯が僅か数メートル流れた後、そのまま浴槽へ注がれているのです。お湯の状態が良いのは当然ですね。
避暑と湯あみによりすっかり元気を取り戻した私は、足取り軽く東京へと戻ったのでした。仕事に疲れたらまたこちらのお世話になるつもりです。


若の湯
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 50.5℃ pH2.0 湧出量測定不能(自然湧出) 溶存物質1.80g/kg 成分総計1.92g/kg
H+:10.2mg(38.88mval%), Na+:56.1mg, Mg++:35.4mg, Ca++:73.9mg(14.11mval%), Fe++:18.8mg, Al+++:49.4mg(21.03mval%),
F-:9.3mg, Cl-:326.6mg(34.38mval%), SO4--:701.3mg(54.50mval%), HSO4-:241.7mg,
H2SiO3:234.2mg, H2SO4:6.2mg, CO2:110.0mg, H2S:6.0mg,
(令和元年12月2日)

白旗源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 50.8℃ pH2.1 湧出量測定せず(自然湧出) 溶存物質1.66g/kg 成分総計1.76g/kg
H+:8.91mg(36.30mval%), Na+:54.4mg, Mg++:37.4mg(12.63mval%), Ca++:76.5mg(15.67mval%), Fe++:17.6mg, Al+++:43.9mg(20.04mval%),
F-:9.5mg, Cl-:310mg(35.19mval%), SO4--:651mg(54.61mval%), HSO4-:195mg, Br-:1.5mg,
H2SiO3:216mg, H2SO4:4.4mg, CO2:88.0mg, H2S:7.7mg,
(平成25年5月15日)

草津温泉バスターミナルから徒歩4〜5分(約350m)
群馬県吾妻郡草津町草津甲419  
0279-88-2027
ホームページ

日帰り入浴時間要問い合わせ
800円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★★

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