温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鶴川温泉

2017年03月07日 | 大分県
 
玖珠町の中心部(豊後森)と耶馬渓を結ぶ大分県道43号線を走行している途中、路傍に温泉と書かれた看板を見かけたので、ちょっと立ち寄ってみることにしました。その温泉の名前は「鶴川温泉」。その名のように、鶴が飛来してきても不思議ではないほど大変長閑な田園風景が広がっており、夏にはホタルが飛び交うんだとか。


 
瓦屋根の渋い建物の前には「営業中」の立て看板が客を出迎えていました。こちらの温泉は(平日は)夕方4時からの営業。昼間に行っても開いていません。玄関入ってすぐのところに窓口を開けている番台で、朗らかな笑顔のおばちゃんに湯銭を支払い、下足場の前から伸びる階段で階下へ下っていきます。



階段を下りきった先の突き当たりには一台の洗面台と家族風呂のドアが並んでおり、その左右両側に紺と紅の暖簾が掛けられていました。なお家族風呂は一人500円というお手頃価格なんだそうですが、今回は利用しておりません。天井が低く薄暗い脱衣室は、実用本位で至って簡素。長居するような部屋ではないので、ササッと着替えてお風呂へ。


 
浴室も奇を衒わずシンプル。まるで地元民向け共同浴場を思わせる渋い佇まいです。男湯の場合は、入って右手に浴槽が据えられ、左手の壁沿いに洗い場が配置されていました。


 
洗い場にシャワーはなく、昔ながらの蛇口が7つ並んでだけというのもまた渋い。でもこの蛇口、一見するとどれも同じに見えますが、交互で段違いに取り付けられており、高い方の蛇口(計4つ)のハンドルを捻ると、温泉のお湯が吐出されました。


 

浴槽の寸法は(目測で)1.8m×2.4mの長方形。湯船にはジャスミン茶のような淡い褐色を呈した透明の温泉が湛えられています。41〜2℃というちょっとぬるめの湯加減ですので、のんびりゆっくり長湯を楽しむことができるでしょう。お湯は槽内の穴から投入されており、その勢いで白い筋が見えました。そして湯船に数分浸かっていると、全身に気泡がビッシリと付着し、湯口の近くでは白い泡の塊も見られました。おそらく湯使いは純然たる放流式かと思われます。
お湯からは木材を焦がしたようなモール臭が放たれ、清涼感を伴うほろ苦みと少々の金気が感じられます。玖珠盆地周辺の温泉でよく見られるモール泉的案特徴が表れている温泉ですが、周辺の他湯に比べると、その特徴はやや大人しめであるように思われます。でも湯中で得られるツルツルスベスベの大変滑らかな浴感が気持ちよく、しかもたっぷりのアワアワに包まれますので、モール泉且つぬる湯が好きな私にとっては最高の湯浴みでした。


 
300円の公衆浴場でありながら露天風呂に入れるというのが、こちらの施設の素晴らしいところ。しかも、内湯は質素でしたが、露天風呂は立派な日本庭園のような趣きで、私が訪問した時にはツツジが花を咲かせており、既に花を散らして青葉を茂らせていた桜の樹の下では、石仏が湯浴み客を穏やかな面持ちで見守っていました。周囲の里山も借景になっており、まるで昔話の世界に紛れ込んだかのような、実に純朴な光景です。
お風呂は岩風呂で、浴槽内はモルタル塗り。ぱっと見回したところ、露天専用の湯口は無いらしく、内湯から流れてくるお湯を受けているほか、仕切り塀の向こう側にある女湯露天からもお湯を受けており、つまり全ての浴槽の最下流が男湯の露天となっているようでした。内湯ですら41〜2℃ですから、露天では40℃以下のぬる湯であり、しかも泡つきも見られませんでしたが、その湯加減ゆえに寧ろ体への負担は軽く、長湯するにはもってこい。時の流れ方が都会と異なるこの長閑な温泉で、おかげさまで身も心もすっかり癒されました。


分析書見当たらず
単純温泉

大分県玖珠郡玖珠町太田3935-5  地図
0973-72-4426

平日16:00~21:00 土日祝11:00~21:00 火曜定休(祝日は営業)
300円
ロッカーあり(有料100円)・ドライヤーあり、石鹸などは番台で販売(備え付けなし)

私の好み:★★+0.5
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なかま温泉

2017年03月05日 | 大分県
 
今回取り上げるのは、国道212号線沿いの「道の駅やまくに」に隣接している「なかま温泉」です。大分県中津市の某温泉浴場に入っている時、そこの常連さんから勧められたので、実際にどんなお湯なのか体感すべくやってまいりました。道の駅と隣接していると申し上げましたが、実際には両者の間にお寺の参道が伸びており、その参道を挟んだ東側が道の駅で、西側が温泉浴場となっています。国道沿いに看板が立っており、駐車場も用意されているので、初めて当地を訪れた人でも利用しやすいかと思います。


 
こちらの温泉は受付小屋と湯小屋が別箇になっているため、まずは受付小屋にいるおばちゃんへ湯銭を直接支払い、そこから国道側に離れて設けられている湯小屋へと向かいます。そのルートの途中にある流し台には、湯上がりに水分補給ができるよう、冷やされた温泉水が用意されていました。


 
湯小屋のど真ん中に細い通路が伸びており、その突き当たりの右側が女湯、左側が男湯というように分かれていました。


 
お風呂は内湯のみですが、木材の温もりと石材の重厚感をマッチさせたその内装からは、公衆浴場らしからぬ落ち着きと風情を兼ね備えた、格式のある旅館のような趣きが伝わってきました。洗い場にはシャワー付きカランが4基並んでおり、設置間隔が広くとられているため、隣客との干渉を気にせず利用することができます。この床には御影石が敷かれているのですが、滑り止めとして細い溝が彫られており、そうした細かな配慮にも感心させられます。


 
浴槽内はタイル張ですが、側面には赤みを帯びた御影石が採用されており、また縁には洗い出しのような加工が施されていました。浴槽の大きさは(目測で)2m強×3mで、10人は同時に入れそうな容量があります。供述する湯口からお湯が絶え間なく注がれており、その全量が湯尻から惜しげもなくオーバーフローしていました。



上向きの湯口から吐出されるお湯は、入浴に適した温度にするため少々加温されていますが、加水循環消毒などは行われておらず、純然たる放流式の湯使いです。お湯は無色透明でほぼ無味無臭。湯の花や泡付きなどは見られませんでした。いわゆる「うなぎ湯」程ではないにせよ、いかにもアルカリ性泉らしいツルツルスベスベの浴感がよく表れており、湯船に浸かっていると、まるでローションの中にいるような気分になりました。また身体、とくに肌への当たりが優しいため、多少長湯しても湯疲れを覚えることはありませんでした。
惜しむらくは、浴場内に掲示されている分析書の内容が不完全である点。一般的に温泉成分の数値を表す場合は、その温泉1kg当たりの各イオンや物質の量(絶対量)を記載し、その後にミリバル値やミリバル%等の換算値および相対的数値を表示するものですが、こちらで掲示されていたものは、ミリバル%のみという他に例を見ないスタイルでした。相対的な数値のみでは温泉の姿がちっとも見えてこず、どう判断してよいものか困ってしまいます。でもそんな屁理屈を捏ねる人間なんて私のような面倒臭い野郎だけなのでしょう。数値がどうであろうと、お湯そのものが良ければ大多数のお客さんは満足するのであり、事実、私が訪問した時点では独占状態でしたが、その後、続々とお客さんがやってきて、あっという間に10人近いお客さんで大賑わいとなったのでした。


アルカリ性単純温泉 36.5℃ pH未記載(観光協会の紹介ページによればpH8,97とのこと) それ以外の数値は見当たらず
(平成27年4月30日)

以下の数値は浴室内掲示のデータです
50L/min(動力揚湯・掘削500m)
Na+:(88.28mval%), Cl-:(5.26mval%),HCO3-:(74.72mval%), CO3-:(16.67mval%)
(平成11年9月30日)
加水循環消毒なし
加温あり(源泉温度が低いので)

大分県中津市山国町中摩3485-1  地図
0979-62-2655

11:00~21:00 無休
300円
ロッカーあり(有料100円)・他備品類なし

私の好み:★★+0.5
コメント (3)
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地元の方々が築き上げた手作りの某温泉

2017年03月03日 | 大分県
 
かつて耶馬渓では大分交通耶馬渓線という鉄道が走っており、日豊本線の中津から乗り換えた旅客を沿線の観光地まで運んでいたんだそうですが、モータリゼーションなど諸々の理由により昭和40年代半ばに廃止されてしまったんだとか。廃止から40年以上経った今でも、一部区間では線路敷の跡が残っており、実際に私が訪れたところ(上画像)では、廃線跡がサイクリングロードとして転用されていました。ゆるやかなカーブと勾配がいかにも線路らしいですね。


 
私が訪れたのは2016年の初夏。廃線跡のまわりに広がる水田は、代掻きを済ませて水を静かに張っており、来るべき田植えの時を待っていました。そして代掻きを終えたトラクターのタイヤが、界隈の道路にたくさんの泥を落としていました。
今回はちょっとした目的があって当地を訪れたのでした。地元の方に了承を得た上で、まずは集会所の前にレンタカーを駐車します。


 
オタマジャクシが元気に泳ぎ回る水を湛えた田んぼの向こう側では、水面とほぼ同じ高さに、材木で葺いた小屋の屋根が姿を覗かせていますが、この屋根の下にある施設こそ今回の目的地です。田んぼの前にある民家のご主人に挨拶をして、私が目的とする行為の許可を求めたところ、「どうぞゆっくり入っていってください」と笑顔で対応してくださいました。玄関前から伸びる畦道を歩いてその小屋へと向かいます。


 
私がこのブログで取り上げる目的地といえば、当然温泉に決まっていますよね。プリミティブなこの小屋は、一部の温泉マニアによく知られている共同浴場。出入口の奥には五右衛門風呂が3つ据えられており・・・


 
石組みのお風呂の下には立派な釜が設けられているのですが、どうやら過去に火の不始末などの問題があったらしく、現在五右衛門風呂は使用が取り止められており、どのお風呂も空っぽになっていました。


 
さて、これら五右衛門風呂からさらに奥へ進むと、仕切り壁の向こう側に立派なお風呂がお湯を湛えていました。


 
一見するとコンクリ浴槽の上に東屋上の屋根を載せただけという、吹きさらしの質素なお風呂ですが、足元は風情ある石板敷きで、れっきとした目隠しの衝立も設置され、脱衣スペースにはちゃんとした棚も取り付けられていました。また電気は引かれていませんが、夜でも湯浴みできるよう、柱には燭台が括り付けられていました。


 
奥には石仏が祀られ、穏やかな面持ちで温泉を見守っていました。この質素な温泉は仏様のご加護のみならず、保健所からもちゃんと許可を得ている、れっきとした公共浴場なのであります。


 
円筒型の石塔から塩ビのパイプが突き出ており、クリアに澄み切ったぬる湯が絶え間なく落とされていました。そしてお湯の流路では白い湯の花がユラユラと流れに身を委ねていました。浴槽はコンクリ造のシンプルなものですが、小屋の質素さに反して容量はかなり大きく、しかも槽内は黒光りしており、その光沢がお湯の清らかさをより際立たせていました。


 
湯口の温度は30.8℃なので、典型的な夏向けのぬる湯です。源泉温度が低いために、上述の五右衛門風呂が設けられたのでしょう。ちなみにpH値は8.34ですから、あともうちょっとで正真正銘のアルカリ性泉を名乗れますね。無色透明でクリアに澄み切ったこのぬる湯を口に含むと、チオ硫酸イオンの存在を思わせるような、芳醇で濃い茹で卵の卵黄みたい味や匂いが感じられます。


 
田んぼを後ろに背負う形で段々の傾斜地に建てられているこのお風呂は、川側に対して視界がとっても開放的。長閑な田園風景を眺め、せせらぎを耳にしながらの湯浴みは掛け値無しに最高です。私が湯船に浸かっていると、1匹のアマガエルが湯船にポチャンと入ってきたのですが、ぬる湯ですから茹で蛙になることはなく、私が手で掬って外へ逃がしてあげると、元気に川の方へ飛び跳ねていきました。


 
湯中ではウナギ湯の称号を捧げたくなるほどのヌルヌルを伴うツルツルスベスベが強く、湯中で左腕を擦ったら、あまりの滑らかさに右手がどこかへ飛んでいっちゃいそうになるほど大変滑らかでした。30℃というぬるいお湯なので、必然的に長湯してしまうのですが、目を瞑りながら時間を忘れてのんびり湯浴みしていると、いつの間にやら肌に気泡が付着していました。牧歌的な佇まい、閑静で麗しい環境、何らの手が加えられていないピュアなお湯・・・。あらゆる要素がブリリアントなお風呂でした。とりわけ、ぬる湯好きの方には堪らない一湯でしょう。


単純温泉 分析書掲示なし

場所の特定は控えさせていただきます。

備品類なし

私の好み:★★★

コメント (2)
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深耶馬渓温泉 仙景の湯

2017年03月01日 | 大分県
 
深耶馬渓の中心地である「一目八景」では、県道の沿道に土産物店や飲食店、お宿などが並んでおり、その中の数軒は温泉浴場を擁しています。当初私は温泉ファンから評価の高い某蕎麦店のお風呂に入りたかったのですが、訪問時、残念ながらそのお風呂は空っぽだったため、沿道に立っていた「天然温泉かけ流し」という看板に惹かれて、そば処「仙景望」に付帯している温泉浴場「仙景の湯」を訪うことにしました。


 
食事処の隅っこにある番台から奥が浴場ゾーン。暖簾をくぐった先には、マッサージチェアーが置かれた下足場があり、男女別に分かれたドアを開けて脱衣室へ入室します。室内は新築の建物によくある建材の匂いが漂っており、その様子から推測するに比較的最近、内装を改修したのでしょうけど、そのわりにはやや雑然としており、民家の一室に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥りました。


 
お風呂は内湯のみですが、川に面して大きな窓があり、深耶馬渓の絶景を生み出している山移川のせせらぎを一望することができました。そんな景観の窓から差し込んでくる陽光により室内は明るく、木材の温もりと石材の重厚感が温泉風情を醸し出していました。


 
室内には押しバネ式の単水栓と、同じく単水栓のシャワー、そして(画像には写っていませんが)シャワー付きの混合水栓が取り付けられており、各カランからは温泉が出てきました。


 
浴槽は五角形の左端を伸ばしたような形状をしており、縁などには御影石が用いられています。大きさとしては4人サイズでしょうか。
塩ビ管の湯口より温泉が供給されていました。でも訪問時には投入量が少なく、湯船の水位も低かったため、洗い場のシャワーを湯船まで伸ばして応急的に温泉を追加投入し、なんとか肩まで浸かれる湯嵩にしました。湯使いは完全放流式だと思われます。
前回記事で取り上げた「岩戸湯」と同じく、湯船のお湯は淡い紅茶色を帯びた透明ですが、こちらの湯船では褐色の浮遊物がちらほらと舞っていました。木材を焦がしたようなビター感やモール泉のような香り、ツルツルスベスベの滑らかな浴感、湯上がり後の爽快感なども「岩戸湯」や前々回の「折戸温泉」に似ています。この界隈で湧くお湯は大体同じような特徴を有しているようです。ただ、こちらのお風呂は投入量の少なさがちょっと残念でした。


 
単純泉とはいえ、重曹泉的な特徴がよく表れているお湯なので、湯上がりは無駄な火照りがなく、汗もスッと引いてさっぱり爽快。肌もサラサラです。そんな気持ち良い状態のまま、店内の食事処でおそばをいただきました。注文したのは地元深耶馬渓産の石臼挽きそば粉を使った十割そばのざる。なかなか美味しかったですよ。


仙景望の湯
単純温泉 46.0℃ pH8.4 溶存物質0.533g/kg 成分総計0.533g/kg
Na+:83.0mg(81.10mval%),
Cl-:21.0mg(12.83mval%), HCO3-:225.0mg(79.88mval%), CO3--:9.0mg,
H2SiO3:167.0mg,
(平成15年10月20日)
加水加温循環消毒なし

大分県中津市耶馬溪町深耶馬3155-3  地図
0979-55-2052
ホームページ

11:00〜21:00
300円
ロッカー・シャンプー類あり

私の好み:★★
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深耶馬渓温泉 岩戸湯

2017年02月27日 | 大分県
 
前回記事の「折戸温泉」から西へ進んで、深耶馬渓の核心部へと近づいてまいりました。深耶馬渓を南北に貫く県道28号線沿いには、温泉浴場が点在していますが、その中のひとつである「岩戸湯」で入浴してまいりました。民家と見紛う小さな建物なので、注意しないと見逃してしまうかもしれません。



看板の下にある小屋は、温泉のポンプ小屋かな?


 
上で「民家と見紛う」と申し上げましたが、経営しているファミリーのものと思しき靴がたくさん並んでいる玄関は、まさに民家そのもの。そんな玄関の前で靴を脱ぎ、ドアを開けて中へ入ります。入ってすぐ左手にカウンターがあり、声をかけると、奥の居間と思しき部屋からおばちゃんがやってきて対応してくださいました。玄関があるフロアには有料のお座敷があり、だんご汁などの軽食がいただけるようですが、今回は入浴のみの利用としました。
お風呂は階段で1フロア下ったところ。暖簾をくぐった先の脱衣室もやはり民家然としているのですが、フローリングの室内は綺麗に維持されているので、使い勝手に問題ありません。私がこの脱衣室で着替えていると、サッシの向こう側にある浴室から、ボコボコとお湯が噴き出る音が響いてきました。勢いよく温泉が吐出されているのでしょうね。その音を耳にすると、お湯への想いが否応無く前のめりになってしまいます。


 
お風呂は男女別の内湯のみですが、白く塗られた壁と床に敷かれた黒い石板のコントラストが鮮やかで、また2方向が窓ガラスになっているため、室内は明るくて開放的です。窓と並んで配置されている洗い場には、シャワー付きカランが2基取り付けられており、コックを開けると真湯が出てきました。


 
浴室の窓外に広がる景色がとっても長閑で美しい。小さな耕作地の向こうには、深耶馬渓の絶景をつくりだしている山移川のせせらぎが流れ、そして川の対岸に青々とした山が広がっています。私が訪れた日には心地よい微風が吹いていたので、窓を全開にして半露天風呂状態にし、風を体で感じながら湯浴みさせていただきました。


 
脱衣室まで響いていたボコボコ音の正体は、言わずもがな温泉の湯口です。上画像では水平方向に伸びる細いパイプが写っているのみですが、浴槽内にもうひとつ投入口があり、そこから勢いよく噴出されるお湯がボコボコという音を立てていたのでした。また画像に写っているパイプから吐出されるお湯も、まるで間欠泉のように時折ドバッと大量にお湯を噴き出すこともありました。エアリフトポンプでお湯を汲み上げているのか、送湯される過程でエアを噛んでしまうのでしょうね。


 
台形の浴槽は4〜5人サイズで、浴槽内はタイル張りですが、縁は緩やかな曲線を描く洗い出しになっており、ちょっと古風ながら柔らかな印象をもたらしていました。そしてその縁の切り欠けから湯船のお湯が惜しげも無く捨てられていました。おそらく完全放流式の湯使いかと思われます。お湯は淡い紅茶色の透明で、浮遊物や泡つきなどは見られませんでした。お湯を口に含むと、木材を焦がしたような香りとほんのりビターな味わいが感じられます。湯加減は40℃前後という長湯仕様。ツルツルスベスベの滑らかな美人湯。体への負担が少ないので、時間を忘れていつまでも浸かっていられます。また湯上がりもさっぱり爽快。長閑な景色を眺めながら爽快系の湯浴みを楽しめた、とっても気持ち良い一湯でした。


単純温泉 40.0℃ pH7.7 18L/min(自噴・掘削450m)
その他のデータは不明
(平成元年12月22日)

大分県中津市耶馬溪町大字深耶馬3216-2  地図
0979-55-2923

10:00~20:00 水曜定休
300円
備品類なし

私の好み:★★★




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