白馬岳登山記その2(栂池ヒュッテ→白馬大池→小蓮華山→白馬岳)のつづきです
2011年9月8日 快晴 計2人(この日から2人)
白馬山荘→杓子岳→白馬鑓ヶ岳(白馬三山を縦走)→白馬鑓温泉
距離:5.8km
標高差:905m
獲得標高:上り327m、下り1135m
この日の行程はわずか5.8km。しかもほとんどが下りという楽チンなルートなので、朝はゆっくりです。なぜ楽チンな行程設定にしたのかといえば、自分の体力に自信が無かったため。日頃の運動不足が祟って前日の登りで筋肉痛や捻挫に苦しんだとしても、この程度の距離で下りメインならば、誤魔化しながら何とかなるだろうと考えたからです。実際にはそんな心配は杞憂に終わりましたが、結果的には早めに温泉に到着でき、空いている露天風呂をじっくり堪能できたので結果オーライでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/34/84754e59191cf292f4cd10bbc902bcef.jpg)
【5:00 起床】
上空の高い位置に雲が掛かっているものの、視界は良好。まだ日の出前ですが、雲の海は下部が既にほのかな紅色に染まっており、朝日の光が届いていない天空とのグラデーションが実に神秘的でした。そして黎明の空には幾重にも稜線が重なって、遥か彼方までその姿をはっきりと見せていました。画像左(上)は左から杓子岳・白馬鑓ヶ岳、画面中央の遠方に穂高方面(槍ヶ岳など)、その真下に黒四ダム、さらに右側には立山連峰が聳えていました。昨夜同様明瞭に見えています。
画像右(下)は戸隠連峰や妙高方面。稜線と雲の僅かな隙間から、上がってきたばかりの真っ赤な太陽が細い棒のようにチラっと姿を見せています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/69/40965d04f8bc3723f1d61f131425e02b.jpg)
杓子岳の左側には南アルプス・八ヶ岳、そして富士山が綺麗に映えていました。
昨夜に引き続き冷たい北風が吹き、かなり寒い。
【5:30 朝食】
朝食はここでとらず、早めに出発する人がかなりいるため、朝食会場に集まった人の数は昨夜より若干少なめ。
【7:00 白馬山荘 出発】
昨日レストランでビールを乾杯した同室のSさんは、今日の行程が私と同一だというので、一緒に行動することにさせていただくことにしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/78/9c32b94df3681b0b6946f56ec7009367.jpg)
【7:10 大雪渓への分岐】
白馬岳登山で最も利用者の多い大雪渓ルートはここから分岐。我々は大雪渓を下らず、尾根の上をななぞりながら南下します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/8d/db416771517c73fd76f022642fe79c94.jpg)
振り返ると目の前に村営白馬岳頂上宿舎、その上には昨晩宿泊した白馬山荘が。
村営宿舎の前にはテント場があり、幾張かのテントが設営されていましたが、いくら西側斜面が風を遮ってくれているとはいえ、昨晩の冷え込みはさぞかし辛かったでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/12/c3779889341c76506bc9fe3e94994a4c.jpg)
画像左(上)は立山連峰を望んだ様子。雄山や剣岳、そして毛勝三山が山裾までクッキリ。更には剣岳と毛勝三山の間の遠方には、白山までもがその全容を現わしていました。山荘のおじさん曰く、白山の山頂が見えることはあっても、下の方まで望めるのはとても珍しいんだそうです。
画像右(下)は東の方を展望しています。上空の雲のスリットから光のカーテンが下界へ降り注ぎ、とって幻想的な光景です。画像の左側には北信五岳、右には浅間山や四阿山、そこから左に向かって三国山脈方面へと連なる稜線が広がっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/d0/7282cd9022dc75f99af935a67701b531.jpg)
これから白馬三山のひとつ、杓子岳へ登ります。途中の尾根の鞍部から西を見ると、スプーンでえぐったような地形に遭遇。カールでしょうか。夏の盛りにはお花畑になりそうですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/1e/83455e42bb9acb1b4454d79418498a00.jpg)
唐松方面へ急ぐ人は山腹のバイパスでショートカットしちゃいますが、今回はちゃんと三山を縦走したいので、ちょっと遠回りでも杓子岳頂上へ立ち寄ります。頂上への登攀は急傾斜のガレが連続し、足がガレに潜って登りにくい…。画像右(下)はその斜面を見下ろした様子です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/d5/38bd4c75c5e970f7b128abaa4a687949.jpg)
【8:20/30 杓子岳(2812m)】
息を切らして運動不足の体に鞭打ちながら、杓子岳の頂上に到達です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/55/63/bb9dbbfda42b57911a9b22a7cdd954dd_s.jpg)
見晴らし良好。さっきまでゼーゼー言っていた呼吸もたちまち整っちゃいました。この画像は右から富士山、八ヶ岳、佐久平を挟んで浅間山。サムネイルをクリックすると横に長い大きなパノラマ画像が開きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/63/5d11f71e3c3ad1807ed5acc54955986b.jpg)
こちらは毛勝山方面で、稜線の向こうには富山平野、そして富山湾、さらにその奥に平べったい地形の能登半島が横たわっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/7e/262d60dd15ac4a7a252b8ec9988aa207.jpg)
杓子岳を下りたら、今度は白馬鑓ヶ岳の頂上を目指します。天候は相変わらず良好、しかも上空の雲もかなり消えてきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/5f/0316fe77358c9c530efbe11e2f808eea.jpg)
同行のSさんの粋な計らいにより、白馬鑓ヶ岳へ登る途中の小さな台地で、ちょっとブレイク。ランタンでお湯を沸かし、ペーパードリップのコーヒーを淹れていただきました。山の上で飲む淹れたてのコーヒーは格別ですね。カフェイン中毒の私は一晩コーヒーを飲まなかっただけで禁断症状が出ていたところでしたから、Sさんの御厚意には本当に感謝です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/4c/46faeb30b5ff4289eb92dba5aafffadd.jpg)
前半は比較的急な坂ですが、ある程度まで登っちゃうと、あとは尾根上のなだらかな勾配となりました。私の脚も俄然軽快になります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/2e/3a547686cc681d8e5437672e349dd248.jpg)
杓子も鑓もガレの山ですが、ガレの質が全然違うのが面白いところ。私個人としては鑓の方が登りやすかったように思います。道しるべのところで左折するとすぐに山頂です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/28/6c88d7f42c9a557060129c10c088d609.jpg)
【10:00/45 白馬鑓ヶ岳(2903m)】
山頂に到達した頃には空がこの上なく綺麗に澄み渡り、今回の全行程で最も素晴らしい眺望が得られました。まずは記念撮影。そして三角点にタッチ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/1c/f4/5b2b2140b0cc981b1db0682a5909575b_s.jpg)
南方を眺望。天狗小屋や不帰キレットの向こうに唐松・五竜・鹿島槍と後立山連峰が続き、その奥に槍ヶ岳など穂高方面の峰々が聳え、手前には黒四ダムが湖水を湛え、湖面の背後に雄山・剣岳とつづく立山連峰が屹立と構えています。剣岳の右肩奥には白山連峰もしっかり姿を見せています。サムネイルをクリックするとこの方角のパノラマ画像が開きます。上述の景色の他、富山平野、倶利伽羅峠、能登半島、そして富山湾に浮かぶ船の姿まで明瞭に見えます。さらには左端に富士山の姿も確認できるかと思います。ひとつのポイントから太平洋側の富士山と日本海に浮かぶ能登半島が同時に眺められるとは! 日本列島って狭いんだなぁ…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/69/acf1178671c6bd94caace411a44e1ec2.jpg)
唐松岳の山稜の彼方には南アルプス・富士・八ヶ岳・奥秩父が一望。富嶽の姿はこの上なく秀麗。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/33/e161f3778cf28207c60fdcdf1a216aa4.jpg)
今度は今来た方角を振り返ってみます。画像左(上)は、手前が杓子、その奥が白馬岳、そこから連なる稜線上に小蓮華が続き、さらに右の方へ辿ってゆくと、私のスタート地点である栂池ヒュッテが小さな点として確認できました。自分の辿ってきたルートを一望すると、実に感慨深い。戸隠や妙高など北信五岳方面の眺望を拡大してみると(画像右(下))、遠方には至仏山か燧ヶ岳(あるいは巻機山)と思しき山影も確認できました。
生涯でこんなに素晴らしい眺望を得られる機会は、果たしてどれだけあるでしょう。ここまで遠くまで見晴らせる条件に恵まれるなんて、この上ない幸運です。永遠に眺めていたい…。思わず同じ景色を何度も何度もカメラに収めてしまいました。いつまでもここに留まるわけにはいかないので、40分間で展望を切り上げ、後ろ髪をひかれる思いで山を下ることに。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/85/c253c8db72dc11a436efeb0693228199.jpg)
【11:10 白馬鑓温泉分岐】
白馬三山の縦走も無事完遂し、この分岐で後立山連峰の山稜歩きも終了。ここから左に折れて一気に下っていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/44/9dd1af799c92af6987236616da692cef.jpg)
後ろを振り返ると先程までいた白馬鑓が聳えています。真っ白なガレに覆われていて、あたかも雪山のようです。わずか10分でこんなに下ってきたんですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/7b/4760ccc06b914f481166e8f2b42eef09.jpg)
分岐からはしばらく滑りやすい急なガレの坂が続きます。私も何度かズルっとコケそうになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/f5/d56bf2941c76d7268e09032b3d5ada78.jpg)
ガレ場から這松林へと徐々に変わり、ガレの白・這松の緑・空の青のトリコロールが非常に美しい景色の中を下っていると…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/a7/8a29c2093895df31bf71c0a13a4819b8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/a3/195b48ff03e4fb04da54a7434d382f62.jpg)
昨日に引き続き、ここでもライチョウを発見!! 成鳥と幼鳥の群れが登山道の脇でウロチョロしているではありませんか。警戒心がまるでなく、私が近づいてもちっとも怯えず、マイペースで彷徨していました。二日連続でライチョウに出会えるとは、ラッキーなんて言葉じゃ足りないほどの強運かも。でもこんな好天にノコノコ出てちゃって、外敵に襲われたりしないのかしら。ちょっと心配。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/d0/896635c709483eeacf6edca031b01734.jpg)
【11:50 大出原(標識)】
高山植物が広がる大出原。斜面にはかすかに雪が残っていました。このまま溶けることなく万年雪となるんでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/9d/35b7398037fe748f1e1acc8623a64d88.jpg)
美味そうな苺が鈴なり。
高山植物の花の端境期的なシーズンとはいえ、辺りは色とりどりの花で埋め尽くされていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/d9/a29f4758d7ca2d3fd770cbe4141013b8.jpg)
白馬鑓を見上げます。わずか1時間足らずでこんなに下ってきたんですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/37/e2cea190d7a691179a1c3e70b5aea6d2.jpg)
なだらかな斜面の大出原が終わると、登山道上に「この先滑りやすい岩場(鎖り場)あり ストックをたたんで慎重に!」と警告する看板が立っていました。地図を見ると確かにここから鑓温泉まで等高線が非常に稠密しており、急斜面であることが容易に想像されます。気を引き締めて先へ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/5b/673b4241c0598e854d4ef9cd5487706e.jpg)
まずは沢が落ちるガケをトラバース。お手並み拝見といったところでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/81/550a55c1d0f03141ab03cf42aee308ff.jpg)
いよいよ鎖場出現。「この先鎖場事故多発」と看板が警告しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/55/313a6dc17778159894ea23b3a0cb7283.jpg)
かなり急な傾斜です。滑りやすい蛇紋岩である上、ところどころに沢が流れているため、どうしても靴の裏が濡れてしまい、余計に滑りやすくなります。でも上手い具合にステップ状の窪みがあるので、それを足掛かりにしながら、鎖をしっかり握って慎重に下っていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/fb/264a6346003a1d9a707da991d3bf33af.jpg)
画像を見る限りでは大したことなさそうですが、実際に現地で立ってみると結構な急斜面なのです。この道を下りに選択して良かった…。登りだったらメチャクチャ疲れそうだ…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/63/906fc117bcb5419482890024218be844.jpg)
こんな滝の滝壺を越えたりもします。滝には黒いホースが設置されており、どうやら鑓温泉小屋で使う水はこの滝から取水しているようです。この滝を越えれば、急な鎖場もひと段落。鎖場のおかげで、いかにも登山しているという程よい緊張感が味わえました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/01/e8521d4fb8d9759a861341aaf7170a2e.jpg)
でも油断は禁物。ゴール間近で再び警告看板が登場。ここからはロープ場や小さなはしご場が続きます。それほど急ではないのですが、小屋間近なので、つい気が緩んで足元を滑らす人が多いのかもしれませんね。最後まで緊張感を維持しながら下っていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/f0/eae1434306af7e047639655846044a37.jpg)
目の前の雪渓の下に、目指す小屋が見えてきました。雪渓上には落石がたくさん。不気味ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/de/0c6dbb7c6ebf0aa296b1bfe7aeeaa84e.jpg)
路傍ではトリカブトが鮮やかな花を咲かせていました。「美しい花(女)には毒がある」という言葉の象徴のような花ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/17/8994f86df9ed88cd5c54e7a16175c217.jpg)
【13:25 白馬鑓温泉小屋 到着】
無事に急な下りも乗り切り、今回の山行の最大目的である白馬鑓温泉に到着しました。受付でチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いたら…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/a6/4e1f31958ad76e80943d6b97d0e9fe9e.jpg)
ビールで喉を潤しながら、露天風呂で汗を流します。緊張感も溶け、すっかり安心を得、絶景を眺めながらの湯あみは、まさに極楽の境地。早めに到着したので、お風呂を独り占めすることができました。
※白馬鑓温泉についてはこちらでレポートしています
その4につづく
2011年9月8日 快晴 計2人(この日から2人)
白馬山荘→杓子岳→白馬鑓ヶ岳(白馬三山を縦走)→白馬鑓温泉
距離:5.8km
標高差:905m
獲得標高:上り327m、下り1135m
この日の行程はわずか5.8km。しかもほとんどが下りという楽チンなルートなので、朝はゆっくりです。なぜ楽チンな行程設定にしたのかといえば、自分の体力に自信が無かったため。日頃の運動不足が祟って前日の登りで筋肉痛や捻挫に苦しんだとしても、この程度の距離で下りメインならば、誤魔化しながら何とかなるだろうと考えたからです。実際にはそんな心配は杞憂に終わりましたが、結果的には早めに温泉に到着でき、空いている露天風呂をじっくり堪能できたので結果オーライでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/df/989702de2f9f2457db440178144926ba.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/34/84754e59191cf292f4cd10bbc902bcef.jpg)
【5:00 起床】
上空の高い位置に雲が掛かっているものの、視界は良好。まだ日の出前ですが、雲の海は下部が既にほのかな紅色に染まっており、朝日の光が届いていない天空とのグラデーションが実に神秘的でした。そして黎明の空には幾重にも稜線が重なって、遥か彼方までその姿をはっきりと見せていました。画像左(上)は左から杓子岳・白馬鑓ヶ岳、画面中央の遠方に穂高方面(槍ヶ岳など)、その真下に黒四ダム、さらに右側には立山連峰が聳えていました。昨夜同様明瞭に見えています。
画像右(下)は戸隠連峰や妙高方面。稜線と雲の僅かな隙間から、上がってきたばかりの真っ赤な太陽が細い棒のようにチラっと姿を見せています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/e1/1e0e8586747f177ad221e830ec9b002b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/69/40965d04f8bc3723f1d61f131425e02b.jpg)
杓子岳の左側には南アルプス・八ヶ岳、そして富士山が綺麗に映えていました。
昨夜に引き続き冷たい北風が吹き、かなり寒い。
【5:30 朝食】
朝食はここでとらず、早めに出発する人がかなりいるため、朝食会場に集まった人の数は昨夜より若干少なめ。
【7:00 白馬山荘 出発】
昨日レストランでビールを乾杯した同室のSさんは、今日の行程が私と同一だというので、一緒に行動することにさせていただくことにしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/d1/8dfa7e6f8a4dc0ae5ff1fde3fb249172.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/78/9c32b94df3681b0b6946f56ec7009367.jpg)
【7:10 大雪渓への分岐】
白馬岳登山で最も利用者の多い大雪渓ルートはここから分岐。我々は大雪渓を下らず、尾根の上をななぞりながら南下します。
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振り返ると目の前に村営白馬岳頂上宿舎、その上には昨晩宿泊した白馬山荘が。
村営宿舎の前にはテント場があり、幾張かのテントが設営されていましたが、いくら西側斜面が風を遮ってくれているとはいえ、昨晩の冷え込みはさぞかし辛かったでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/b0/4c9d43af4134a25ecaa873e7d91a8f3c.jpg)
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画像左(上)は立山連峰を望んだ様子。雄山や剣岳、そして毛勝三山が山裾までクッキリ。更には剣岳と毛勝三山の間の遠方には、白山までもがその全容を現わしていました。山荘のおじさん曰く、白山の山頂が見えることはあっても、下の方まで望めるのはとても珍しいんだそうです。
画像右(下)は東の方を展望しています。上空の雲のスリットから光のカーテンが下界へ降り注ぎ、とって幻想的な光景です。画像の左側には北信五岳、右には浅間山や四阿山、そこから左に向かって三国山脈方面へと連なる稜線が広がっています。
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これから白馬三山のひとつ、杓子岳へ登ります。途中の尾根の鞍部から西を見ると、スプーンでえぐったような地形に遭遇。カールでしょうか。夏の盛りにはお花畑になりそうですね。
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唐松方面へ急ぐ人は山腹のバイパスでショートカットしちゃいますが、今回はちゃんと三山を縦走したいので、ちょっと遠回りでも杓子岳頂上へ立ち寄ります。頂上への登攀は急傾斜のガレが連続し、足がガレに潜って登りにくい…。画像右(下)はその斜面を見下ろした様子です。
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【8:20/30 杓子岳(2812m)】
息を切らして運動不足の体に鞭打ちながら、杓子岳の頂上に到達です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/c2/880c815699ef7b6b723714b65f7f20be.jpg)
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見晴らし良好。さっきまでゼーゼー言っていた呼吸もたちまち整っちゃいました。この画像は右から富士山、八ヶ岳、佐久平を挟んで浅間山。サムネイルをクリックすると横に長い大きなパノラマ画像が開きます。
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こちらは毛勝山方面で、稜線の向こうには富山平野、そして富山湾、さらにその奥に平べったい地形の能登半島が横たわっています。
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杓子岳を下りたら、今度は白馬鑓ヶ岳の頂上を目指します。天候は相変わらず良好、しかも上空の雲もかなり消えてきました。
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同行のSさんの粋な計らいにより、白馬鑓ヶ岳へ登る途中の小さな台地で、ちょっとブレイク。ランタンでお湯を沸かし、ペーパードリップのコーヒーを淹れていただきました。山の上で飲む淹れたてのコーヒーは格別ですね。カフェイン中毒の私は一晩コーヒーを飲まなかっただけで禁断症状が出ていたところでしたから、Sさんの御厚意には本当に感謝です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/4c/46faeb30b5ff4289eb92dba5aafffadd.jpg)
前半は比較的急な坂ですが、ある程度まで登っちゃうと、あとは尾根上のなだらかな勾配となりました。私の脚も俄然軽快になります。
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杓子も鑓もガレの山ですが、ガレの質が全然違うのが面白いところ。私個人としては鑓の方が登りやすかったように思います。道しるべのところで左折するとすぐに山頂です。
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【10:00/45 白馬鑓ヶ岳(2903m)】
山頂に到達した頃には空がこの上なく綺麗に澄み渡り、今回の全行程で最も素晴らしい眺望が得られました。まずは記念撮影。そして三角点にタッチ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/e0/dec8b3b01f9d97edd7a04603a67ef6b8.jpg)
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南方を眺望。天狗小屋や不帰キレットの向こうに唐松・五竜・鹿島槍と後立山連峰が続き、その奥に槍ヶ岳など穂高方面の峰々が聳え、手前には黒四ダムが湖水を湛え、湖面の背後に雄山・剣岳とつづく立山連峰が屹立と構えています。剣岳の右肩奥には白山連峰もしっかり姿を見せています。サムネイルをクリックするとこの方角のパノラマ画像が開きます。上述の景色の他、富山平野、倶利伽羅峠、能登半島、そして富山湾に浮かぶ船の姿まで明瞭に見えます。さらには左端に富士山の姿も確認できるかと思います。ひとつのポイントから太平洋側の富士山と日本海に浮かぶ能登半島が同時に眺められるとは! 日本列島って狭いんだなぁ…。
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唐松岳の山稜の彼方には南アルプス・富士・八ヶ岳・奥秩父が一望。富嶽の姿はこの上なく秀麗。
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今度は今来た方角を振り返ってみます。画像左(上)は、手前が杓子、その奥が白馬岳、そこから連なる稜線上に小蓮華が続き、さらに右の方へ辿ってゆくと、私のスタート地点である栂池ヒュッテが小さな点として確認できました。自分の辿ってきたルートを一望すると、実に感慨深い。戸隠や妙高など北信五岳方面の眺望を拡大してみると(画像右(下))、遠方には至仏山か燧ヶ岳(あるいは巻機山)と思しき山影も確認できました。
生涯でこんなに素晴らしい眺望を得られる機会は、果たしてどれだけあるでしょう。ここまで遠くまで見晴らせる条件に恵まれるなんて、この上ない幸運です。永遠に眺めていたい…。思わず同じ景色を何度も何度もカメラに収めてしまいました。いつまでもここに留まるわけにはいかないので、40分間で展望を切り上げ、後ろ髪をひかれる思いで山を下ることに。
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【11:10 白馬鑓温泉分岐】
白馬三山の縦走も無事完遂し、この分岐で後立山連峰の山稜歩きも終了。ここから左に折れて一気に下っていきます。
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後ろを振り返ると先程までいた白馬鑓が聳えています。真っ白なガレに覆われていて、あたかも雪山のようです。わずか10分でこんなに下ってきたんですね。
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分岐からはしばらく滑りやすい急なガレの坂が続きます。私も何度かズルっとコケそうになりました。
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ガレ場から這松林へと徐々に変わり、ガレの白・這松の緑・空の青のトリコロールが非常に美しい景色の中を下っていると…
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昨日に引き続き、ここでもライチョウを発見!! 成鳥と幼鳥の群れが登山道の脇でウロチョロしているではありませんか。警戒心がまるでなく、私が近づいてもちっとも怯えず、マイペースで彷徨していました。二日連続でライチョウに出会えるとは、ラッキーなんて言葉じゃ足りないほどの強運かも。でもこんな好天にノコノコ出てちゃって、外敵に襲われたりしないのかしら。ちょっと心配。
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【11:50 大出原(標識)】
高山植物が広がる大出原。斜面にはかすかに雪が残っていました。このまま溶けることなく万年雪となるんでしょう。
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美味そうな苺が鈴なり。
高山植物の花の端境期的なシーズンとはいえ、辺りは色とりどりの花で埋め尽くされていました。
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白馬鑓を見上げます。わずか1時間足らずでこんなに下ってきたんですね。
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なだらかな斜面の大出原が終わると、登山道上に「この先滑りやすい岩場(鎖り場)あり ストックをたたんで慎重に!」と警告する看板が立っていました。地図を見ると確かにここから鑓温泉まで等高線が非常に稠密しており、急斜面であることが容易に想像されます。気を引き締めて先へ。
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まずは沢が落ちるガケをトラバース。お手並み拝見といったところでしょうか。
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いよいよ鎖場出現。「この先鎖場事故多発」と看板が警告しています。
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かなり急な傾斜です。滑りやすい蛇紋岩である上、ところどころに沢が流れているため、どうしても靴の裏が濡れてしまい、余計に滑りやすくなります。でも上手い具合にステップ状の窪みがあるので、それを足掛かりにしながら、鎖をしっかり握って慎重に下っていきます。
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画像を見る限りでは大したことなさそうですが、実際に現地で立ってみると結構な急斜面なのです。この道を下りに選択して良かった…。登りだったらメチャクチャ疲れそうだ…。
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こんな滝の滝壺を越えたりもします。滝には黒いホースが設置されており、どうやら鑓温泉小屋で使う水はこの滝から取水しているようです。この滝を越えれば、急な鎖場もひと段落。鎖場のおかげで、いかにも登山しているという程よい緊張感が味わえました。
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でも油断は禁物。ゴール間近で再び警告看板が登場。ここからはロープ場や小さなはしご場が続きます。それほど急ではないのですが、小屋間近なので、つい気が緩んで足元を滑らす人が多いのかもしれませんね。最後まで緊張感を維持しながら下っていきます。
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目の前の雪渓の下に、目指す小屋が見えてきました。雪渓上には落石がたくさん。不気味ですね。
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路傍ではトリカブトが鮮やかな花を咲かせていました。「美しい花(女)には毒がある」という言葉の象徴のような花ですね。
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【13:25 白馬鑓温泉小屋 到着】
無事に急な下りも乗り切り、今回の山行の最大目的である白馬鑓温泉に到着しました。受付でチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いたら…
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ビールで喉を潤しながら、露天風呂で汗を流します。緊張感も溶け、すっかり安心を得、絶景を眺めながらの湯あみは、まさに極楽の境地。早めに到着したので、お風呂を独り占めすることができました。
※白馬鑓温泉についてはこちらでレポートしています
その4につづく