温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

日光湯元温泉 源泉 ゆの香

2014年04月15日 | 栃木県
 
日光湯元温泉は東京圏から比較的近距離で濃厚な硫黄のお湯を堪能できるありがたい温泉地ですが、2014年冬の某日に、そんな日光湯元温泉の日帰り入浴専門施設「源泉 ゆの香」で硫黄まみれになって参りました。場所としては湯の平湿原のトレイル入口に位置しており、ペンション風の外観からもわかるようにかつては宿泊業も営んでいたようですが、現在は日帰り入浴とお食事に営業内容を絞っているようです。



いかにも民宿のようなアットホームな空気が横溢する館内で、「あれあれ? 間違えて民家にお邪魔しちゃったか?」と一瞬不安になりましたが、玄関で声をかけますと、居住スペースと思しき部屋からおばちゃんが現れて対応してくださいましたので、この方に料金を直接支払いました。


 
廊下を歩いて奥へ進み、看板に従って途中で左へ曲がって、更に通路を進みます。この廊下の途中には貴重品用ロッカーがありますので、お財布などはここへ預けましょう。


 
男女別の浴室は部屋別に植物の名称が付けられており、男湯は「よしの湯」、女湯は「ななかまどの湯」となっていました。L字型の脱衣室は細長い空間に棚が設置されており、複数人で利用するとやや窮屈に感じるかも。既に室内には浴室から流れ込んでくる硫黄の香りがふんわり漂っており、硫黄の影響なのか洗面台の水栓は黒く硫化していました。なお硫黄による故障頻発を嫌ってか、室内にドライヤーの備え付けはありません。


 
浴室も民宿か小規模旅館のようなこぢんまりとしたものですが、壁に用いられている木材や床に敷き詰められている石材といった自然由来の建材のおかげで、ぬくもりと落ち着いた雰囲気が醸し出され、湯船に張られた硫黄湯の色合いを際立たせていました。浴室を入ってすぐのところには洗い場が配置され、真湯が出るシャワー付き混合水栓が4基並んでいます。


 
浴槽は5~6人サイズ。縁は木ですが槽内はタイル貼りです。湯口からは直接手で触れないほど熱いお湯が注がれていますが、その量は若干絞り気味であり、投入量を減らすことによって湯加減を調整しているものと思われます。また館内表示によれば加水を行っているとのことでしたが、私が見たところ、そのような形跡は見られず、ちょっと熱めの湯加減となっていました。なお循環加温消毒などの無い放流式の湯使いです。プンと鼻を突くイオウ臭が湯面から放たれ、その匂いはしっかりと体にこびりつきます。

湯船のお湯はエメラルドグリーンを帯びており、入浴前は半透明で底が見えるぐらいの透明度を有していましましたが、私が湯船に入ってお湯が撹拌されると沈殿していた湯の華が舞い上がって一気に濁りが強くなり、色合いが黄緑色になって底は見えなくなりました。湯口のお湯を口にしてみますと、硫黄味やタマゴ味の他、苦味や焦げた味、そしてほんのりとした甘味が感じられ、唇が痺れたり軟口蓋に苦味がこびりついたりするなど、口腔の粘膜をしっかり刺激してくれました。硫黄の濃さをたっぷり味わえるなかなか良いお風呂です。



つづいて露天風呂へ。周囲を雪に覆われていて見るからに寒そうな光景ですが、湯船にはお湯が冷めないように断熱材が浮かべられていましたので、まずは上半身の寒さと足元の冷たさに耐えつつ、これらを取り払いました。


 
断熱材を取り払うとこんな感じになります。冬季以外は常時このような状態になっているのでしょうね。湯船の上を見上げますと、屋根がかかっていると思いきや、実は垂木が梁に向かって渡されているだけで、ほとんど吹きさらし状態ですから、湯船の断熱材は必要不可欠なのでしょうね。


 
露天の浴槽は3~4人程度の容量で、縁は木で槽内はタイル貼りです。縁にはお湯をオーバーフローさせるための浅い溝が彫られていました。内湯同様、こちらも放流式の湯使いです。槽内をよく見ますと、内湯との間(窓の直下)には穴があいており、その穴を通じて内湯から受けたお湯が露天風呂に張られる仕組みになっていました。なお、露天風呂のお湯は全て内湯から供給されているようでして、露天用の湯口は見当たりませんでした。
エメラルドグリーンを帯びた濁り湯には白や黄色の細かい湯の華が無数に舞っており、入浴して底に手をつくと、硫化鉄の影響で指先の一部に黒いものが付着しました。内湯でやや熱かった湯加減は、露天ではちょうど良い温度まで下がっており、硫黄の濁り湯に浸かりながら、ゆっくりと雪見風呂を堪能することができました。


 
こちらの露天風呂は湯元温泉の源泉地帯である湯の平湿原に面しているのが大きなアピールポイント。とはいえ、湿原は観光客が散策する景勝地ですから、目隠しの葦簀がフェンスのように立てられており、お風呂に浸かりながら湿原を眺めても、画像左(上)のように葦簀のスリットから辛うじて見えるかな…といった程度です。でも、湿原には源泉小屋以外に建物がありませんから、葦簀の上に広がる視界は広々としており、露天風呂のコンパクトさを払拭するほどの開放感が楽しめました。日光湯元でこれほどの開放感がある露天風呂って、実は貴重な存在かもしれません。参考までに、画像右(下)は湯の平湿原側から露天風呂を望んだ様子です。

700円という料金設定に対してお風呂がちょっと小さいところが気にかかりますが、当温泉地では珍しい日帰り入浴専門施設ですから、他の旅館と違って入浴のみの利用でも断られる心配はありませんし、露天風呂のローションも良好、その上、放流式の湯使いによる濃厚な硫黄のお湯を堪能できますので、なかなか利用価値の高い施設ではないかと思われます。


奥日光開発(株)1・2・3・4・7号森林管理署源泉混合泉
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 78.5℃ pH6.4 溶存物質1.393g/kg 成分総計1.632g/kg
H+:0.0mg, Na+:146.1mg, Ca++:197.7mg, Mg++:5.1mg, Mn++:3.2mg,
Cl-:91.4mg, HS-:91.4mg, SO4--:502.8mg, HCO3-:285.1mg, S2O3--:1.1mg,
H2SiO3:103.8mg, CO2:190.4mg, H2S:48.2mg,
加水あり(源泉温度が高いため)

日光駅(東武・JR)から東武バスの湯元温泉行で終点下車、徒歩2分程度
栃木県日光市湯元2536  地図
0288-62-2326
ホームページ

10:00~19:00
700円
貴重品用ロッカー・シャンプー類あり

私の好み:★★+0.5

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする