温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

羽根沢温泉 加登屋旅館

2020年04月26日 | 山形県

今回記事から山形県へと移ります。前回記事の岩手県巣郷温泉はアブラ臭の強い温泉として温泉愛好家の間では有名ですが、今回取り上げる山形県最上地方の羽根沢温泉もまた鉱油の匂いが強い温泉として夙に知られており、私もこの手の温泉が大好きであるため、拙ブログでは今まで何度か取り上げております。当地には1つの共同浴場と3つの温泉旅館がありますが、今回訪れたのは3つある旅館のうち真ん中にある「加登屋旅館」です。バス停や駐車場から最も近く、宿の名前に「湯元」という魅惑的な語句を冠しています。今回は日帰り入浴で利用させていただきました。帳場で入浴をお願いしたら女将と思しき女性の方が快く歓迎して下さいました。


建物はかなり年季が入っており全体的に草臥れている感は否めませんが、フロント右手のロビーはなかなか広く、その一角に設けられた休憩スペースでは、囲炉裏と一体化した大きな木のテーブルが置かれ、昭和の頃のスナックを彷彿とさせるベロアのソファーがその周りを囲んでいました。
浴場の入口はこの不思議な休憩スペースと帳場の間にあり、脱衣室は6~8畳ほどの広さで、古いながらもきちんとお手入れされており、どなたも問題なくお使いいただけるかと思います。


浴場は本棟に隣接する多角形状の建物で、それを男女で二分するような構造をしています。浴場外周の窓ガラスは二重になっており、二枚のガラスに挟まれた間のスペースには砂利が敷かれて石庭のような設えになっているのですが、肝心なガラスが汚れており、その坪庭も放置されているみたいで、少々残念に思いました。


浴場棟の屋根を見上げると、この建物は八角形であることがわかります。この八角堂の中心で太い柱が屋根を支えており・・・


その円柱の周りには洗い場が配置されています。水栓は4基ほど設けられ、そのうち半分にはシャワーが備え付けられていました。


男湯と女湯との仕切りにはステンドグラス調のアクリル板が採用されています。そのアクリル板の下を浴槽が貫通しているので、浴槽は男女で一体になっているのでしょう。


浴槽は窓側に沿って円弧を描いており、上述のように女湯側と一体になっているようなのですが、男湯側だけでも10人以上は余裕で入れそうなキャパシティを有していますので、全体としてみると相当の大きさなのではないかと思われます。


男女の仕切りの近くにパイプが突き出ていて、そこからお湯がトポトポ注がれています。そして浴槽を満たしたお湯は、湯口傍の縁から溢れ出ており、オーバーフローが流れる浴槽の縁は赤茶色に染まっていました。浴槽のお湯は薄らと白い笹濁りを呈しており、湯中では褐色や灰色の小さな浮遊物ちらほら舞っています。ちなみに羽根沢の共同浴場では黒くて大きな羽根状の湯の花が見られますが、こちらのお風呂でそのような大きな湯の花は確認できませんでした。

湯口のそばにコップが置かれていたので、試しにお湯を飲んでみますと、はっきりとした塩味と出汁味、ほろ苦み、卵黄味、そして羽根沢らしいアブラ臭が感じられ、お湯をゴクンと飲み込んだ瞬間に、喉から鼻へアブラの匂いが抜けていきました。大正時代に油田を掘ろうとしたらお湯が出てきちゃったのがこの温泉地の端緒ですから、お湯から鉱物油の匂いが漂ってくるのは至極当然と言えましょう。
たしかにこのアブラ臭は羽根沢温泉の特徴なのですが、この石油感以上に素晴らしいのが、ウナギ湯と称したくなる極めて滑らかな浴感です。多くの方が異口同音に仰っていますが、湯中ではまるでローションを思わせるようなニュルニュル浴感が得られ、湯浴みすると誰にもがトロトロしたお湯にウットリすることでしょう。非常に気持ちの良いお湯であり、且つ私の入浴時は若干ぬるめの湯加減でしたので、いつまでも長湯したくなりましたが、食塩泉なのでいつの間にか火照り、軽く逆上せかかってしまいました。日帰り入浴ですし、長湯は体に宜しくありませんから、適度なところでお風呂から出なければなりませんが、あまりに良いお湯であったので後ろ髪をひかれてしまい、浴室から出ることをつい躊躇ってしまいました。宿泊すれば休憩をはさんで何度も入れますから、いつか泊まって思う存分トロトロのお湯を堪能したいものです。


含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
45.2℃ pH8.4 蒸発残留物3196mg/kg 溶存物質3622mg/kg
Na+:1178mg,
Cl-:930.7mg, Br-:3.6mg, I-:0.5mg, HS-:1.8mg, S2O3--:1.0mg, HCO3-:1402mg, CO3--:29.9mg,
H2SiO3:35.3mg, CO2:9.4mg,
(平成26年1月10日)

山形県最上郡鮭川村中渡1312
0233-55-2525
ホームページ

日帰り入浴8:00~20:00
400円
ロッカー、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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