温泉好きな日本人旅行者が訪ねる四重渓温泉の有名ポイントといえば、 戦前に高松宮様がハネムーンで訪れたお風呂を擁する「清泉日式温泉館(清泉温泉ホテル)」か、あるいは地域のための無料公衆浴場である「四重渓温泉浴室」のいずれかではないかと思います。私はいままで四重渓温泉へ何回か足を運んでおり、前者には宿泊したことがあるのですが、なぜか後者はこれまで利用する機会に恵まれませんでした。ある時は工事中、ある時は清掃中といった感じで、ご縁が無かったのです。しかしながら、2020年2月に当地を訪ねた際、ようやくここで入浴することができたので、簡単にレポートさせていただきます。
台湾の地元民向け公衆浴場は多くが無料で利用でき、もちろんこの四重渓温泉浴室も無料です。それゆえ、地元の方に敬意を払い、マナーを守って利用したいものです。上画像は出入口に掲出された開業時間や注意点など。朝5時から夜11時まで利用可能ですが、平日午前8時から10時は清掃時間となるため利用できません。
正面向かって左が女湯で右が男湯。入口から入ってトイレの前を通過し、スイング扉を開けた奥に浴場が広がっています。
私の訪問時、浴場内は地元のおじいさんたちで混雑していたため、撮影はしていません。今回記事は文章のみで説明いたしますので、もし浴場内の様子をご覧になりたい方は、ネットで検索してみてください。
場内は台湾公衆浴場の標準的な造りと申しましょうか、土足ゾーンと入浴ゾーンの区別がなく、また着替えゾーンと入浴ゾーンとの区別もなく、入口から洗い場までひたすらフラットな造りになっているため、特に着替える場所など床が濡れやすいところでどうしても足元が汚れてしまいます。あらかじめ足を拭く雑巾を用意しておくか、サンダルなどで訪れるなど、事前にそれなりの対策が必要かと思います。
浴室奥には洗い場があり、水栓が4つ設置されているのですが、4つともお湯のカランであり、開けると直に触れないほど熱い温泉のお湯が吐出されます。洗い場の奥には汲み湯用のお湯と水道水の槽がありますので、まず備え付けのバケツを手にし、手桶(洗剤の容器の上を切ったもの)でお湯と水を合わせて汲んでちょうど良い湯加減のお湯をつくり、それを使って掛け湯したり体を洗ってください。
浴場の壁には富士山のような山、そして山の両側に桜の花が咲いている様子を描いたタイル絵が施されています。そして、その真下に設けられている浴槽は押しつぶした半円のような形状をしていて、とても大きく、中央の湯口から熱いお湯がドバドバと注がれ、巨大な浴槽に四重渓を湛えていました。多少加水されているものの、ほぼかけ流しの湯使いとみて間違いありません。でも夕方に訪問したときにはお湯が汚れて若干白濁しており、翌朝は透明ながら湯嵩が低くて寝そべらないと肩まで浸かることができませんでした。つくづく私はこのお風呂と相性が宜しくないようです。日頃の行いが悪いのかしら…。
とはいえ、地元の方と触れ合うことができる貴重な施設であることには違いありませんから、日頃善行を重ねている皆様ならば、きっと満足のゆく湯あみが楽しることでしょう。
碳酸氫鹽泉(炭酸水素塩温泉) 53.2℃ 溶存物質1130~1240mg/kg
通年オープン 5:00~23:00(月曜~金曜の8:00~10:00は清掃時間)
屏東県車城郷温泉村文化路3-6
本文が短いので、四重渓温泉公園について簡単に触れておきましょう。
公衆浴場の裏手の山には、近年整備された温泉公園が広がっています。
よく整備された園内には足湯が設けられ、この日も数名の方が足をお湯に浸していました。
足湯の先には石灯篭らしきオブジェが設えられた参道らしき歩道が伸びており・・・
神社浴仏と書かれた説明プレートが設置され・・・
お社のような屋根の下に仏さまが鎮座していました。どうやら薬師様を神社スタイルで拝みましょう、という日台折衷の不思議なコンセプトのようです。あまりこの手のものに突っ込むのは却って無粋な気がしますので、ここは敢えて温かい目で見守りたいと思います。
さて、台湾シリーズはひとまずこれにてオシマイ。
次回からは日本の温泉に戻ります。
あぁ、早く台湾へ旅行したいなぁ。
いつになったら元のように自由に海外旅行ができるようになるのでしょうか。