温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

天ヶ瀬温泉 瀬音・湯音の宿 浮羽

2020年10月21日 | 大分県
2020年7月の豪雨で甚大な被害を蒙った大分県天ヶ瀬温泉。懸命な復旧作業により一部の旅館や河原の露天風呂は営業を再開していますが、いまだに再開できないお宿もあり、復興は道半ばです。そこで当地を応援する気持ちも込めて、今回記事では2019年末に巡った当地の温泉を取り上げます。


この時に訪ねたのは温泉街の通りから細い道に逸れて坂を上がったところにある「瀬音・湯音の宿 浮羽(ホテル浮羽)」です。


宿の目の前には源泉と思しき施設を発見。


軒先には「立ち寄り湯営業中」の提灯が吊り下げられていました。今回は日帰り入浴での利用でので、この提灯を目にして安心しました。
(現在の日帰り入浴営業状況についてはお宿へご確認ください)
古風な旅館が多い当地にしては珍しい小奇麗なお宿で、玄関を入った先にあるロビーにはピアノが置かれており、「洋風なお宿なのかしら」と想像しながらフロントで日帰り入浴をお願いしますと、なぜか宿帳へ名前などの記入を求められました。


フロントのスタッフさん曰く、お風呂は4階にあるとのこと。ロビー奥にあるエレベーターで4階へ上がり、連絡通路を渡って隣の棟に渡って通路の突き当りまで歩きますと、ようやくお風呂にたどり着きました。


エアコンが効いて快適且つ綺麗な脱衣室を抜けると内湯。
この内湯も明るく清潔感があります。男湯の場合、正面に浴槽が据えられ、右手に洗い場が配置されています。なお取り付けられているシャワーは5箇所で、吐出されるお湯はボイラーの沸かし湯です。


内湯の浴槽は半径約1.5メートルの円形で、湯口から温泉がふんだんに供給されており、縁から大量にオーバーフローしています。湯船のお湯は無色透明で、湯中では白く小さな湯の花が少々ですが舞っていました。なお源泉温度は70℃以上ですが、内湯の湯口では既に適温でしたので、おそらく加水されているのでしょう。


内湯のお風呂で温まったところで、続いて露天へ向かいます。ドアを開けて専用の屋外通路を進むと・・・


まず右手に五右衛門風呂が2つ設けられていました。いずれも源泉かけ流しの温泉ですが、一般的な湯加減のものと、ややぬるめにセッティングされているものに分かれています。後ほど触れますが、内湯・露天・五右衛門風呂のうち、お湯の状態が良かったのはこの五右衛門風呂でした。


そしてこの裏庭のような場所に露天風呂が設えられています。正直なところあまり開放感は無いのですが、笹や常緑樹の緑に囲まれていますし、風も通り抜けますので、露天風呂に期待したくなる爽快感は得られるでしょう。


露天風呂は石造りで奥に長く、その最奥に湯口があります。内湯と異なりこちらから出てくる温泉はかなり熱いのですが、私が訪れたのは冷え込んだ年の瀬であり、また露天風呂の表面積も広いため、湯船自体はややぬるめの湯加減になっていました。


外気で冷却されるためか、露天風呂の湯中では大量の湯の華が浮遊していました。湯の華が出やすい泉質なのですね。

先ほどの五右衛門風呂のところでも申し上げましたが、こちらの浴場にある内湯・露天・五右衛門風呂という3種類のお風呂のうち、私個人の感覚で最もお湯のコンディションが良かったと感じたのは五右衛門風呂でした。浴槽の小ささとそこに注がれるお湯の量のバランスが、他の浴槽よりも良いからでしょう。浴槽の中では白い湯の花が大量に舞っているのみならず、硫黄の匂いもはっきり嗅ぎ取れます。肌に伝わるシャキッとした感覚も良好でした。次点は露天風呂で、内湯は加水の影響か前2者に比べてやや薄いように思われました(でも湯加減は最も良好でした)。湯口のお湯を口に含むと僅かに塩味が感じられる他、軟式ゴムテニスボールのような硫黄風味がしっかり伝わり、とろみやツルスベ感も明瞭。匂いや浴感が白い湯の華と相まって温泉らしさを楽しませてくれます。各浴槽ともかけ流しの湯使いであるのが嬉しいところです。
なお分析表によればこちらの温泉は溶存物質1.000g/kgとのこと。日本の温泉法では溶存物質1g/kg以上で単純温泉ではない泉質名を名乗れますから、正にギリギリのところで辛うじて「単純」の名前から逃れられているわけです。そんなことを頭の片隅に置きながら入浴するとより一層面白く入浴できるかもしれません。今回私は入浴のみの利用でしたが、次回はご当地の味覚を楽しみながら宿泊で再訪してみたいものです。


源泉名:ホテル浮羽
77.1℃ pH8.1 溶存物質1.000g/kg 成分総計1.002g/kg
Na+:252.3mg(86.45mval%), Ca++:20.7mg,
Cl-:265.5mg(57.22mval%), SO4--:93.3mg, HCO3-:180.2mg(22.54mval%), CO3--:10.8mg,
H2SiO3:133.9mg,
(平成8年11月1日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温循環消毒なし

大分県日田市天瀬町赤岩3-5
0973-57-3171
ホームページ

日帰り入浴 16:00まで
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
(日帰り入浴の情報に関しては2019年時点のものです。現在の状況については直接お宿へご確認ください)

私の好み:★★+0.5

コメント
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