今回より再び2019年末に巡った大分県の温泉へ戻ります。
全国的に有名な由布院温泉の中でもとりわけ評判が高い「束の間」(旧庄屋の館)で日帰り入浴を楽しんできました。実は本来ならば宿泊する予定だったのですが、諸般の都合により宿泊予約を泣く泣くキャンセルすることになり、仕方なく日帰り入浴で利用したのです。由布院駅前の観光案内所でJR九州「楽チャリ」の電動アシスト自転車を借り、モーターの力を借りて由布岳の麓をひたすら登ること約15分で目的地に到着しました。いかにも九州の人気宿らしい、モダン和風の小洒落た雰囲気です。
温泉櫓などあちこちから勢いよく上がる温泉の蒸気によって、施設内は白く包まれていました。当地の地熱資源が豊かであることを実感します。もちろん自然に上がっているものもあるのでしょうけど、演出として意図的にあげている箇所もあるのかな(下衆の勘繰りかしら)。
こちらのお宿は大きな建物の中に客室を収容している一般的な旅館とは違い、全室が一棟貸しとなっています。つまり小さな離れの集合体なんですね。お宿側ではこれを「ストレスフリーをコンセプトにした温泉保養集落」と称しているようです。それらの「集落」は由布岳の麓の傾斜地に沿って建ち並んでいるため、奥へ向かう階段を上がってから後ろを振り返ると、由布院の街並みを眺望できると同時に、目下の各棟も一望できます。
通路をどんどん進んで日帰り入浴の受付棟へ。各棟には温泉のお風呂があるため、宿泊や休憩利用のお客さんはわざわざ大きな露天風呂に行かなくても入浴できるのですが、日帰り入浴の客が入れるのは大露天風呂のみ。
受付棟に入って小さな券売機で料金を支払い、券を受付のスタッフに手渡します。脱衣室は広い板の間で、棚や篭もたくさん用意されており、使い勝手はまずまずです。
お風呂は写真NGですので、公式サイトから画像を拝借致しました。上画像は脱衣室から露天へ出たところを撮ったもの。脱衣室の引き戸を開けるといきなりこの景色が広がり、青いお湯が視界に飛び込んでくるので感動してしまいます。私が訪ねたのはキンキンに冷え切った年の瀬の朝一番。厳しい寒さのため露天風呂は真っ白な湯気に覆われており、湯気の向こうに霞むお湯の青さも相まって、とても幻想的でした。
しかしながら、本当に露天だけで内湯や屋内の洗い場などなく、洗い場も完全露天状態ですから、私が訪問した時のような寒い日にはちょっと身に堪えます。その洗い場にはシャワーが5箇所ならんでいるのですが、寒かったからか私がコックを開けてもなかなかお湯が出てこない・・・。寒くてたまらず、仕方なく桶で湯船のお湯を掬って掛湯させてもらったら・・・まぁ何ということでしょう! お湯がとってもヌルヌルしていてウナギ湯と言わんばかりの感触だったのです。これはすごい!
露天の湯船はとても広く、しかも(多少の深浅はあるものの)全体的に浅めの造りです。庭園の池のように大きな湯船の半分近くには屋根が掛かっており、屋根がないところでは由布岳を望めます。上述のように私は朝いちばんで尋ねたため、お風呂に入った当初は他客がいなかったのですが、さすが人気施設だけあり、しばらくすると続々と日帰り入浴客がやってきました。でも広いので混雑は気になりません。長湯にちょうど良い湯加減なので、雄大な景色を見上げながらヌルヌルの青白湯にいつまでも浸かっていられました。時間を忘れる湯浴みは実に素晴らしいですね!
お湯は白みを帯びたコバルトブルーに濁っており、微かに硫化水素臭を放っています。湯口のお湯を口に含んでみますと、薄塩味とミネラル的な味が感じられました。浴槽のまわりにはカルシウムと思しき析出が付着しており、鱗状の白い模様もたくさん形成されています。なお湯口から出てくるお湯は激熱なので、決して直に触れないように気を付けましょう。
雰囲気が良く、お湯の色が美しくて、その感触も感動的なのですから、人気を博すのも頷けます。露天風呂だけでもブリリアントなのですから、宿泊したら尚一層感動することでしょう。今回は泊まれなかったのですが、次回こそは宿泊してみたいものです。
ゆふいん束ノ間の湯
ナトリウム-塩化物温泉 97.4℃ pH8.7 湧出量測定せず(498m掘削自噴) 溶存物質1.237g/kg 成分総計1.237g/kg
Na+:374.0mg(92.18mval%),
Cl-:413.0mg(69.43mval%), S2O3--:0.3mg, SO4--:97.6mg(12.10mval%), HCO3-:112.0mg(10.97mval%),
H2SiO3:156.0mg, HBO2:9.1mg,
(平成29年10月12日)
大分県由布市湯布院町川上444-3
0977-85-3105
ホームページ
日帰り入浴9:30〜18:00
800円
ロッカー・ドライヤーあり
私の好み:★★★