温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

原鶴温泉 やぐるま荘

2020年12月27日 | 福岡県

私が大好きな福岡県原鶴温泉へとやってまいりました。今回お邪魔するのは温泉街の中心部からちょっと離れた「やぐるま荘」です。建物自体はかなり年季が入ったコンクリ造ですが、敷地が大きく駐車場も広いので、車でアクセスするならとても便利です。お宿の公式サイトを拝見しますと、車はもちろん、自転車でツーリングするサイクリストを歓迎しているらしく、施設内に屋内駐輪場・自転車洗浄・各種工具等々の用意があるんだそうですよ。


私が訪ねたときには、車でも自転車でもなく、駐車場の隅には白ヤギさんが一頭ウロウロしていました。当然お客さんの移動手段ではなく、お宿で飼われているんですね。


真っ白でかわいらしいヤギさんの目の前には、手水のようなモニュメントがあり、熱い温泉が湯気を濛々と上げながら垂れ流されていました。白ヤギさんはお手紙なんて食べることなく、きっと常に温泉の香りを嗅いでリラックスしているもかもしれませんね。はぁ、うらやましいわ。

さて私は日帰り入浴で利用させていただきます。フロントを訪ねてその旨を伝えると、いかにも人のよさそうなご主人がお風呂までの経路やお風呂に関することなどを丁寧に説明してくださいました。人間もお宿も第一印象が大切。たまに「日帰り・・・」と口にするや否やぞんざいに対応する施設もありますが、こちらのように丁寧に接してくださいますと、次回は宿泊を検討したいな、お風呂がよければ尚更だ、といった感じで確実に再訪候補の対象となり、また自分のブログでも極力良い方向で書かなくては、という気持ちになるものです。


湯銭を支払い、ご主人が案内してくださった通りにフロントの先を右折し、更に左折するという感じでひたすら奥へ進んでゆくと、その先に浴場の入口がありました。


入口の前には「アンチエイジングの湯」と書かれた板を発見。入浴することでアンチエイジング効果が得られるのか、はたまた湧出したてで老化していない新鮮な温泉という意味か、正直なところ判然としませんが、ま、ここでは両方の意味として捉えておきましょう。同じ板には加水も加温もしていないという嬉しい文言もありますので、おそらく後者の意味で捉えるのが正解なのかも。

外観から想像できるように館内も少々お疲れ気味なのですが、それでもしっかりお手入れされており、脱衣室も老朽化に抗うべくしっかり整えられています。ジャズが流れる室内には、エアコンや扇風機などが設けられているほか、ロッカーや洗面台、ドライヤーなどのベーシックなグッズも完備。使い勝手は良好です。


浴室の大きさにはたまげました! H鋼を組んで建てられており、まるで熱帯植物園の温室のような造りなのです。そういえば、表の玄関の看板に「ジャングル風呂」と書かれてたのですが、なるほどジャングルをイメージしているのですね。温室のような造りでありながら決して暖かい訳ではないのですが、アーチ状の天井はとても高くポリカの波板で囲われているため、日中の浴室内はとても明るくのびのび入浴できます。


大きな内風呂に据えられているお風呂は巨大な岩風呂。立派な岩が屹立していますが、室内が大きいため決して窮屈な感じがしません。浴槽は温度別に2分されていて、湯口側はおおよそ3メートル四方で若干熱め。一方、湯尻側は3メートル×6メートルほどで、若干ぬるめの湯加減です。ちなみに浴室の壁には「日本百名湯に選ばれた」と書かれているが、いつどなたが選定したのか、不勉強の私は存じ上げません。


岩の間から出てくる温泉。当然ながら内湯におけるお湯の鮮度は湯口側浴槽がはるかに良好でした。


男湯の場合、脱衣室側から見て左側にシャワーが5個ほど並んでいます。シャワーから出るお湯は温泉であり、しかも飲めるんだとか。理性のリミッターが壊れている私は適量という言葉を知らないため、シャワーの口を自分の顔に向け、出てくるお湯を直接口で受けながら、グビグビと大量に飲んでしまいました。はぁ、おいしかった。


露天風呂は河原のようなロケーション。それもそのはず、目の前は筑後川分水路の原っぱが広がっているのです。この露天風呂には使われていない浴槽跡が一つあるほか、左奥に縦長の台形の浴槽もあり、後者にお湯が張られています。その浴槽の大きさは目測で底辺3m×上底1.8×奥行4.5mほど。なお浴槽の奥には電気風呂が設けられているのですが、私は電気風呂が苦手なので奥の方は入っていません。


奥の湯口から滔々と注がれるお湯は無色透明で、茹で卵の卵黄のような風味がはっきりと感じられます。九州でなく申し訳ないのですが、例えば台湾のアルカリ性硫黄泉にありそうな濃いめの味と匂い、あるいは秩父のタマゴ水にも近い匂いと味と表現したくなるような比較的強いタマゴ感が得られ、この手の風味が大好きな私はついつい感動してしまいました。またそれに加えてアルカリ性泉にありがちな微収斂も感じ取れました。
立派なのは香りや味だけではありません。大してアルカリ性に傾いているわけでもないのに、完全にアルカリ性泉らしいはっきりとしたツルツルスベスベの滑らかな浴感が肌に伝わるほか、若干ヌルヌル感も伴っていました。成分表を見ても特に何かが突出して含まれているわけではないのに、何がこの浴感をもたらしているのでしょうか。重曹が少々多いからか、あるいはフッ素イオンが比較的多いからなのか、とにかく不思議なお湯です。内湯・露天ともに湯使いは完全掛け流し。大変フレッシュですばらしいお湯です。しかも上述のようにお湯が飲めるのですから言うことなし。なお今回は利用していませんが館内には貸切風呂もあるんだそうです。お湯にこだわる方へおすすめしたい、素晴らしい温泉でした。


八車荘2号
単純温泉 46.6℃ pH7.9 200L/min(動力揚湯) 溶存物質0.713g/kg 成分総計0.713g/kg
Na+:185.5mg(90.57mval%),
F-:14.6mg, Cl-:131.4mg(41.09mval%), HS-:1.1mg, HCO3-:274.8mg(49.83mval%),
H2SiO3:69.2mg, HBO2:18.0mg, H2S:0.2mg,
(令和元年12月9日)

福岡県朝倉市杷木久喜宮1890-1
0946-62-0700
ホームページ

日帰り入浴10:00~20:00
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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