(2021年10月訪問)
前回記事で取り上げた「なりた温泉」の近くにあるビジネスホテルです。周囲は田んぼだらけで何もないのですが、郡山南インターからは近いので、アクセス面は良好です。また館内にレストランもあるので、食事面の心配もありません。こちらのホテルは以前拙ブログで紹介したことがあるバーデン温泉や石橋ヘルス温泉と同系列の経営であり、館内には宿泊者専用の温泉浴場があるため、どんなお風呂に入れるのか楽しみにしながら宿泊利用させていただきました。なお訪問時はエントランス目の前にバス停が立っていて、郡山駅から路線バス1本でアクセスすることもできたのですが、2022年4月に路線バスが廃止されてしまったそうです。残念。
こちらがお部屋。広くて快適でした。
なお宿泊直前にネット予約しようとしたら満室と表示されてしまったのですが、電話で問い合わせたら無事に部屋を確保できました。このホテルに限った話ではないのですが、ネットで予約ができなくても、電話だと何とかなる場合がよくありますので、もし泊まりたい宿が満室だったとしても、あきらめずに電話してみましょう。
各部屋のユニットバスには温泉と書かれた水栓跡があり、温泉マニアとしては期待してしまうところです。ネット情報によれば客室にも温泉が引かれているとのことでしたが、現在この温泉と書かれた配管には封栓されていて使えません。フロントの方にも確認したのですが、現在お部屋への温泉の引湯はしていないそうです。となれば、温泉に入りたきゃ大浴場へ行くしかありません。
宿泊客用大浴場はホテルの1階です。ロビーから奥へ入って宴会場の廊下を突き進んだ奥にあります。24時間利用できるわけではなく、夜は24時まで、朝は4:30から利用可能です。なお私は旅程の関係で朝6時前にチェックアウトするため、朝5時前に大浴場を利用したのですが、なんとこんな早朝から既に2人の先客がおり、しかも浴場から出るときには5~6人と続々お客さんがお風呂へやってきたのです。このホテルは早朝から動き回るお客さんが多いのかしら。
脱衣室はとても広くスペースにゆとりがあります。また棚に大きなカゴが備え付けられていて、洗面台も大きく、清掃も行き届いていて使い勝手良好です。こんな立派な設備を宿泊者だけで使うのはもったいない気がします。なお浴場にタオルの備え付けがないので、各客室からタオル類を持ってゆくのですが、部屋へタオルを持ち帰る際に使うビニル袋が用意されています。ゴルフ場などのお風呂でよく見かけるサービスですが、こうした小さな心配りが嬉しいですね。
浴室もかなり広く、天井も高くて窓も大きく、露天こそありませんが、非日常空間を感じるには十分な広さと開放感が備わっています。また足元には十和田石(緑色凝灰岩)が敷かれているので足裏から伝わってくる感触も良好です。さらには、洗い場ゾーンとと入浴ゾーンがちゃんと分かれており、洗い場と湯船側を仕切る壁の一方(浴槽側)はベンチになっていて、湯船から上がってちょっと休憩するのに便利な造りになっています。
洗い場には計12か所のシャワーブースが設けられ(その他にも立って使うシャワーが2つあり)、一つ一つの間隔が広く取られているので、隣のお客さんをあまり気にせず使えるかと思います。なおシャワーから出てくるお湯は真湯かと思われます。
浴槽は内部がタイル貼りで縁には御影石を採用。弧を描くこの浴槽は前後二つに分かれており、手前側はちょっとぬるめでやや小さい一方、奥はグランドピアノのような形状で、実際の容量はわかりませんがとても大きく、数十人は余裕で入れるのではないかと思われます。
湯口から温泉がドバドバと轟きながら大量投入されており、しっかりかけ流されています。季節によって加水するそうですが、おそらく訪問日はほぼ無加水だったようです。つまり完全かけ流しの湯使いです。こちらでは二つの源泉をブレンドしており、湯口から出てくるお湯をテイスティングしてみますと、淡い塩味と弱い芒硝の味が感じられる程度で、印象的な香りや味、色など分かりやすい特徴はありません。しかしながら湯上がりは体の芯まで良く温まり、いつまでも汗が引きませんでした。
分析表を見ますと、溶存物質1.002g/kgというギリギリのラインで単純泉から逃れられて、辛うじてナトリウム-塩化物・硫酸塩泉という泉質名が名乗れています。0.003g少なければ単純泉になってしまう状況ですから、それゆえ知覚的特徴が弱いのかもしれませんが、とはいえ湯船に浸かるとしっかりとしたツルスベ浴感と少々の引っ掛かりが混在して肌に伝わってきます。いかにも食塩泉と硫酸塩泉のミックスといった感じですが、特筆すべきは26.2mgも含まれる炭酸イオンの多さでしょうか。この炭酸イオンの多さが明瞭なツルスベ浴感をもたらしているのでしょう。大量投入の完全かけ流し温泉は実に気持ち良く、浴場の大きさも相まって、実に心地よい湯浴みを楽しむことができました。
なお宿泊者はお隣の「バーデン温泉」もチェックインとチェックアウトの両日利用することができ、フロントで利用チケットがもらえるのですが、個人的にはこの大きな浴場だけで十分満足できました。
石橋温泉・石橋興産温泉 混合泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 45.0℃ pH8.4 溶存物質1.002g/kg 成分総計1.002g/kg
Na+:313.7mg,
Cl-:221.4mg, SO4--:211.7mg, HCO3-:123.9mg, CO3--:26.2mg,
H2SiO3:31.0mg, HBO2:51.1mg,
(平成8年3月5日)
加水あり(源泉温度が高いため季節により地下水を加水。加水率0~4%)
加温循環濾過消毒なし
福島県郡山市安積町成田字島ノ前2-3
024-947-7777
ホームページ
宿泊者専用(入浴のみ不可)
私の好み:★★★