温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塩原・塩の湯温泉 明賀屋本館 その3(露天風呂)

2022年11月04日 | 栃木県
前回記事の続編です。


内湯で汗と垢を洗い流した後は、露天風呂へと向かいましょう。露天風呂は渓流の岸にあるため、一気に谷底へ下ってゆきます。
まずは一旦内湯から出て、B1階の廊下を奥へ進み、専用のドアを開けて表に出ます。


屋外へ出てスノコの上を歩いていると、地面に埋め込まれている蓋の下からお湯が溢れ出ていました。
これって源泉からの湧出なのか、あるいは中継枡からお湯がこぼれているだけなのか・・・。


スノコ敷きが終わると、谷底へ向かって一気に下ります。膝や腰が悪い方だと行き来がちょっと厳しそうなほどの急傾斜です。急なだけではなく、階段そのものも危なっかしい。古くて床板を踏み抜きそうなほど古い木造の階段は気を付けないと転落してしまいそうなほど急で、しかも薄暗く、初めて目にした時にはちょっとした恐怖感をおぼえました。なおこの階段の途中左手に有料の貸切風呂があります。


谷側の視界が開けたところで左手に古い木造建築を見下ろしますが、これは昔の農民用湯治棟なんだとか。この旧湯治棟の上を下る階段は88段あるそうですが、これはお百姓さんが湯治するのでお米の八十八にかけたのではないかとのこと。真偽のほどはさておき、引き続き歩みを進めることに不安をになるほど古くて暗い階段を下ってゆきます。


せせらぎが聞こえてくるとやがて簡素な脱衣所(男女別)に入り・・・


そこからさらに下りきると、半洞窟みたいな感じで黒ずんだ浴槽に行き着きます。これは単純泉である明賀屋源泉のお風呂です。


湯口には白い析出が付着していました。単純泉とはいえ、しっかり成分がお湯に溶けている証と言えましょう。


こちらは、温泉ガイドの書籍やネット上などでよく見られる川岸の露天風呂です。四角い浴槽が二つ並んでいますが、いずれも塩の湯温泉のお湯が注がれており、川の下流側は適温であるのに対し、上流側はややぬるいもののじっくり長湯できる湯加減でした。なおこの両浴槽は温泉成分によりコーティングされているのですが、剥げているところでは内部の材木が姿を見せていました。湯船の中では赤茶色い湯の花がたくさん浮遊しており、お湯自体も赤みと少々の緑色を帯びた黄土色に濁っています。
そういえば「とちぎ濁り湯の会」に所属する35宿のうち、34は硫黄の濁り湯ですが、ここ明賀屋だけは塩化土類泉の黄土色濁りなんですね。


更に上流側には岩盤を刳り抜いてつくったような洞窟的な岩風呂があり、こちらにも塩の湯源泉が注がれているのですが、河原の四角い湯船と違ってここはちょっと熱く、あまり長湯できないものの、しっかり温まりたい場合にはもってこいです。ただ、訪問時は塩化土類泉の成分付着によりモルタルの床がヌルヌルしており、滑って川にすぐ落ちてしまいそうな場所なので、少々怖かったです。なおこの岩風呂のお湯はエメラルドグリーンを帯びていました。


この塩の湯源泉(刈子の湯)は、泉質名こそ食塩泉ですが、事実上は典型的な塩化土類泉に含めて良いかと思われます。塩味がかなりはっきり感じられる他、金気味、出汁味、ほろ苦み、炭酸味など、箒川沿いに点在する塩原温泉郷のお湯らしい特徴が見られる塩化土類泉の濁り湯なのですが、塩原の他の温泉よりも濃く、塩味もはっきり表れています。もちろん浴槽廻りのあちこちに鱗状の析出が付着しています。湯中ではキシキシと引っかかる浴感ですが、肌をさすっていると食塩泉っぽいツルスベがひょっこり現れたりするので面白い湯あみが味わえます。この手の温泉は、ちょっと放置するだけですぐに温泉藻やヘドロが発生してドロドロになってしまいますので、お宿の方の管理はさぞご苦労なさっているのではないかとお察しします。しかもただ清掃するだけではなく、あの急な傾斜を登り下りしなければならないのですから、相当のご苦労ではないでしょうか。お宿の方に心から御礼申し上げます。

渓流のせせらぎを目の前にして、白い雪を目にしながら、あるいは頭に雪を積もらせながら、濁り湯に浸かって過ごすひと時。こんな幸せなことはありません。最高の湯あみを堪能させていただきました。


刈子の湯
ナトリウム-塩化物温泉 55.8℃ pH6.0 290L/min(掘削自噴) 溶存物質4.423g/kg 成分総計5.049g/kg
Na+:1179.3mg(73.97mval%), Ca++:254.7mg(18.33mval%), Fe++:3.1mg,
Cl-:2184.4mg(89.17mval%), SO4--:61.2mg, HCO3-:373.1mg(8.85mval%),
H2SiO3:128.4mg, HBO3:99.0mg, CO2:625.9mg,
(平成23年12月1日)

明賀屋源泉(1)
単純温泉 52℃ pH6.8 135L/min(自然湧出) 溶存物質0.6305g/kg 成分総計1.1045g/kg
Na+:64.0mg(53.38mval%), Ca++:15.8mg(15.12mval%),
HCO3-:286.8mg(91.24mval%),
H2SiO3:191mg, CO2:474.0mg,
(平成25年1月15日)

栃木県那須塩原市塩原353
0287-32-2831
ホームページ

日帰り入浴不可

私の好み:★★★



コメント (2)
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