温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

観光渡航が再開された台湾でレンタカーを利用 2023年1月版

2023年01月17日 | 台湾
(本記事の内容は2023年1月上旬時点のものです)

各地の温泉を取り上げている拙ブログですが、その中でも閲覧回数が多いのは2013年にアップロードした台湾のレンタカーに関する記事です。温泉ではないという点に私はちょっとしたモヤモヤを覚えるのですが、いや、むしろ皆さんにとって必要な情報をご提供できたのだと嬉しく思っております。当時はまだ日本人が台湾でレンタカーを利用するためのHow to 記事がネット・書籍ともに少なく、ネットで調べてみても「危ないからやめるべき」「海外資本のレンタカー業者が無いので利用しにくい」など否定的な書き込みが散見されるばかりで、積極的に利用するための知識や知恵をネットから拝借することは難しい状況でした。

しかしながら、レンタカーがあれば公共交通機関やタクシーに頼ることなく自由に行動できるのも事実。虎穴に入らずんば虎子を得ず、車を利用しないと台湾の真の魅力には出会えない、野趣溢れる温泉に入れないと決断して、実際に台湾でレンタカーを利用してみたところ、想像よりはるかに容易であり、かつ現地におけるハードルも低く、むしろ漢字が読める日本人だからこそ台湾では運転がしやすいのではないか、という事実に気づいたのでした。そこで、ぜひ皆さんにも利用して台湾の更なる魅力に触れていただきたいと考えて、レンタカーの利用に関するHow to を記事にしたのですが、この記事はその後多くの方にご覧いただくようになり、やがて(日本語の)ネット上では否定的な見解が消え、台湾のレンタカーを積極的に利用する紹介記事が激増していきました。コロナ禍の間はともかく、ここ数年は日本人によるレンタカー利用も増えたのではないでしょうか。ということは、私は台湾における日本人のレンタカー利用促進に一役買っているわけですから、台湾レンタカー業界は私に幾許かの謝礼金をよこしてくれないかなぁ・・・。

なんて戯言はともかく、2020年春からはじまったコロナ禍の間は台湾へ旅行できなかった訳ですが、2022年10月より台湾では入国者に対する隔離義務が撤廃されて、実質的に外国人の観光が解禁されましたので、2023年1月上旬に弾丸旅行ながら台湾へ行ってまいりました。コロナ禍の前と現在とで、大きな変化は無かったように感じたのですが、細かいところで違いや注意点をいくつかご紹介させていただきます。


●JAFでの運転免許中国語翻訳が、ウエブ申請可能に

日本と台湾(中華民国)の間には国交がありません。また台湾は道路交通に関するジュネーブ条約も締結していません。このため台湾では国際免許が使えません。かといって日本の運転免許がそのまま使えるはずもありません。
ではどのようにしたら良いのか・・・。
この点については拙ブログの以前の記事でも書いた通り、JAF(日本自動車連盟)にお願いして、運転免許証の中国語翻訳(以下、中文翻訳)を発行してもらうことになります。この翻訳はあくまでJAFが発行したものに限り有効であり、ご自身や民間翻訳会社などで翻訳したものは無効です。
この中文翻訳を入手する際、これまではJAFの窓口で直接申請するか、郵便で申請するかのいずれかの方法を選択していましたが、最近になってネット申請が主流となりました。なおネット環境が使えない人は引き続き郵送でも申請可能です。

まず詳しくはJAFの「日本の運転免許証を台湾で使うための中国語翻訳文について」をご覧になり、委細を確認してください。

運転免許の中文翻訳について内容が理解できたら、続いて「翻訳文ウェブ申請について」をご覧になり、ページの下の方にある「ウェブ申請を開始する」をクリックして、申請手続きを進めてください。
PCでもスマホでも操作可能ですが、途中で運転免許証の表と裏の画像を撮ってアップロードしますので、スマホで撮影しながら入力した方が楽かと思います。なお中文翻訳発行手数料(4,400円)の支払いはクレジットカード決済のみです。ウェブ申請手続きの後半で決済画面になりますので、カード情報を入力します。クレジットカード以外で支払いたいという方はJAFへ問い合わせてみてください。でも、台湾でのレンタカー利用にはクレジットカードが必須ですから、ここで躓いちゃうとこの先が思いやられます。

無事に各項目の入力やアップロードが終わって申請が問題なく済むと、JAFから「(JAF運転免許証翻訳文 申請サイト)申請を受け付けました」という件名のメールが届きますので、以後は翻訳完成まで待つことになります。JAFの説明によれば発行には約2週間を要するとのことでしたが、12月下旬に申請した私の場合、金曜日の深夜に申請して、翌週月曜日のお昼過ぎには「コンビニ印刷の準備が完了しました」という件名のメールが届きましたので、実質的には翌営業日にできあがったことになります。あまりの早さにビックリしたのですが、もちろんタイミングによってはしっかり2週間を要することもあるでしょうから、時間には余裕を見て申請してください。

JAFで作ってくれた中文翻訳は、セブンイレブンのマルチコピー機でプリントアウトします。届いたメールの記載内容に従ってマルチコピー機を操作し、プリント料金20円をコピー機へ投入すると、晴れて免許証の中文翻訳が印刷されますから、これを持って台湾へ旅立てばOKです。なお中文翻訳は角印が捺されているにもかかわらず白黒印刷で出てきますが、実使用の上では白黒で問題ありません(不安になった私はJAFに電話確認しましたが問題ないとのことでした)。
ちなみにJAFの中文翻訳を出せるマルチコピー機はセブンイレブンのみ。他のコンビニは対応していないようです。関東甲信越などセブンイレブンが多い地域は問題ありませんが、沖縄、四国、北東北など、セブンイレブンが少ない地域はネット申請してしまうと却って不便でしょうから、このような地域は郵便申請の方が結果的に便利かもしれません。


台湾のレンタカー業者に関しては、コロナ前と現在とではあまり違いが無いように感じられました。もちろん業者によってウェブサイトの構成が変わった(たとえば最大手である和運租車のサイトから日本語サイトが消えた)等の小さな変化はありますが、実際の予約から利用に関しては特に変化はありませんでした。

今回私が利用した業者はIWS(愛旺)租車です。公式サイトにLINEアカウントのQRコードがあるので、LINEやメールを使って予約を進めました。基本的に英語と中国語のチャンポンでコミュニケーションしたのですが、予約センター内部は日本語が分かる方がいらっしゃり、途中で日本語のメールも届いたりして分かりやすかったのが印象的です。また空車の都合で私の希望より大きなサイズの車を予約することになったのですが、定価4500元/日のところ、2200元/日という半額以下の料金にしてくれたのも、この業者に決めた大きな一因でした。


今回は桃園空港で借りて高鐵台中駅で返却しました(貸出と返却で異なる場所になることを台湾では「甲租乙還」と言います)。桃園空港には営業所が無いので、到着ロビーで営業所に電話して所定の場所で待っていると、送迎車がやってきて近くの営業所へ連れて行ってくれました。ピックアップ時も返却時も、コロナに関する制約などは一切なし。今まで通りごくごく普通に利用できました。
上画像の白いSUVは今回借りた車、トヨタのカローラクロスです。まだ走行距離が7000km程度なので新車同然。新しく綺麗な車だったので、とっても快適に利用できました。

●空港では抗体検査キットをセルフで

ここからは現時点ならではの体験談をいくつかご紹介します。
上述したように台湾では2022年10月から外国人に対する隔離措置が解除され、7日間の自主防疫期間が設定されました。と言っても「自主防疫期間」って意味がよくわかりませんよね。簡単に言ってしまえば「隔離しない代わりに一定期間、自分で抗原検査キットを使い、定期的にチェックしてね」ということです。
空港に到着して飛行機から降り、空港内の通路を歩いてゆくと、防疫や入国審査の手前に上画像のようなコーナーが設けられています。ここには抗原検査キットがたくさん積まれていますので・・・


そこから各自1つずつ取って先に進みます。抗原検査キットの箱の右側には、名刺大の小さなカードがあり、それも1枚取ります。防疫カウンターでは特に何も言われず、チェックされることもなく、提出や提示する書類も無く、そのままスルーして入国審査(パスポートチェック)へと進みます。あまりに何も無くスムーズに入国できたので拍子抜けしてしまいました。
さてこの抗原検査キットですが、入国した当日、翌々日(3日目)、5日目・・・というように1日おきにキットを使用して感染の有無をセルフチェックし、感染していなければどこにも報告することなくそのまま観光を継続できます。7日目を超えたらセルフチェック自体不要です。また入国の翌日や3日目など7日に満たず帰国(台湾から出る)場合は、抗原検査キットを使いきる必要は無く、持ち帰るなり捨てるなり、各自の判断に任せられます。
とにかく感染していなければ報告義務が無いので、正直なところ、抗原検査キットを使わずそのまま旅行を続けてもお咎めを受けない(バレない)という結構緩い施策です。

緩いと言えば、現在の台湾におけるコロナ対策意識はかなり緩くなってきたように感じました。
コロナ禍直前(2020年初頭)の台湾では市民一人ひとりが厳しい防疫意識を持っており、自主的に消毒や検温など行っていましたが、あれから数年が経った今日、台湾の方々はマスクこそ着用しますが、施設入館時の消毒はあまりせず、検温も行わず、マスク以外は通常の生活様式に戻っているような感を受けました。私の旅行中も、接種済もしくは陰性証明の提示を求められるようなことは一切ありませんでした。総じて今の日本と大差ないかと思います。

ちなみに、もし感染を確認したら名刺大のカードに書かれているところへ連絡し、入院して隔離措置をとることになります。その際の費用は全額自己負担になりますから、台湾旅行だからと言って軽く考えず、海外旅行保険に入ることを強くおすすめします。

●ガソリンが安い

上画像は高速道路走行中の様子です。台湾の高速道路料金は、日本とは比べ物にならないほど安いので、距離の長短に関わらず気軽に利用できます。以前の拙ブログ記事でも紹介しました通り、台湾の高速道路は完全ETC化されており、料金所は一切なく、レンタカー利用者の場合は返却時に営業所にて料金を現金精算します。


営業所で車を返却すると、即座に高速道路の利用履歴が端末上に表示され、明細がプリントアウトされて利用客に渡されます。その利用履歴が上画像の紙です(皺くちゃでごめんなさい)。今回は高速道路だけでも250km以上走行しているのですが、にもかかわらず、合計料金は133元。日本円に換算して僅か500円強なのですから驚きです。


今回特に安いと感じたのがガソリン価格です。
上画像は台中で返却する前に満タン給油した際のレシートです。わかりにくいかと思いますが一般的なオクタン価95(日本のレギュラーに相当)のガソリンを29.51リットル給油したところ903元でした。これをリッターあたりに換算すると約30.6元/Lとなり、更に日本円へ換算すると約130円/Lとなります。2023年1月16日現在、東京都内のレギュラーガソリンは155円~170円が相場ですから、台湾はそれより25円~40円も安く、都内の軽油とほぼ同じような価格になっているのです。
日本と同じく石油をほぼ完全に輸入に依存している台湾で、なぜこのような価格設定になっているのか調べたところ、ちょっと古い内容ですが、以下のような記事を見つけました。

「台湾当局、原材料の税負担軽減措置を延長、国際価格の高騰に対応」 JETRO「ビジネス短信」 2022年4月1日付

どうやら台湾では、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う石油の国際価格高騰が市民生活や企業活動に与える影響を考慮し、ガソリンや軽油に係る税率を下げているらしいのです。それによって日本より大幅に安いガソリン価格が実現できているのでしょう。石油元売りに補助金を出しておきながら市場価格がなかなか下がらないどこかの国の施策とは大違いですね。


(ここから先は単なる愚痴ですので、読み飛ばして下さって結構です)

●日本入国(帰国)時の「デジタル」が役立たず
さて台湾をたっぷり満喫して日本へ帰国です。
羽田へ着陸した直後の機内アナウンスでは「降機してすぐVisit Japan Webの画面提示が必要になります」と告知していたので、旅行出発前にスマホで必要事項(接種証明のアップロードを含む)を入力しておいた「Visit Japan Web」の画面を開きながら飛行機から降り、羽田のターミナル内を歩きました(昨年までコロナの接種証明などは「My SOSアプリ」を使っていましたが、2022年11月に「My SOSアプリ」は廃止になり、アプリのダウンロードが不要な「Visit Japan Web」に移行されています)。

この羽田の通路で、帰国早々奇天烈な光景に出くわしたのです。防疫カウンターや入国審査へたどり着くまでの長い通路には臨時職員と思しき大量のスタッフが立っており、ある人は「画面を用意して」と叫び、ある人は「この紙をお持ちください」と紙を手渡し、ある人は夜中で薄暗いのにQRコードが印刷された見難い小さなボードを掲げ・・・という有り様で、デジタルとは縁遠い人海戦術で何かしらのお仕事をなさっている。ただ何の仕事をしているのか、さっぱりわからない。面倒に思った私は、3回接種済みを示す青い画面を出したまま早歩きで前へ進んでそのスタッフたちを無視しつづけていたのですが、しばらく進むと「ちょっとお待ちください」と行く手を遮られて赤い紙を手渡されました。A5サイズの赤い紙は「健康カード」と題されており、厚労省などの公式サイトのQRコードが印刷されているだけなので、「案の定くだらない案内だ」とその紙をバッグにしまって防疫カウンターを通過しようとしたら、今度はカウンターの前で「ちょっと待ってください」と止められ、赤い紙の提示を求められました。「Visit Japan Web」登録及び入力時の説明では、3回接種済みを示す青い画面を防疫カウンターで提示すれば良い、とのことでしたので、カウンターで青い画面を見せたのですが、それではなく赤い紙を見せろとのこと。何のことやら理解できずバッグの中から赤い紙を出してようやく防疫カウンターを通過できたのですが、ということは"Visit Japan Web"の接種済み画面は、防疫カウンターではなく通路にたくさんいたアルバイトスタッフが確認していた(赤い紙がその証拠)ということなのでしょうか。防疫カウンターで画面を見せるだけで十分なのに、なぜたくさんの人員を雇って紙を配って利用客に不可解なことを強いるのでしょうか。デジタルと称しておきながら思いっきりアナログを温存し続ける日本政府の運用が、私にはさっぱり理解できません。

理解に苦しむのはそれだけにとどまりません。荷物(なぜか私の便はバゲッジクレームで1時間以上も待たされました)を受け取った後の税関申告は、輪をかけてア●と貶したくなるような体たらく。典型的なお役所仕事を目の当たりにしたのです。言わずもがな国際線利用時には空港から出る前に税関を通ります。日本の場合、いままでは申告内容の有無にかかわらず税関申告書に必要事項を記入し、税関職員がいるカウンター(レーン)で申告書を提出し、パスポートを提示しながら、必要に応じて荷物のチェックを受けていました。ところが「Visit Japan Web」の導入により、予めスマホで必要事項を入力しておけば、税関申告書の記入は必要が無くなったのです。ここだけ聞けば「デジタル行政万歳!」なのですが、そうは問屋が卸さないのが日本のデジタル行政のダメなところ。税関カウンターへ向かう前に、まず専用端末にパスポートと「Visit Japan Web」の税関に関するQRコード(スマホの画面)を読み取らせ、顔認証登録をする必要があるのです。どうしてこういうひと手間を挟む必要があるのか、このあたりが如何にも日本のお役所らしいところですが、羽田の場合は専用端末の設置場所がわかりにくい上、台数が少ないため、専用端末での読み取りを知らないまま税関カウンターへ行って追い返されてしまったり、少ない専用端末の前で並ばされたりと、多くの利用者が戸惑っていました。しかも専用端末で読み取った後は、専用の「税関検査場電子申告ゲート」を通過して空港の制限エリアから出ることになるのですが、この専用ゲートが少ないため(私が利用した時はなんと1つのみ!)、本来はスムーズに流れるべきはずの「電子申告ゲート」に行列が発生してしまい、申告書を係官に提出する従来型のゲートの方が待ち時間無しで滞りなく流れるという本末転倒な状況が発生していました。なぜデジタルを利用した方がストレスを溜めなきゃいけないのか・・・。この国の行政がデジタルに手を出すとろくなことがありません。

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コメント (2)
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