温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

前森温泉 清流

2014年10月22日 | 山形県
 
企業の保養所は言わずもがな社員の福利厚生を目的とした施設ですから、関係者以外の利用ができない場合が一般的ですが、山形県最上町の前森高原近くには、地元の畜産会社が自社保養所の温泉浴場を一般開放していると知り、興味津々で行ってみることにしました。最上町の中心部である向町地区から前森高原へ向かって北上してゆくと、やがて道の両側に牛舎が立ち並び、車の窓を開けるとそこここから「芳しい香り」が漂ってきました。牛舎の餌やり場では、人の気配を感じた黒毛の牛が鼻を突き出しています。


 
牛舎が並ぶ一番奥に袖看板が立っており、そこを左に折れてアプローチを下ると、今回の目的地である前森温泉「清流」に到着です。広い敷地の中に2階建ての家屋が建っており、社員の方はここで宿泊もできるんだそうです。


 
玄関を入って右手に窓口があるのですが、私の訪問時にはどなたもいらっしゃいませんでした。説明によれば湯銭は入浴後で良いとのことでしたが、粗忽な私は後払いを忘れてしまう可能性があるので、利用前にお皿へ300円を置いておきました。


 
豪邸をお邪魔しているかのような、アットホームな雰囲気が漂う館内ですが、綺麗に維持管理されており、どこもかしこもピカピカに輝いていました。廊下を歩いて奥の浴室へ。


 
脱衣室はこぢんまりとしていながら、館内の他部屋と同様に丁寧に手入れされており、いささかの経年劣化は否めないものの、明るく清潔です。室内には洗面台やドライヤーが用意されている他、ファンコイルが設置されていましたから、冬期の暖房も問題ないでしょう。また湯使いや衛生管理の状況などに関する説明も掲示されており、情報開示もバッチリです。お湯に対する施設の誠実さが伝わってきます。


 

お風呂は男女別の内湯のみで、浴槽がひとつ設けられているにすぎませんが、窓の外には社員専用にしておくには勿体無いほど立派で美しい庭園が広がっており、窓を全開にすると庭園を眺めながら半露天風呂状態で湯浴みを楽しむことができました。


 
厳しい衛生管理が求められる畜産物という食品を取り扱っている企業だからか、お風呂も隅々まできちんと手入れが行き届いていて、その清潔さには感心させられます。洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基並んでおり、カランからは激熱のお湯が吐出されましたので、カランには源泉のお湯が引かれているものと思われます。


 
浴槽はおおよそ10人サイズで、縁が黒御影石、槽内は正方形の石板タイル貼り。浴槽を満たしたお湯は縁の右隅および左隅の双方から床へ溢れ出ており、その流路に当たる床の表面は赤茶色に染まっています。そして私が湯船に浸かると、縁の全辺からザバーっと勢い良くオーバーフローしていきました。館内表示によれば加水した上での放流式(加温循環消毒なし)とのことで、加水の塩梅が良く、訪問時は体感で42℃前後という実に入りやすい湯加減となっていました。


 
浴槽の隅に設けられている御影石の湯口の周りには、硫酸塩の白い析出がこびりついています。湯口のお湯に触れてみますと、口の左側が冷たかったので、この湯口内にて加水しているのでしょう。

お湯は無色透明で、石膏の味と匂いがふんわりと感じられ、弱い芒硝感も混在しています。また、湯口に限って微かにミシン油っぽい香りも嗅ぎ取れたように(私個人は)記憶しています。いかにも無色透明の硫酸塩泉らしいピリピリ感とトロミ、そして引っかかる浴感が得られ、投入量もしっかり確保されているので、鮮度感も良好です。全開の窓からはたまに風に乗って牛舎の香りも漂ってきましたが、これもまた味わい深く、長閑な土地柄ならではの面白さでもあります。窓の外の美しい庭園といい、鮮度感の良い掛け流しのお湯といい、かなりクオリティの高いお風呂です。



湯上がりに裏手の庭園を見学させていただきました。中央に池が静かに水を湛え、その上に赤い太鼓橋(鋼鉄製ですが)が掛けられ、築山の上に松や槙などの植栽が配されている、日本庭園の基本に則ったレイアウトであり、心が落ち着き和む風景です。


 
綺麗なお庭を眺めながら、腰を掛けて休んでいると、入館時に玄関でウロウロしていたニャンコが私の傍へやってきて、おでこを私にスリスリしはじめるではありませんか。あぁカワユイ! 景色だけでなく、ニャンコにも心癒される、素敵な施設なのでありました。そして私の退館時には、常駐の職員さんがわざわざ玄関までやってきて、恭しくお辞儀してくださいました。いえいえ、こちらこそ綺麗なお風呂を利用させていただきありがとうございました。職員さんの姿を目にし、きっと社員さんの勤務環境が整っている、優良企業なんだろうなと想像しました。
一般開放されていながら知名度が低く、観光客が立ち寄ることは少ないでしょうから、穴場的な存在と言えそうです。


山口2号源泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 59.3℃ pH8.2 蒸発残留物1287mg/kg
Na+:261.2mg, Ca++:125.9mg,
Cl-:30.1mg, SO4--:774.1mg, HCO3-:80.2mg,
H2SiO3:59.3mg,
加水あり(源泉温度が高いため)

山形県最上郡最上町向町1575-2  地図
0233-43-2977

13:00~21:00 火曜定休
300円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★★


コメント (2)
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満沢温泉

2014年10月21日 | 山形県
今回は小ネタです。あまり期待しないでくださいね★

 
野湯ファンには有名な、山形県最上町某所にある田んぼへとやってまいりました。この地域の名前は既に多くの温泉ファンによって紹介されていますので、拙ブログでも匿名にせず、タイトルにて掲載させていただきました。


 
集落を通り抜けると、田んぼが川と道路に挟まれて窄まり、三角形になっている箇所があるのですが、その一角から隣接する倉庫へ向かって配管が伸びており…


 
この先からは透き通ったクリアな水がドバドバと大量に捨てられています。その様子から、農機具などを洗うための水かと想像されますが…


 
温度を測ってみますと、29.5℃もありました。温度だけで見ても、明らかに温泉法上の温泉に該当しますね。ほぼ無味無臭で特にこれといった味や匂いは感じられませんでしたが、若干石膏らしさがあったように記憶しています。
野湯ファンはここで湯浴みしたり、あるいはお湯を浴びたりなさっているようですが、そこまでする度胸の無い私は、見学と手湯だけに留めました。


 
配管の元になっている三角形の田んぼでは、稲ではなくハスが繁殖していたのですが、試しにそのハス田に温度計を差してみたら、ここでも28.5℃という温泉法の規定をクリアする温度が計測されました。吐出口と1℃しか差がないですね。ハス田が源泉なのか、はたまた他に源泉井戸があるのか…。


 
温泉に恵まれてハスはぬくぬくと育ち、綺麗な花を咲かせていました。泥田という環境にありながら、そこで咲くハスの花って本当に美しいですよね。垂れ流しの温泉を探訪しに来たのに、この花を目にして仏教の「淤泥不染の徳」という言葉を思い出し、自分の日頃の考え方を反省せずにはいられませんでした。何やってんだ、俺…。


垂れ流しの温泉につき分析表等なし

山形県最上郡最上町某所(地図による場所の特定は自粛させていただきます)

私の好み:評価せず

コメント (2)
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日山温泉 ひやま山荘お湯センター

2014年10月19日 | 山形県
 
某日のこと。最上地方の赤湯温泉で日帰り入浴しようと考えていたのですが、昼間という時間帯もあってか、どの旅館を訪っても断られてしまったので、温泉街からちょっと離れた日山温泉の「ひやま山荘お湯センター」へ向かうことにしました。「お湯センター」というストレートなネーミングからはB級感を予感させますが、実際のところはどうなんでしょうか。以前拙ブログでも取り上げたことのある「旅館三之丞」の先を左折し、「あれ? ここって廃道?」と不安を抱かせるほど舗装が荒れてボッコボコになっている坂道を上がりきると視界が開けて、駐車場の周りに旅館や今回利用した日帰り入浴施設など、日山温泉の関連施設が建ち並んでいました。そして西側にはドライビングレンジが広がっていました。


 
日帰り入浴施設の脇にはアツアツのお湯が落とされている湯溜まりがあります。その傍らでは、小屋の中でワンコがお昼寝中。


 
赤い和傘が斜めに立てられて、ちょっとした和風な趣きを醸し出している帳場では、老夫婦が店番をしていらっしゃり、鳴子温泉郷の湯めぐりシールで入浴をお願いしますと、スムーズに対応してくださいました。帳場があるフロアから階段を下りてゆくと…


 
大座敷の脇を通過します。舞台にはカラオケ機器が設置されており、けだしここではご老人のグループがワイワイと騒いで楽しんでいるものと想像されますが、このお座敷の利用には別途料金が必要らしく、入浴のみのお客さんは利用できないんだとか。


 
大座敷から更に階段を下りてゆくと、マッサージ機器が用意されている小部屋の横を通り過ぎ…


 
ようやく浴室にたどり着きました。脱衣室には棚や洗面台の他、無料のロッカーが設置されており、幾分古いものの手入れは行き届いていて、気持ちよく使えました。


 
天井は高くて開放的な内湯は、造りこそ古いのですが、昭和のアトリエを連想させるような直線的なデザインが随所に採用されており、窓ガラスから陽光がたっぷり降り注ぎ、湯気篭もりもなくて明るく快適です。湯船は大きなポケットみたいに、手前側に対して曲線を描いており、槽内には水色の小さなタルが敷き詰められています。そして室内には湯面から漂う石膏臭が充満していました。


 
壁に昭和40年代的なアートが施されている洗い場には、シャワー付き混合水栓が2基並んでいます。ウネウネとした線は何を表現しているのでしょうか? 円の下にちょこんと足みたいなものが伸びているデザインは、芸術の才能がまるで無い私には、キノコか卓球のラケットにしか見えなかったのですが、あれは一体何なのでしょう…。なお、カランから吐出されるお湯はアツアツの源泉です。


 

浴室の片隅には大きな岩がそそり立ち、岩と壁の間からちょこんと突き出ている塩ビ管から60℃近くもある熱いお湯が吐出されていました。そして湯口直下の岩肌にはまるで雪のような純白の析出がたくさん付着していました。なお館内表示によれば、お湯は加水せず温度調整しているとのことで、確かに湯船はちょっと熱めの湯加減だったのですが、お湯の鮮度感は良く、シャキッとした浴感が楽しめました。湯船のお湯は縁からしっかりと溢れ出ています。
お湯は無色透明で、甘味を伴う石膏味が明瞭に感じ取れ、ワンテンポ遅れて芒硝感も伝わってきます。湯面にてキラキラと青白い光が輝いており、湯中ではトロミがあり、ツルスベと引っかかり浴感が混在していました。湯量が多くて鮮度感が良く、無色透明の硫酸塩泉が好きな方にはたまらない、実に素晴らしいお湯です。


 
屋外には露天風呂が2つ、そして後述する温泉プールが1面設けられています。2つの露天風呂は、形こそ異なるものの、いずれも石張りの3~4人サイズで、底面の穴からお湯が投入され、しっかりとオーバーフローしています。なお私の訪問時、内風呂に面した浴槽(左(上)画像)はぬるめでしたが、プールに接している浴槽(右(下)画像)は一般的な湯加減(42℃前後)でした。


 
日山温泉の目玉はこの大きな露天温泉プールでしょう。長さは10メートル強といったところで、ガッツリ泳ぐわけにはいきませんが、プールに張られているのは100%温泉であり、緑豊かな環境の下、掛け流しの温泉で泳げるプールは貴重ですから、こちらを訪れたら是非利用したい施設です。


 
プールの温泉はバルブ付きのホースから投入されており、その投入口ではなんと63.3℃もありました。かなりの高温ですが、表面積が大きいためか、自然冷却によってプールでは41.5℃という適温まで下がっています。尤も、入浴するにはいい湯加減ですけど、この温度で水泳するとすぐに体力が奪われて疲れちゃうかもしれませんけどね…。



脱衣室の張り紙には「泳げる露天風呂には水着を着けずに入って下さい」と書かれています。つまり、温泉プールは裸で入るんですね。ということで…


 
ヒャッハー!! 全裸で泳げる機会なんて滅多に無いから、最高に気持ち良いぜ! 20年ほど昔の話ですが、渋谷道玄坂のラブホテルにプール付きの部屋があって、そこで思いっきり全裸水泳をしたことがあるのですが、私が裸で泳いだのはそれ以来かもしれません。あ、その数年後にドイツ・ヴィースバーデンの温泉でも全裸水泳をしたか…。ま、そんなことはさておき、私以外にお客さんがいなかったので、ブレストやクロール、調子にのってバタフライまで、翌日苦しめられる筋肉痛のことなんて気にしないで、一糸纏わぬ姿でガンガン泳いでしまいました。ゆっくり寛いで過ごすのが一般的な温泉の楽しみ方ですが、ここでは思いっきりアクティブに温泉を満喫することもでき、久しぶりに温泉で体を動かす楽しさを堪能させていただきました。


ひやま山荘2号源泉
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 66.7℃ pH8.4 蒸発残留物1154mg/kg
Na+:168.8mg, Ca++:154.8mg,
Cl-:46.0mg, SO4--:668.7mg, HCO3-:29.7mg, 
H2SiO3:46.7mg,
(昭和63年12月22日)

山形県最上郡最上町富沢834-5  地図
0233-45-2816
ホームページ

9:30~17:00 木・金定休(祝日は営業)
500円もしくは鳴子温泉郷共通の湯めぐりシール2枚
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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中山平温泉 あすか旅館

2014年10月18日 | 宮城県
 
中山平温泉には国道47号から陸羽東線の線路に向かうように南側へぐるっと迂回する細い道があり、温泉地内の各旅館を大まかに分けると、国道沿いかこの細い道沿いのいずれかに分布しています。今回は細い道から更に坂を下った窪地にある「あすか旅館」にて日帰り入浴してまいりました。周囲は青々とした田んぼが水を湛えており、それを囲むように針葉樹林が広がっていました。実に長閑な田園風景です。
この「あすか旅館」のお湯は持ち帰ることができ、しかもそのお湯が結構な人気らしく、私の訪問時にはお湯を汲むために駐車場待ちの車列ができていました。


 
玄関の左側では木彫の大黒天が、右側ではクマの剥製が、来客を出迎えてくれます。
鳴子温泉郷の湯めぐり手形(シール)で入浴すべく、帳場にいた女将さんにその旨を申し出ますと「シールだと損しちゃうからイヤなのよね」と本音とも冗談とも聞き取れることを仰り、私としてはただニタニタと愛想笑いをする他なかったのですが、たしかに現金ならば600円であるところ、シールだと2枚(1枚200円相当なので、2枚で400円)で設定されていますから、私のようなシール利用客が増えちゃうと、ちょっとソロバンが狂ってくるのかもしれません。近いうちにシールの枚数設定が変更されることも考えられます。


 
まるで血管のように、配湯用の鉄管が館内に張り巡らされていました。その配管を脇に見ながら通路を進んで浴室へと向かいます。浴室入口のドアには、レジオネラ菌の検査済みステッカーが何枚も貼られていて、それを目にした時には思わず笑ってしまいました。この手のシール類って性格により、発行される度に一回一回剥がして貼り直す人と、以前のもの残しつつ他のスペースに新たなシールを貼っていく人に分かれますよね。玄関などに貼る犬の注射済票も、同じようなパターンが見られます。



先ほど女将さんがシールに関して渋いことを口にしていたと申し上げましたが、掲示されてまだ間もないと思しき館内の張り紙には「サービスの温泉水はなくなりました(以下省略)」と書かれているように、最近になって入浴やお湯の持ち帰りに関する料金設定が以前よりもシビアになったことが窺え、そのためにシールに関して上述のようなことを仰られたものと思われます。以前は入浴すればお湯の持ち帰りが可能だったのでしょうか。


 

湯治宿のようにシンプルで簡素な脱衣室を抜けて浴室へ。かなり年季の入った渋い佇まいの室内には、真ん中に太い円柱がドンと立っており、その左右に大小の浴槽が1つずつ据えられています。そして一番奥にはかつて打たせ湯があったと想像されるスペースがありました(現在は使用停止?)。


 

カランは2箇所、それぞれ別箇に設けられており、中央の円柱付近には水とお湯の蛇口のペアが1組、後述する小浴槽の右側にシャワー付き混合水栓が1基といった取り合わせです。カランのお湯は源泉らしく、お湯だけを出すと火傷しそうになるほど激熱ですから、使用の際には要注意です。


 
駐車場側のガラス窓に面して据えられているのが総木造の主浴槽。縁も底の板も、全て鋲で固定されており、その金属の小さな光沢がちょっとした模様になっています。目算で2.5m×3.5m、おおよそ7~8人サイズといったところでしょうか。縁よりしっかりとお湯が溢れ出ています。


 
 
源泉から引かれているバルブの傍には「お湯は止めない」と書かれた小さな札が立てかけられていました。このバルブや配管は全体的に白っぽく、特にバルブや吐出口の周りには析出が付着しています。この湯口から投入されるお湯はカランと同様に激熱で、出し過ぎると湯船に入れなくなってしまいますが、止めるとお湯が鈍ってしまうので、一定量に絞ってお湯を出し続けておくわけですね。なお私の温度計で湯口を計測すると、68.5℃でした。


 

この主浴槽で目を引くのが、普通は屋外の池に用いる照明器具付きの循環用ポンプです。なんでこんなところに設置されているのか不思議ですが、投入されるお湯が熱いとなれば、注がれているうちに湯船の上ばかりがアツアツになってしまいますから、この機器で常に掻き混ぜる(循環させる)ことによって温度の均衡を図っているのでしょう。なお備え付けの温度計によれば、湯船の温度は42℃と表示されていましたが、実際にはもっと高かったように思います。


 
もうひとつの浴槽である小浴槽は、古いコンクリ造で1~2人サイズ。かなり劣化が進んでおり、表面がゴツゴツしているのですが、循環ポンプのような設備は無く、お湯の蛇口から源泉のお湯がダイレクトに注がれてジャンジャン溢れでているため、お湯の鮮度感は良好です。しかも浴槽縁にもたれかかると、縁の曲線がうまい具合に体にフィットしてくれるので、小さいながらも落ち着いて湯浴みすることができました。私個人としてはこの小浴槽の方が好きです。

お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、シリカの存在を思わせるようなやや鉱物(砂)っぽい風味がありました。同じ中山平温泉でも「しんとろの湯」のようなニュルニュル&トロトロのウナギ湯ではなく、スルスルスベスベのサッパリとした浴感であり、湯中で肌を擦るとハッキリと滑らかな感触が得られました。癖がなくアッサリとした優しいお湯です。それでいて、湯上がりには体の芯までしっかり温まる、爽快感も持続するのですから、温泉のパワーってすごいですね。

なお屋外には混浴の露天風呂があるらしいのですが、訪問時はその存在をすっかり忘れて、利用せずに退館してしまいました。露天風呂に関心がおありの方は、お手数ですがご自身でググってみてください。


アルカリ性単純温泉 78.4℃ pH8.5 蒸発残留物213.5mg/kg 溶存物質274.9mg/kg  
Na+:41.2mg(96.76mval%),
Cl-:4.7mg(7.14mval%), HS-:0.4mg, SO4--:11.5mg(13.19mval%), HCO3-:48.0mg(43.41mval%), CO3--:17.5mg(31.87mval%),
H2SiO3:146.3mg,
加温消毒なし
加水あり(湯張りの場合のみ)
循環あり(浴槽の温度管理のため。掛け流しを併用)

JR陸羽東線・中山平温泉駅から徒歩15分(1.2km)
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼68-1  地図
0229-87-2131

日帰り入浴10:00~16:00
600円(もしくは湯めぐりシール2枚)
石鹸のみ備え付けあり、他備品類なし

私の好み:★★
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中山平温泉 しんとろの湯

2014年10月16日 | 宮城県

ニュルニュルのウナギ湯が、温泉ファンのみならず多くの方々を虜にしている中山平温泉の公衆浴場「しんとろの湯」。個人的には3度目の訪問ですが、意外にも拙ブログでは初登場です。既に多くの方によってネット上で語られていますので、当記事でのコメントは控えめにさせていただきます。
今回は朝9:30に訪れたのですが、既に駐車場には20台近い車が止まっていました。人気の程が窺えます。券売機で料金を支払い、券を受付に渡して浴室へ。


 
お湯に関する説明には以下のようなことが記されていました。要約してみますと…
・源泉は93℃。高温のため「木の樋」を利用して加水せずに自然冷却している。源泉掛け流し。
・シャワーは水道水だが、温泉の蒸気を利用して熱交換したお湯を供給している。
・館内床下には、温泉蒸気で温めたお湯を流す配管が埋め込まれており、冬期はこれで床暖房を実施。
・駐車場にもお湯の配管が埋設されており、「融雪装置」として利用している。
つまり温泉や地熱の恵みを存分に活用した施設なんですね。あちこちで湯煙が上がってる中山平だからこそ可能な設備です。なおドライヤーの他、赤ちゃん用のベッドや桶、老人等が使うシャワーベンチは受付で貸し出してくれるんだそうです。



まだ朝9時半だというのに、既に洗い場が全て埋まるほど、浴室内は多くのお客さんで賑わっていました。みなさん、トロットロでニュルニュルなウナギ湯が好きなんですね。気持ちわかります。私も大好きですもん。なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が5基一列に並んでいます。


 
お風呂は内湯のみです。浴槽は手前側だけ面取りをしたようにカットされている四角形で、13~14人は同時に入れそうな容量を擁する大きなものがひとつ。縁にはワインレッドの御影石が用いられており、槽内はタイル貼りで、先述の面取りされている部分からお湯が溢れ出ています。湯面近くの壁面には通気用のスリーブが何箇所かあいているのですが、これは硫化水素中毒を防ぐためのものかと思われます。

混雑している割に、湯船には不思議なくらい誰もいなかったのですが、それもそのはず、この時の湯船はかなり熱く(体感で44~45℃)、みなさん長湯できずにカラスの行水状態でサッサと上がってしまっていたのでした。そんな熱さに誰かさんが音を上げて受付に報告を入れたのか、しばらくすると、緑色の法被を纏った湯守のおじさんが裏手に回って、温度計をこまめにチェックしながら湯加減を調整しはじめました。源泉の温度はその時々や気温などの諸条件によって上下しますが、こちらでは加水などしないで温度管理をしているため、お湯の投入量などを細かく確認しないといけないんですね。お湯のクオリティを守るために、わざわざ手間がかかる方法を採用しているわけで、関係者の方々のご苦労には頭が下がります。

なおお湯の見た目は無色透明、火山の噴気帯みたいにやや刺激を伴うタマゴ臭が漂い、タマゴ味と共に弱いが粘膜にしっかり残る苦味や渋みを有しています。そして、ちょっとつま先を湯船に入れるだけでも十分に皮膚へ伝わるトロトロ&ニュルニュル感は秀逸。このニュルニュル感は東北の温泉随一であり、あたかも自分がウナギになってしまったかのようです。


 
浴場裏手に伸びる木の樋は、「しんとろの湯」を象徴する設備であります。90℃以上の源泉は、この樋を迂回することによって自然冷却されるわけです。その長さは約80メートル。もちろん源泉の状況や気温によって冷ますべき程度は異なりますから、樋にはショートカットが設けられ、状況に応じて迂回させる距離を調整しているんですね。おかげさまで源泉が薄まること無くトロットロの素晴らしいお湯が堪能でき、入浴中は何度も自分の肌を擦って独特の浴感を楽しみました。良いお湯は何度訪れても興奮できるものですが、「しんとろの湯」はその好例であります。


星沼源泉No.1・新コミュニティ源泉 混合泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 93.0℃ pH9.3 27.7L/min(掘削自噴) 溶存物質1177.3mg/kg 成分総計1179.5mg/kg
Na+:211.0mg(90.35mval%),
Cl-:99.2mg(24.80mval%), HS-:16.4mg(4.43mval%), S2O3--:5.9mg, SO4--:99.2mg(18.33mval%), HCO3-:69.7mg(10.10mval%), CO3--:105.3mg(31.09mval%), BO2-:41.7mg(8.59mval%),
H2SiO3:493.0mg, H2S:0.6mg,

JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩10分(900m)
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼18-9  地図
0229-87-1126
ホームページ

9:00~21:00 年中無休
420円(もしくは湯めぐりシール2枚)
ロッカー(有料100円)・シャンプー類あり、ドライヤーは番台で貸出

私の好み:★★★
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