温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

遠刈田温泉 まほろばの湯

2014年10月14日 | 宮城県
 
2013年11月にオープンした遠刈田温泉の新しい日帰り入浴施設「まほろばの湯」を利用してまいりました。温泉街からちょっと離れた場所にあり、遠刈田大橋(こけし橋)を渡って60m先を左折し、道なりに進んでゆくと行き当たります。随所に看板が立っていますから、どなたも迷わずにたどり着けるはずです。なお、用地確保の都合によって駐車場は周辺に分散していますが、収容台数はしっかり用意されていますから、混雑時でも満車になることはないかと思われます。当日は生憎の天気だったのですが、週末でしたので多くのお客さんで賑わっており、みなさん雨粒をさけるため、駐車場から建物へ駆け込んでいました。私も冠木門を潜って敷地内へと入ります。


 
門の隣では大きな水車がゆっくり回っており、更にその隣には足湯が設けられています。普段でしたらここで足湯を楽しむお客さんの姿が見られるのでしょうが、この日は雨でしたから、誰も利用していません。


 
玄関へ向かうアプローチには、温泉が注がれている蹲居が据え付けられていました。そこに張られているお湯は、遠刈田らしく山吹色に弱く濁っていますね。
玄関に入って靴を下足ロッカーに収め、その鍵を受付に差し出すと、引き換えに脱衣室のロッカーキーと料金精算用のリストバンドが手渡されます。料金は後払いです。


 
休憩室の前や食事処「くぬぎ庵」を通過して浴室へと向かいます。この「くぬぎ庵」は20世紀初頭に建築された山形県鶴岡市(旧西田川郡田川村)の古民家を解体の上で再構築したもので、100年以上の歴史が滲み込んだ建材の一つ一つから重厚感が伝わってきます。この食堂では定食類の他、七代佐藤養助稲庭うどんや玉こんにゃくなど、東北の郷土料理をイメージしたお食事がいただけるんだとか。


 
新しい施設だけあって脱衣室は綺麗で使い勝手もまずまずです。足元には畳表を用いた正方形の床材が敷き詰められており、足裏から伝わってくる感触は良好でした。しかしながら、新設なのになぜか室内面積は広くなく、私が訪れた週末の混雑時にはかなり狭く感じられ、特にロッカーがL字型に設置されているところでは、角に近いところでお客さん同士が干渉してしまい、余計に窮屈でした。



脱衣室には冷水のサービスが用意されていました。入浴に際して水分補給は欠かせませんから、こうした配慮はありがたいですね。


 
木材や石板タイルを用いた和風の浴室内には、手前側に洗い場が、奥の窓下に内風呂の浴槽が配置されており、洗い場にはシャワー付き混合水栓が8基取り付けられています。まだ新しい建物ですから、室内には木の香りが漂っていました。


 
洗い場と内風呂の間には、岩を刳りぬいて造られた掛け湯があり、底から温泉が上げられているのですが、実際にこのお湯を自分の体に掛けたところ、かなり熱くてビックリしてしまいました。アツアツの温泉を温度調整せずにそのまま投入しているのかもしれませんね。


 
内風呂は3.5メートル四方の四角形で、正方形の石板タイルが敷きつめられています。洗い場側仕切り塀の下にはちょっとしたスペースがあって、そこで寝転がってトドになっているお客さんもいらっしゃいました。
岩を刳りぬいた湯口の内部には、赤錆の破片のような固形物が溜まっており、また浴槽は全体的に黄色く染まっています。こちらの施設では2つの源泉を湯船によって使い分けており、内風呂にはおせっぱ5号という源泉が引かれているんだそうでして、薄い山吹色を帯びて弱く濁り、湯中では焦げ茶色の細かな浮遊物がチラホラ舞っていました。この浮遊物は湯口内に沈殿していた赤錆破片のようなものと同一でしょうね。口に含むとほのかな塩味とともに、金気と土気が感じられ、まさに遠刈田の湯らしい知覚が確認できたのですが、温泉街のお湯と比べると、こちらの方が若干マイルドで大人しいように思われます。湯中では弱く引っ掛かる浴感を有するものの、サラサラとした感覚の方が優っていました。また、弱い泡付きも確認できました。なお館内表示によれば消毒剤を投入しているそうですが、特に気になりませんでした。



内風呂のお湯は手前側の縁の切り欠けから溢れ出ています。床にあけられた排水用目皿の周りには、まだオープンから1年も経っていないにもかかわらず、早くも石灰華の赤ちゃんのような模様が形成されつつありました。この調子だと数年もしないうちに、立派な鱗状の石灰華模様が見られるかもしれません。マニア的にちょっとだけ期待しちゃいます。


 
露天風呂は建物に囲まれた坪庭みたいなスペースに設けられており、眺望は期待できませんが、日本庭園風の趣きにレイアウトされており、さほど狭いわけでもないので、私の実感として閉塞感を抱くことはありませんでした。お風呂の奥にはゆっくり寛げるよう、ウッドデッキの上にデッキチェアが2つ用意されており、また露天風呂からステップを下ったところにある小さな別棟では、ミストサウナを利用することもできます。


 
露天風呂の浴槽は、巨岩を真っ二つに切って内部をくり抜いたような造りをしており、おおよそ3~4人サイズで、内側のカーブに体を嵌めるといい感じにフィットしてくれました。お湯は穴が穿たれた岩の湯口から注がれており、こちらのお湯は内湯と異なるおせっぱ4号源泉です。温泉街のお湯のような、やや緑色を帯びた黄土色に濁っており、底が見えないほどの濁りを呈しています。湯中では黒い浮遊物が見受けられ、その数は内風呂よりもやや多いように思われます。また、遠刈田温泉の特徴である金気や土気は内風呂の5号源泉よりも明瞭で、引っかかる浴感も強く、いかにも遠刈田らしい泉質であるように感じられたのですが、分析表によれば露天風呂に使っている4号源泉の方がはるかに薄く、溶存物質は5号源泉(内風呂)の半分しかありません。今回、いかに私の五感がいい加減であるか、改めて認識し反省しました。
ま、私の自戒はさておき、「まほろばの湯」は和の落ち着いた雰囲気が良く、お湯もまずまずで、古民家調の食事処でゆっくり過ごせることができ、しかも、今回の記事では紹介しておりませんが貸切風呂もあって、露天がついているお部屋も用意されているんだとか。仙台から余裕で日帰りできる場所ですから、訪問時も仙台ナンバーの車が多く、早くも仙台っ子からの人気を集めているようでした。当地のランドマークであり、いつも混雑している「神の湯」の人気を脅かす、遠刈田温泉の新旗手登場です。


・内風呂
おせっぱ5号
ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 52.6℃ pH7.4 蒸発残留物2221mg/kg 溶存物質2579.9mg/kg
Na+:614.4mg(80.87mval%), Mg++:29.7mg(7.39mval%), Ca++:63.6mg(9.59mval%), Fe++:0.6mg,
Cl-:260.1mg(22.70mval%), HS-:0.2mg, SO4--:827.9mg(53.31mval%), HCO3-:471.5mg(23.90mval%),
H2SiO3:242.7mg, HBO2:41.0mg, CO2:75.3mg, H2S:0.1mg,
消毒処理あり(浴槽の衛生管理のため塩素系薬剤を使用)
加水加温循環なし

・露天風呂および足湯
おせっぱ4号
ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉 45.9℃ pH7.9 蒸発残留物826.8mg/kg 溶存物質1024.0mg/kg
Na+:229.1mg(78.94mval%), Mg++:5.7mg(3.72mval%), Ca++:38.2mg(15.12mval%), Fe++:0.3mg,
Cl-:95.8mg(21.72mval%), HS-:0.3mg, SO4--:153.8mg(25.74mval%), HCO3-:397.5mg(52.37mval%),
H2SiO3:74.8mg, HBO2:17.3mg, CO2:22.0mg,
消毒処理あり(浴槽の衛生管理のため塩素系薬剤を使用)
加水加温循環なし

白石蔵王駅・白石駅または大河原駅よりミヤコーバスの遠刈田温泉方面行バスで遠刈田湯の町バス停下車、徒歩12分(1.0km)
宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字新地東裏山34-208  地図
0224-34-2641
ホームページ

10:00~22:00(最終受付21:30)
平日600円・土日祝700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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