温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

重慶南温泉 南泉公園温泉会所 その2(入浴)

2019年09月07日 | 中国
前回記事の続編です


橋を渡って門をくぐり公園内に入ると、すぐに今回の目的地である「南泉公園温泉会所」へ辿り着くことができました。「南泉」バス停から歩いて1~2分です。



勝手ながら粗末な受付小屋を想像していたのですが、そんな愚慮を覆すほど綺麗で立派な建物を目にしてびっくり。そして玄関前に掲出されている料金表の数字を見て更にびっくり。入浴するだけで68元(約1000円)もするのです。いや、これだけ立派な施設だからむしろ安いのかもしれませんね。



建物に入り、受付で入浴したい旨を申し出て料金を支払うと、ロッカーキーの機能を果たすリストバンドを手渡されました。バンド中央の金属部分をロッカー扉の感応部にタッチすることで、ロッカーの施錠開錠を行います。また、館内には有料サービスもありますから、もしかしたらこのタグで支払管理を行い、退館時に精算をするのかもしれません。
このリストバンドを受け取った後は、受付の斜め後ろにあるカウンターで自分の下足を預け、タオルや館内履きを受け取ります。



受付カウンターの上には、いかにも中国共産党関係らしいフォントや色遣いで「五佳温泉称号」と記されたプレートが掲示されていたのですが、この五佳って何を指すんだろう?




更衣室は広くて立派。常に清掃員がいるので綺麗です。
中国の温泉は水着着用ですから、ここで水着に着替えましょう。ロッカーはリストバンドに書かれている番号のものを使います。



館内は広いのですが、通路や階段がちょっと入り組んでおり、私ははじめ迷ってしまいました。彷徨いながら行きついた先は、更衣室の上(2階)にあるこの休憩スペース。ここは後で使わせていただくとして、まず今は温泉に入りたい…。一旦深呼吸して冷静になり、階段を下って更衣室に戻り、あたりを見回しながらよく目を凝らすと、ちゃんと入浴ゾーンへの通路がありました。洒落た内装にこだわるもんだから、案内が小さいか、あるいは全く無いんですよね…。



こちらの温泉は、日本の温泉のイメージとかけ離れており、まるでリゾートホテルのプールみたいな雰囲気です。
中央に据えられた大きなメインプールは真っ青で爽快。温泉が含まれているかと思われますが、かなりぬるく30℃あるかないか。温泉というより、ごくごく普通の温水プールです。



でも都会の喧騒から離れた清々しい環境ですから、静かにのんびりと過ごせます。プールで泳ぐお客さんもどこか優雅。



メインプールの一角で打たせ湯を楽しむご婦人。
中国ではなく、バリ島のリゾートホテルみたいですね。



メインプールの奥は浅くなっているのですが、この浅い部分だけは40℃近い水温がありました。どうやらお湯の供給口があるみたいです。



更に奥には子供用の設備があったのですが、閉鎖されていました。
それにしても敷地が広い。これで1000円なら安いかもしれません。



メインプールの脇には小さな浴槽もいくつか設けられており、その一部ではジェットバスのような装置が稼働していました。



湯加減も37~8℃ほどあり、壺湯のような感覚で入浴できます。ちなみに↑で入っているのは私。



私が個人的に気に入った浴槽は、建物のすぐ脇にあるこの広い槽です。コバルトブルーのタイルが鮮やかなこの浴槽は全体的に造りが浅いのですが、40℃近い湯温があり、しかもお湯が大変綺麗に透き通っているのです。寝そべらないと肩までお湯に浸かれませんが、湯加減といい、お湯の綺麗さといい、ここなら日本人の方も納得いただけるのではないかと思います。



この浴槽の一部は、本棟からせり出ているサンルームへ入り込んでおり、一部は階段状になっているのですが、この部分からは触れないほど熱いお湯が出ていて、とても近づける状態ではありませんでした。どうやらこのサンルームは浴槽へ直接入れる出入口として設計され、それゆえ槽内が階段状になっているのかと思いますが、現在は閉鎖されていて誰も入ってこないので、湯口の代わりにここから激熱のお湯を吐出させているのでしょう。何故ここを選んだのかはわかりませんが、この湯口まわりのお湯は更に綺麗なのです。館内表示によれば湧出温度は39~42℃なのでしっかり加温されているはずですし、お湯ももしかしたら強力に循環ろ過されているのかもしれませんね。



湯温が落ち着いているところまで離れてから入ってみたところ、これが実に気持ち良い。水着なしで入れたら尚良いのですが、文化が違うので致し方ありません。
お湯は無色澄明で味や匂いは特に感じられませんが、強いて言うなら無色透明の硫酸塩泉によくある風味が得られました。また湯中では引っかかる浴感が少々肌ですに伝わり、お風呂上がりはよく温まりました。おそらく硫酸塩泉ではないかと推測されます。なお湯使いについては不明。

日本のように風情や掛け流しを強く意識する文化ではなく、大きさや多様性が求められる傾向にあるため、日本の温泉を期待してしまうと肩透かしを食らうかもしれません。お湯のクオリティや湯使いについても、正直なところ特筆すべき点は無いかと思います。しかしながら交通至便、環境、清潔さ、お湯の綺麗さなど、いろんな面で満足度の高い施設でした。付近にはホテルもありますから、当地で宿泊し、ここでゆったり湯浴みを楽しむのも良いかもしれません。


39~42℃ pH7.7 
Na+:61.9ppm, Mg++:77.83ppm, Ca++:547.87ppm,
CO3--:81.4ppm
(館内表示では各イオンの量をppmで表記していましたので、ここではそのまま転記します)

重庆市巴南区南泉街道南泉路6号

月曜日9:00~20:00、火曜日~日曜日9:00~23:00
68元(レンタルタオル付)
ロッカー・ドライヤー類あり

私の好み:★★
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重慶南温泉 南泉公園温泉会所 その1(現地までのアクセス)

2019年09月04日 | 中国
今回記事から数回連続で中国・重慶市の温泉を取り上げます。
広大な中国の中部に位置する重慶市は、地理的には麻婆豆腐やパンダで有名な四川省の東部にあたり、重慶という2文字を用いなくとも「渝」の一文字でこの都市を意味するほど、中国では非常に重要な都市のひとつです。重慶市の人口は3000万超、面積は82,400 km²で、その広袤は北海道に匹敵し、国家並みの人口と領域を擁しています。重慶の別称である「巴」と省都である成都の古称「蜀」を合わせた巴蜀という言葉は四川省の別称にもなっていますが、現在重慶市は四川省から切り離されて中国に4つある直轄市の一つになっています(あとの3つは北京・天津・上海)。
さてその重慶市は知られざる温泉の宝庫。山間部のみならず都市部やその近郊にも多くの天然温泉が湧出しており、2012年には国際温泉気候連合(FEMTEC)という組織が重慶に「世界温泉之都」という称号を授与したんだとか(朝日新聞デジタル 2012年10月28日 「重慶に「世界温泉都市」の称号」)。いかにも白髪三千丈のお国柄らしい名称であり、その組織や称号については疑義や異論がある方もいらっしゃるかと思いますが、称号については取りあえず脇に置いておくとして、私は今年(2019年)春にその重慶でいくつかの温泉に入ってきましたので、それらをレポートさせていただきます。

まず私が向かったのは、都心部からモノレールと路線バスを乗り継いで行ける重慶南温泉(以下、南温泉)です。重慶で古い歴史を持つ温泉は市街北部の北温泉ですが、この南温泉も北に次ぐ歴史があり、明あるいは清の時代まで遡ることができるそうです。そして20世紀においても蒋介石・宋美齢夫妻、そして朱徳や鄧小平など、中国近現代史の著名人たちがこの地へ訪れて湯浴みをしたんだそうです。



重慶の都心部から南北の郊外へ伸びる重慶軌道交通3号線(モノレール)に乗って花渓駅で下車。南温泉の最寄駅です。



花渓駅周辺は典型的な郊外の住宅地。マンション群が建ち並ぶ整備された街区はまるで近未来都市のようです。



駅の構内を出て駅コンコースを見上げる場所に降り立ってみました。駅前には南温泉の観光案内看板が立っていますが、歩いていく距離では無いため、駅前から路線バスに乗り継ぎます。上画像は駅の東側ですが、南温泉へ行くには駅の西側(この画像の奥というか向こう側)に回って、「炒油場」というバス停から路線バスに乗車します。なお乗るべきバスの路線番号は169(本数多い)、309、312、314、317、327です。バス停で待っていれば、数分のうちにこれらのいずれかがやってくるかと思いますので、時刻を気にせずいきなり行っても問題ないでしょう。



ちなみに私が乗ったのは309番のバス。バスの車内はこんな感じです。一言で表現すれば観光色ゼロ。ごくごく一般的な地域住民の足であり、観光客らしき人の姿はおろか、車内に温泉にまつわる語句や広告が全く見られないので、本当にこのバスで良いのか、少々不安になってしまいました。
話が前後しますが、重慶のモノレールや地下鉄を利用する場合は、事前に窓口でSUICAのようなICカードを買っておくと非常に便利。乗車駅から花渓駅までの行き来はもちろん、南温泉へ向かう路線バスでも利用できます。



15分ほど乗って「南泉」バス停で下車しました。



南温泉のメインストリート周辺はこのような街並み。平日の午前中だからか、歴史ある温泉地とは思えないほど閑散としていましたが、週末にはそれなりに賑わうようです。



南温泉一帯は風光明媚な公園として整備されています。山の上まで一気に上がれるロープウエイも設置されているんですね。上からの眺望はさぞ素晴らしいのでしょうけど、私は乗りませんでした。



公園内に設置されている観光案内看板には、周辺の簡単な地図の他、温泉の簡単な解説が記されていました。この地図に従い、これから温泉施設へと向かいます。

今回記事では温泉までのアクセス面を書いただけで分量や画像が多くなってしまったので、一旦ここで記事を区切り、本題の温泉については次回記事にてご紹介いたします、

次回記事に続く。

コメント (2)
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