2010年5月15日(土)、一関市東山町松川公民館で開催された東山植物友の会(鈴木四郎会長)の「春の山野草展」には、ウスギヤマシャクヤク(薄黄山芍薬)が3鉢ほど展示されていました。
ヤマシャクヤク(山芍薬) ボタン科 ボタン(パエオニア)属 Paeonia japonica
日本の山地樹下に自生する宿根草。高さ40㎝くらいに茎が伸びる。根は肥厚する。茎の基部には鞘状葉、上部には有柄の3出葉がある。葉には毛がない。茎の先に白色の1花をつける。萼片3.花弁5。雄しべは多数。雌しべは3~4。袋果が開裂すると赤色の内面、黒色の成熟種子が見え、コントラストが見事。ほかに、ヨーロッパ産で葉の細いホソバシャクヤク(細葉芍薬)P.tenuifoliaがある。また似た種類のベニバナヤマシャクヤク(紅花山芍薬)P.obovataは葉の裏に微毛がある。いずれも山草家が愛培する。栽培:繁殖は実生や株分け。花期:5~6月。[山と渓谷社発行「山渓カラー名鑑・園芸植物」より]
ヤマシャクヤク(山芍薬)の仲間 キンポウゲ科 ボタン属 Paeonia:なじみ深いボタンやシャクヤクが含まれる属がボタン属。一般的にはキンポウゲ科に分類されるが、分離してボタン科とする場合もある。
この仲間は世界各地に50種ほどある多年草で、暖帯から亜寒帯のユーラシア、北アフリカ、北アメリカなどに分布が広がる。日本の自生は2種で、白花のヤマシャクヤクは関東地方以西の本州から四国、九州、朝鮮半島へと分布する。花が淡紅色のベニバナヤマシャクヤクは北海道から本州、四国、九州と朝鮮半島、中国、樺太に分布。ともに実生や株分けなどが容易で、増殖苗が広く流通する。また、葉に斑が入る選別種や、花の変異種なども見出されている。
ちなみに園芸種のシャクヤクは中国の北部や東北部の原産のパエオニア・ラクティフローラ(中国名・芍薬)が薬用や観賞用に栽培され、改良、選別されたものが渡来したもの。イトバシャクヤクやホソバシャクヤクの和名で呼ばれるパエオニア・テヌイフォリアはヨーロッパ南東部の原産種。そのほかにもヨーロッパで園芸品種として育種されたものが導入されている。さらに海外からも原種が導入されているが、暑さに弱いなどの理由から、定着しているものは少ない。花期:4~5月。[講談社発行「山野草大百科(久志博信、内藤登喜夫著)」より]