◇ 問われる大統領の統率力 = トランプ米大統領が“史上最大”と自負する大幅減税法案は、成立するのかしないのか。全く宙に浮いた形となっている。というのも下院は減税法案を可決したが、上院は実施を1年遅らせて19年とする法案をまとめたからだ。これが与党と野党の対決というのなら、よくある話。だが今回は共和党の下院と上院が、真っ二つに割れてしまった。トランプ大統領の統率力が問われる問題に発展している。
アメリカ下院は先週16日、税制改正法案を可決した。その内容は①法人税率を35%から20%に引き下げる②所得税率の分類を10-39.6%の7段階から、12-39.6%の4段階へ簡素化する③相続税を段階的に廃止する――など。法人税については、トランプ大統領が公約した15%への引き下げは見送られたが、それでも大幅減税となることに変わりはない。実施はもちろん18年からだ。
上院も似たような法案をまとめて、審議に入った。ところが実施は19年からという内容。これでは18年は減税がない。理由は財政の赤字拡大を抑制するため。仮に下院の法案が成立すると、減税の規模は今後10年間で1兆5000億ドル(約171兆円)にのぼる。アメリカ政府の債務残高は、ことし9月末で20兆ドルにも及んでいる。この財政悪化を問題視する共和党議員が上院には多いため、減税を先送りする法案がまとまってしまった。
これから共和党内で上下両院の交渉が始まるが、年内に妥協できないと減税法案は廃案になってしまう可能性もある。その成否をめぐって、ニューヨーク市場の株価も上げたり下げたりしている昨今だ。まだ共和党の指導者が話し合っている段階だが、間もなくトランプ大統領の出番になりそう。表に出てくるか裏で工作するかは判らないが、とにかく調整力・統率力を試されることになるのは確か。その結果は、政治と経済の両面に大きな影響を及ぼすことになる。
≪20日の日経平均 = 下げ -135.04円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
アメリカ下院は先週16日、税制改正法案を可決した。その内容は①法人税率を35%から20%に引き下げる②所得税率の分類を10-39.6%の7段階から、12-39.6%の4段階へ簡素化する③相続税を段階的に廃止する――など。法人税については、トランプ大統領が公約した15%への引き下げは見送られたが、それでも大幅減税となることに変わりはない。実施はもちろん18年からだ。
上院も似たような法案をまとめて、審議に入った。ところが実施は19年からという内容。これでは18年は減税がない。理由は財政の赤字拡大を抑制するため。仮に下院の法案が成立すると、減税の規模は今後10年間で1兆5000億ドル(約171兆円)にのぼる。アメリカ政府の債務残高は、ことし9月末で20兆ドルにも及んでいる。この財政悪化を問題視する共和党議員が上院には多いため、減税を先送りする法案がまとまってしまった。
これから共和党内で上下両院の交渉が始まるが、年内に妥協できないと減税法案は廃案になってしまう可能性もある。その成否をめぐって、ニューヨーク市場の株価も上げたり下げたりしている昨今だ。まだ共和党の指導者が話し合っている段階だが、間もなくトランプ大統領の出番になりそう。表に出てくるか裏で工作するかは判らないが、とにかく調整力・統率力を試されることになるのは確か。その結果は、政治と経済の両面に大きな影響を及ぼすことになる。
≪20日の日経平均 = 下げ -135.04円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫