経済なんでも研究会

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1400兆円にのぼる 巨大な‟死に金”

2022-04-01 08:03:38 | 家計
◇ 資金循環統計が示す不条理 = 日銀が発表した資金循環統計によると、家計の金融資産は昨年12月末時点で2023兆円となった。前年比4.5%の増加で、初めて2000兆円を突破した。1992年に1000兆円に達しているから、ちょうど30年で2倍になったことになる。このうち現金・預金は、前年より3.3%増えて1092兆円だった。金融資産全体の54%を占めている。株式は212兆円、投資信託は94兆円を保有している。

アメリカの場合、家計の金融資産に占める現金・預金の割合は1割程度。ユーロ圏でも3割ほどだ。日本の54%という割合は異常に高い。さらに企業の金融資産は1279兆円だが、ここでも現金・預金は319兆円もある。家計と企業を合わせると、現金・預金の総額は1411兆円にも達する。しかも金融機関は預かった預金の58%しか貸し出していない。残りは国債などの購入に充てている。

つまり1400兆円という膨大なおカネが有効に使われず、その大半が‟死に金”となっている。これはどう考えても異常であり、これでは経済の発展は望めない。では、なぜこのような不条理がまかり通るのだろうか。その大きな原因は、日銀のゼロ金利政策に求められる。預金をしても金利が付かない。貸し出しをしても利益が出ない。これでは、おカネは回らない。

日銀はゼロ金利にこだわり、最近は10年もの国債に指し値オペまで実施している。このため海外との金利差が拡大、円安が進行し物価を上げる。逆に少しでも金利を上げれば、家計は利子所得が入るから消費を増やせる。金融機関も貸し出しに努力するようになる。円安が抑えられて、物価も上がりにくくなる。日銀は発想を転換すべきである。

        ≪31日の日経平均 = 下げ -205.82円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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