経済なんでも研究会

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物価高を上回る制度作りを : 最低賃金 (上)

2023-08-02 08:04:41 | 賃金
◇ 「1002円」をその第1歩にしよう = 中央最低賃金審議会は先週28日、23年度の最低賃金の目安を全国平均で時給1002円とすることを決めた。現在の961円から41円、率にして4.3%の引き上げとなる。この引き上げ幅は過去最大。各都道府県の審議会がこれを目安に実額を決定、10月ごろから順次適用される。中央審議会では労働者側が47円、使用者側は20円の引き上げを主張していた。

最低賃金引き上げの目安は、地域によって引き上げ額が①東京・大阪など6都府県は41円②北海道・京都など28道府県は40円③青森・沖縄など13県は39円--となっている。すでに東京・大阪・神奈川の最低賃金は1000円を超えているが、今回の引き上げで東京・神奈川は1100円を超す。また新たに埼玉・千葉・愛知・京都・兵庫の5府県が1000円を超えることになる見込み。

大幅な引き上げとなったのは、言うまでもなく物価高。大企業の賃上げ率が3.58%だったこと。それに岸田首相が強力に「1000円」を推奨したことも影響した。決められた最低賃金の額は、あらゆる形態の労働者すべてに適用される。そして押し上げ効果も含めて実際に賃金が上がる労働者の数は2500万人にのぼると試算されているから、その影響はきわめて大きい。

ところが、これで実質賃金は上昇するかと言えば、必ずしもそうとは言えない。たとえば6月の消費者物価上昇率3.3%と比べれば、賃金が物価を上回った。しかし昨年10月-ことし6月のインフレ率と比べれば、ほぼ同じ。こんな状態だから、来年度以降も物価を上回る最低賃金の引き上げが絶対に必要だ。政府は1000円を超えたからと言って安心せず、物価高を上回る賃金引き上げの仕組みを考えるべきだろう。

                   (続きは明日)

        ≪1日の日経平均 = 上げ +304.36円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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