経済なんでも研究会

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追い詰められた パウエル議長

2019-09-03 07:34:38 | アメリカ
◇ 「史上最悪のFRB議長」になるリスク = パウエルFRB議長は先週23日の講演で「経済拡大を維持するために、適切に行動する」と述べた。市場はこの発言で9月の利下げが確定的になったと受け取り、ダウ平均は上昇。だが、その直後にトランプ大統領が「中国の報復関税に対抗措置をとる」と表明したため、株価は大幅に下落した。このことは市場が現状では、金融緩和よりも貿易戦争の方を重視していることを明示している。

パウエル議長の利下げ示唆が軽視されたのは、市場が9月の0.25%引き下げをすでに織り込んでいた結果でもある。したがって0.25%の利下げを実行しても、株価はほとんど上昇しない。するとトランプ大統領からまた「中国よりもタチが悪い」と酷評されることは必至だろう。では思い切って、0.5%の利下げに踏み切れるのだろうか。

たしかに関税引き上げの影響で、アメリカ経済には景気後退の危険が迫っている。自動車をはじめ製造業の状態は明らかに下向き。個人消費にも陰りがみえ始めた。しかし、その一方で関税引き上げが物価の上昇を惹き起こす可能性も大きい。仮にインフレの進行が始まるとすれば、パウエル氏は「大統領の脅しに屈し、インフレを助長させた史上最悪のFRB議長」と、後世の人から烙印を押されかねない。

0.25%にとどめておくべきか、それとも0.5%引き下げるべきか。関税の大幅な引き上げは、経済にきわめて大きな影響を及ぼす。それを金融政策で対処することは、なんとも無理な話。しかし0.25%の引き下げでは大統領が激怒し、市場も失望する。と言って0.5%の引き下げには、大きなリスクを伴う。パウエル議長の心は乱れているだろうが、FOMC(公開市場委員会)が終わる今月18日には、決断しなければならない。

       ≪2日の日経平均 = 下げ -84.18円≫

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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